9月に DEATH STRANDING の PlayStation 5(PS5)向けリマスター、DEATH STRANDING Director’s Cut が発売されますね。完全版商法が嫌いな私の率直な意見を先に別の記事にまとめていますので、今後のプレイ日記の更新方針が気になるかたが万が一この世に存在するようであれば、そちらをご参照ください。とりあえず9月の発売日まではこれまでと同じ要領で少しずつうちのサムの第二次遠征隊のお仕事を進めていこうと思います。

これまでどおり進めるぞ~と言おうとして、そう言えば4か月ぐらい更新を休んでいたんだったと思い出しました。なにをしていたのかも軽く忘れていたので、ひとまず前回のプレイ日記を読み返すところから始めました。こういうとき、プレイ日記があると便利です♪

温泉に入るサムと BB-28

そうそう、中部エリアのプレッパーズ勧誘で、初めて温泉に漬かりにきた……じゃなくて、クラフトマンのお宅を訪問していたんでした。ゲームのクラフトマンは最初訪れただけでは、アメリカ都市連合(UCA)への加盟はもちろん、カイラル通信にすらつなごうとしてくれません。そんな彼を味方に引き込むために、サムは彼のお願いを引き受けることにする――というのが、今回のお話です。

配信でここの温泉から上がったとき、サムが立ち上がりながら BB-28に手を伸ばして「生き返った!」って言うんですけど、英語だと“Feels like I just repatriated(結び目から帰還したてホヤホヤみたいな感じ)”と言ってますね。たしかに生き返った瞬間だけど、あの北米大陸に戻ってきた瞬間って、温泉上がりの感覚と似ているんですね。口からタール吐いてむせてるし、実質死にかけてるようなもんだから、もっとエグい体験だと思っていたんですが、意外と本人はさっぱりスッキリ、リラックスできていたらしいです。……ほんまに?

あれか、母なる海がうんたらかんたらみたいな理屈かな。なんやかや絶滅体の息子だし、ビーチに近い結び目は意外と居心地がいいのかもしれません。

久しぶりに DEATH STRANDING で第二次遠征隊のお仕事をするので、いつもはスクリーンショットで記録を残しているメインストーリーのお話についても、今回は Twitch で配信して、ついでの寄り道で中部エリアの国道を少し整えておくことにしました。なにげに新居では初めての PlayStaiton 4(PS4)からの配信でした。このゲーム機も電源を入れたのは新居のインターネット環境の具合を確認して以来なので、3か月ぶりぐらいな気がします。あとから見返すとマイクの調整がうまくいっていなくて、なにかブツブツわけのわからないことを口ごもりながらおばちゃんがデスストで遊ぶ配信になってしまっていますね。なぜか PS4 に手持ちのヘッドセットをつなぐと、私の声が雑音処理されて消えてしまうんですよね。PS5にすれば、もっとストリーミング関係の細かな設定が調節できるようになるのかしら? 底辺ゲーマーには購入機会もなければ、購入意欲を刺激する決定打にも欠けるので、いまいち PS5で遊ぶ自分の姿が想像できないんですけど、Director’s Cut が世に出たら、買うか買わないか、ちゃんと考えないといけませんね。PC 版もそのうち同等のコンテンツ追加があるなら、もう PC 版に乗り替えたいんだけどな……。

サム指名依頼 No. 22「廃墟からクラフトマンの道具箱を回収する」

廃墟となったショッピングモールから、クラフトマンの道具箱(ツール・キット)を回収する。依頼を実行して、カイラル通信の接続を実現したい。

サム指名依頼 No. 22「廃墟からクラフトマンの道具箱を回収する」の依頼の詳細より

ということで、クラフトマンのシェルターに戻って、本日の依頼を受注します。このお使いを無事に終えると、クラフトマンがその厚意に応えて、自分のシェルターをカイラル通信につないでくれるという交換条件になっています。具体的には、クラフトマンが愛用していた道具一式を、座礁地帯の地獄と化したミドル・ノットシティの廃墟から回収してくるお仕事らしいです。話によると、クラフトマンは昔ミドル・ノットシティに住んでいたようですね。

道具箱(ツール・キット)は昔住んでたシェルターにある。荷物 ID タグをつけてあるから、場所はすぐわかるはずだ。入口は無線で解錠しておく。ああ、運んでくれた血液グレネードをわけてあげよう。奴ら(BT)がいるから、持っていけば役に立ってくれるだろう。じゃあ、頼んだぞ。

クラフトマン

テロ攻撃でノットシティが崩壊したとき、命からがら逃げてきて、愛用の道具を持ち出す余裕まではなかったということみたいです。愛用の道具は彼にとって思い入れのある品物で、ほかでは替えがきかないものです。ブリッジズご自慢のカイラルプリンターでも、職人の使い込まれた道具は代替品を作ることができません。道具が充実すれば、彼が用意できる非致死性兵器も充実するので、サムにとっても悪い話ではありません。使いっ走りでも、先の利益を考えて、今は我慢です。私は今すぐフローターがほしいです。

野暮なツッコミかもしれませんが、「道具箱(ツール・キット)」は、英語だと“toolkit”でひとつの単語なので、ルビの中黒は本来入れなくてもいいんじゃないのかなと私としては思うんですけど、にもちょっと取りあげたとおり、このゲームって、この中黒表記けっこうありますよね。逆にショッピングモールみたいな2単語は中黒入れないのに。これもルビを多用するのと同じ、小島語なのかなと考えています。どういう意図があるんだろう?

あと、依頼内容には「廃墟となったショッピングモールから」って指定があるんですけど、クラフトマンは「昔住んでたシェルター」って言ってて、実際に回収に訪れるのは彼の言うとおり「廃シェルター」なんですよね。この依頼はもともとショッピングモールのほうに取りに行く予定だったのかな? それがストーリーの詳細を詰めるうちに、なにかの都合でシェルターに変更になった……とか? もともとクラフトマンはショッピングモールにお店か工房でも構えていたのかもしれませんね。でも開発者のあいだで非致死性兵器のお店ってなんだよってなったのかもしれません。いや、デス・ストランディング後なら違和感ないか……?

いつもの内容を比較している小説『デス・ストランディング』では、ブリッジズに抵抗するプレッパーズ魂を見せるのはこのクラフトマンではなくエルダーのほうなので、小説のクラフトマンの件はかなりさっぱり簡素な内容になっています。この依頼も存在せず、せいぜいフラジャイルへの不信感をあらわにする会話程度で終わるので、今回はゲーム内の表現だけ拾っていきます。ミドル・ノットシティの描写なんて興味深いので、あったらあったでおもしろそうだったんですけどね。

ポーターブーツ

クラフトマンは血液グレネードだけでなく、ポーターブーツもわけてくれました。前回の会話でもポーターに言及していましたし、普段からポーターとよく交流しているみたいですね。フリーランスのポーターたちが愛用しているこのブーツは、説明文によるとサムもフリーランス時代に使っていたモデルらしいです。ということは、今のサムはさすがに昔よりいい装備を与えられているということになりますね。なんかやっとまともな特別扱いされている気がしてきたな。昔使っていた道具には愛着がわくものですけど、仕事道具が新しくなったり、いいものになったりするのも、ちょっとテンション上がりますよね。サムにもそういう感情はあるのかな。

そう言えば、うちのサムはこれまでの道中でなんどか必要のない靴底草を拾っていたんですが、靴としての性能が低い靴底草でも、履くと足音がしないといった特性もあるようです。意外と使い分けできるようになっているんですね。

フリーのポーターたち

依頼を受けてシェルターを出発したら、さっそくフリーのポーター二人組に遭遇しました。ここ、本当にポーターとよく遭遇するんですよね。前世はよくここで誤ってポーターを轢いてひんしゅくを買っていました。

せっかくなので、たまたま持っていた壊れかけのハシゴを笑顔で押しつけておきました。お礼にミュールブーツを差し出されたんですが、ポーターブーツも持て余してるぐらいなので受け取りませんでした。ミドル・ノットシティは、そのままでは登れない崩壊した建物の上にアイテムが転がっていたりするので、今回はあらかじめハシゴをいくつか持ってきていて、ポーターに押しつけたものもそのひとつでした。でもクラフトマンがカイラル通信につないでくれないとミドル・ノットシティ周辺に設置された他プレイヤーの道具が同期されないので、初っ端から持っていくのはいい案じゃなかったなと思いました。適当に現場に設置するなりして、置いてこようと思います。

サービスが大事

ポーターたちと別れて動き出したところで、レイク・ノットシティで配送担当をしているウィリアム・レイクさんからメールが入り、「配送に必要なのは、サービスです 」と熱い語りが始まりました。以前に、各地の配送担当者が各々一番大事と思う配送の評価項目をサムに語り出す場面がありましたが、レイクさんは本来の配達とは別に、プラスアルファのおもてなしをヨシとするサービス派の人らしいです。数量のイーストン、安全性のハンコック、ブリッジリンクのバトンときて、サービスのレイク――あれ? 素早いおじさんはだれだっけ?

なぜこのタイミングなのかって思ったんですけど、サービスの評価は、荷物を危険地帯から回収してきたりするとよく上がるらしいので、この流れからすると、おそらく本来の配達の仕事から離れて人の要望に応える特別な今回の依頼を受けたから届いたものみたいですね。

ミドル・ノットシティの廃墟

気を取り直して、依頼をこなすために目的地のミドル・ノットシティ跡地を目指します。瓦礫の向こうに「K5」と読める大きな看板が見えますね。5番目のノットシティだった敷地に入ると、ほかの都市と同じように画面右上に「ミドル・ノットシティ[K5]/ 廃墟地帯」「UCA-27-013 ミドル・ノットシティ[K5]南」と、都市情報が表示されます。ミドル・ノットシティの北側は、大きなクレーターの輪郭がわずかに海面から顔を覗かせているだけで、今はタールの海に沈んで近づけなくなっています。サムが今回みたいに足を踏み入れられる南側は、テロ攻撃で亡くなった人の魂が BT となってひしめきあう座礁地帯になっています。小さな南側だけでもそこそこ大きそうですし、人が住んでいたときはどれくらいの人口だったんでしょうね?

ショッピングモール

入ってすぐ左を向くと、メモリーチップが落ちているので先に拾っておきます。たぶん、この建物がショッピングモールだと思うんですよね。なかにエスカレーター付きのホールがあったりするので、構造としてはこれが一番それっぽいと思います。これとは反対の入ってすぐ右手にある建物も、今は朽ちていますが、そこそこ背が高くて、なにか住居以外の目的があったんじゃないかと思わせる存在感を放っています。座礁地帯は怖いけど、なんか廃墟にはロマンがあって、ついついあちこち見てまわりたくなります。

ミドル・ノットシティ散策

ミドル・ノットシティ跡に残っている建物って、デス・ストランディング以前の文化が感じられるものが多いと思います。ほかのノットシティは、住民たちがいる区域に入ることはできないんですが、配送センター周辺の外から眺める限り、もっと近未来的でシャープなシルエットが目立つ印象でした。ノットシティを囲う防御壁も透明になっていて、物理的に建造物を設けているというよりは、SF チックなバリアを張っているみたいな印象のほうが強いデザインをしています。ミドル・ノットシティは、サムが入ってきた場所にこの都市の中心部をぐるっと囲うように建てられていたらしい長い壁が見られ、現実世界でも見慣れた城郭都市っぽさがあります。

古い建物

キャピタル・ノットシティで養母の死体を担ぎながら眺めた街並みは、現代的な背の高い鉄筋コンクリートの建造物が朽ち果てていて、代わりに背が低くて箱っぽい鏡面の建物が対岸に立ち並んでいました。ミドル・ノットシティ跡に残っている建物は、キャピタル・ノットシティで打ち捨てられていた旧世代のものに近いと思います。ミドル・ノットシティが全壊したころは、まだこういう建物が主流だったんですかね? だとすると、ゲーム中当たり前になっている建築様式は、わりと最近広まったものなのかもしれませんね。それか座礁地帯化で、近すぎるビーチの影響を受けて、いろんな時代の建物が入り交じっているだけなのかな……?

中部エリア

ゲーム内で表示される北米大陸の地図と、実際のアメリカ合衆国の地図を見比べて、ミドル・ノットシティがどれくらいの位置にあるか調べてみたんですが、たぶんノースダコタ州の西部だと思うんですよね。なんか建築様式で目立つ特徴がある地域かなと思ったんですけど、大きな都市もないので、とくにデス・ストランディングのミドル・ノットシティと結びつけて考えることはできませんでした。

廃シェルター

なんでここの建築様式がこんなにも気になるのかと言うと、クラフトマンが住んでいたと言っていた目当てのシェルターは、ものすごくゲーム内でよく見る一般的なシェルターなんですよね。遠隔操作で入り口を開けておけるので、機能的にも最近の規格のものなんじゃないかなという気がします。このシェルターはサムが散策できるミドル・ノットシティ南部の中心部にポツンとあって、周りの瓦礫は上で述べたような旧世代の建築なので、間違い探しみたいな違和感があります。なんか時代感がチグハグすぎて、もしかしてクラフトマンは最近までここで粘って住もうとしていたのかなという説も頭をよぎります。ノットシティのなかなのに、シェルターというのもちょっと変ですしね。物語後半で訪れる西部エリアのマウンテン・ノットシティあたりの住居も、こういうシェルタータイプじゃなくて、キャピタル・ノットシティに建っている箱タイプのプレハブみたいな建物だったんですよね。

廃シェルター

廃シェルターのなかには、お目当てのクラフトマンの道具箱と、まだ機能している配送端末がありました。遠隔操作でシェルターの扉を開けられるなら、端末も生きていて当然か。アクセスしてみるとプライベートボックスのみ利用できる感じだったので、持ってきたハシゴと余った血液グレネードをここに置いてきました。指名なし依頼などで、またのちほどこの跡地を探索することになりますから、そのときに活用します。今探索してもいいんですけど、クラフトマンのシェルターをカイラルネットワークに加えてからのほうが、ほかのプレイヤーの設置物などが共有できて楽なんですよね。だもんで、今回は目的の道具箱を拾ったら、あとはスタコラと一直線に帰ります。

クラフトマンが味方になった!

欲しがっていた愛用の道具箱を渡すと、クラフトマンはすぐに「テロリストたちは増え、行動も過激になっている。それに立ち向かうには、オレたちもまとまらないとな」と考えをあらためて、UCA に参加してくれました。小説でも「孤立主義者を称しているが、そもそも非殺傷系の武器を開発している人間である。自分が完全に世界から孤立し、乖離して生きているわけではないことを、彼は知っている」と指摘されています。自分の置かれた状況がきちんと判断できる男、クラフトマン。サム指名依頼だけを順にこなして物語を進めていると、エルダーよりも先に UCA に加盟してくれることになるので、やっぱりここのプレッパーズで一番ひねくれているのは、小説だけでなく、ゲームでもエルダーなのかもしれません。年をとると頑固になりがちですしね!

ボーラガン

クラフトマンが UCA に加盟すると、彼が手がけたボーラガンという新しい武器が使えるようになります。たぶん、対人では初めてまともに使える武器になると思います。これ、めちゃくちゃ欲しかったんですよね。今までミュール相手にはスモークグレネードとかダミー荷物でやり過ごすことしかできませんでした。これがあれば素手で殴り込むよりずっと簡単にミュールの集荷基地を制圧することができます。

ボーラガン

ボーラガンの「ボーラ」は、ロープの両端に丸い重石を付けて獲物に投げつける狩猟道具や投擲武器の名前らしいです。棒と縄の考えかたを掘り下げたときに、縄は密教における羂索に近いものだろうと書いたんですが、そういう意味ではこのボーラガンも縄にかなり近い武器です。クラフトマン印の非殺傷系武器ですしね。

ボーラガン。へえ、興味深い武器ね。ワイヤーを撃って相手を拘束する“非殺傷武器”だけど、ワイヤーの代わりにストランドを使うと、あなたの血が作用して、BT にも効果が出るはず。BT にも試してみて。

ママー
ボーラガン

ボーラガンを構えると、通常の銃とは違って扇状に広がった標準が表示されます。トリガーを引くとその標準の軌道にワイヤーが射出され、両端の重石が遠心力で巻き付きついて標的を縛り上げます。破壊力はありませんが、弾数も多く、敵の動きを簡単に封じられるので、危険を冒さずに相手を無力化できる使い勝手がいい武器です。しかもママーが言うとおり、人間相手にも BT 相手にも使えます。

ボーラが巻き付いたミュールは、ストランドで縛り上げた場合と同じく、しばらくその場でもがいてから、時間経過で拘束を解いてまた立ち上がってしまいますが、拘束されているあいだに蹴り上げて気絶させておくと、仲間に起こされたりしない限り長時間沈黙させることができます。何度か使ってみた感じ、ヘッドショットの概念があるらしく、頭部を狙って撃つと蹴らなくても最初から気絶しておいてくれる仕様のようです。

ちなみに、ママーに勧められとおり BT に対して使うと、対人間と同様に一定時間動きを封じることができます。ただ、BT を蹴って気絶させるコマンドはないはずなので、こちらの効果はあくまで一時的と考えたほうがよさそうです。きちんと成仏させるには血液グレネードなどの別の武器が必要になります。

その昔、小島監督が Twitter で、赤ちゃん BT にボーラガンを使用すると、拘束を解く際に大人 BT に成長するというつぶやきをリツイートしていたことがありました。今でも有効なのか試してみたら、PC 版のリリースを経ていくつかアップデートが入った今でも有効な仕様のようです。なにを意図してこうなったのかわかりませんが、ボーラを衆生救済のシンボルと考えると、同じ赤ちゃんのブリッジ・ベイビーのなにかとつながったりするのかな? あとで血液グレネードを投げつけてみましたが、成長した BT がとくに強いなどといった傾向は見られませんでした。ん~、よくわからんな~。

まあ、そんなわけで、ミュールに対抗する手段が手に入ったので、近場のミュールの集荷基地に殴り込みに行きます。

盗まれたサーバー

クラフトマンのシェルターをカイラル通信につないでから、シェルターをあとにして歩き出すと、ダイハードマンから通信が入ります。

サム、よくやった。予定していた3か所は全て繋がった。君が繋いでくれたおかげで、カイラル通信は順調に稼働している。次は、このエリアの中継地点でもある配送センターへ繋ぐ。だが、その前に、優先して片付けなくてはならない問題が起きてしまったんだ。レイク・ノットシティ([K4])のシステム・サーバーの一部がミュールに奪われた。修理したハードウェアを運搬している最中のことだったらしい。このサーバーの中には、新配送システムの検証データが保管されていた。カイラル通信の稼働を前提にした新システムのためのデータだ。我々にとっては極めて重要なものだ。だがミュールにとっては、まったく無意味なデータだ。推測だが、目的はサーバーに使われているカイラル結晶や希少金属(レアメタル)だろう。放っておけばデータが失われる可能性もある。そこで、このサーバーをミュールの集荷基地から奪い返し、“レイク・ノットシティ([K4])”に届けてほしい。これは私からの配送依頼だ。詳細は手錠端末を見てくれ。

ダイハードマン

と言うわけで、サムがミドル・ノットシティの廃墟から物を回収してくるサービスをこなしているうちに、レイク・ノットシティのほうでミュールによる盗みがあったようです。盗まれたのはブリッジズのシステム・サーバーの一部で、なかには試験的な配送システムのデータが入っていたらしいです。とっても大事なものなので、ミュールから奪い返して、レイク・ノットシティまで持ってきてくれという命令でした。

手錠端末を確認すると、すでにサム指名依頼 No. 23「システム・サーバーを奪還せよ」が受注済みになっています。ブリッジズの社畜には、断る権利などありません。行くか。

サム指名依頼 No. 23「システム・サーバーを奪還せよ」

奪われたシステム・サーバーを、ミュールの集荷基地から取り返し、レイク・ノットシティ[K4]へ返還せよ。

サム指名依頼 No. 23「 システム・サーバーを奪還せよ 」の依頼の詳細より

お目当ての集荷基地はクラフトマンのシェルターから南東に下ったところです。エルダーのシェルターがある丘の崖下になりますね。

樹脂でミュールを殴るサム

ボーラガン握りしめて突入したわりには、相変わらず素材が詰まった箱で殴り倒してましたね。「敵の動きを簡単に封じられる」とは……? やっぱりこの北米大陸、落とし物で殴るのが最強なんやで。集団で囲まれると電撃攻撃でボーラガン落としたりとかして、ワチャワチャ乱闘になってしまって、何回もうちのサムが尻もちをついていました。ヘタですまんな、サム。

国道の舗装装置

ミュールの集荷基地を制圧して、指定された荷物を回収したんですが、基地にため込まれているセラミックも大量に手に入ったので、ミュールのトラックに山盛り積んで、周辺の国道の復旧装置に放り込んでおくことにしました。こうすると、今度は金属不足が目につくようになる不思議。

エルダー

すぐそばに住んでいるエルダー宛ての落とし物がいくつか手に入ったので、ここらで一度配達しておきます。エルダーは定期的に様子を見に行かないと不安になる人物です。あと、まだこの人 UCA に加入してなかったはずなんですよね。親密度はまだ星2にも及びませんが、サムに丁寧にお礼を言ってくれます。いい人。

指名なし依頼 No. 192「[壊れもの]年代物の懐中時計を届けろ」
指名なし依頼 No. 196「デス・ストランディング初期の様子を描いたルポルタージュを届けろ」

せっかくなので、ここでクラフトマン行きの指名なし依頼 No. 192「[壊れもの]年代物の懐中時計を届けろ」と、レイク・ノットシティ行きの指名なし依頼 No. 196「デス・ストランディング初期の様子を描いたルポルタージュを届けろ」を受注してこなしておきます。クラフトマンは早めに恩を売っていい武器や配達道具をもらうため、レイク・ノットシティは今のサム指名依頼でどうせ行くのでついでの受注です。

運転するサム

ミュールの集荷基地に戻ってきたら、また残り物のセラミックをかき集めて適当な国道の舗装装置に向かいます。ミュールのトラックは現地で奪って気楽に乗り捨てできるメリットがあるんですが、言うてあんまり積載量がないんで、基地の素材を全部有効活用しようと思うと、なんどか往復しないといけなくなります。

カスタム血液グレネード

国道復旧装置に素材を放り込む道中で、クラフトマンに指名なし依頼の納品をしたら、お礼にカスタム血液グレネードがもらえました。通常の血液グレネードより威力が高く、そのぶん消費するサムの血液量も多いという特殊なグレネードになっています。こちらはどうもクラフトマンのお手製らしく、カイラル・プリンターでは量産できない代物のようです。ほしくなったらクラフトマン行きの指名なし依頼をクリアして、都度恩を売る必要があります。

レイク・ノットシティに納品

ある程度、国道の素材を入れ終わって、一部の道路ができあがり始めたので、トラックでひとっ走りレイク・ノットシティまで戻って、指名ありなし両方の納品をしてきました。やっぱり国道があると移動が楽ですね。

リバース・トライク

今回の依頼を達成したことで、リバース・トライクがカイラル・プリンターで作れるようになりました。荷物を積めなくなる代わりにバッテリーのもちがいいバッテリー強化タイプもあります。ただし、車両はメンテナンスが必要な大型の“武器装備”なので、ノットシティのような大きなブリッジズの拠点でないと作成できないようです。

サム、“武器装備作成”のリストにリバース・トライクを追加したわ。レイク・ノット[K4]から設計データが見つかったの。あなたのおかげね。リバース・トライクは前(フロント)二輪型自動三輪車(トライク)のこと。あなたが前に乗っていたのと同じ、バッテリー走行よ。自動回復機能で、乗っていない間、バッテリーが回復する。障害物が多い場所で乗るのは、かなりテクニックがいる。だから、地面がなだらかな場所で乗るのをお勧めするわ。他の車両も整備を進めているから、完成を楽しみにしていてね。

ママー

サムがオープニングでも配達に使っていた乗り物ですが、そう言えば今まで乗ったことがあったのは東部エリアだけでしたね。配達用の車両は、土地が広くて舗装された道路ができる中部エリア以西のほうが活躍すると思います。自分で作成できるようになると、気軽に配達先で乗り捨てできるようになるので便利です。今後はカイラル通信でもよく、ほかのプレイヤーのサムが乗り捨てた車両が迷い込んでくるようになるはずです。

無人配送システム

納品作業が終わると、依頼主のダイハードマンが出てきて、奪い返してきたサーバー内の重要なデータは、無人配送システムに関する検証データだったと教えてくれます。長官はこの検証データを使って、自動配送ロボの試験的な運用を始めたいらしいです。じゃあ早速始めようぜと言いたいところですが、なぜか K4南配送センターまで運んで、そこから始めると言い出します。こうして、クラフトマンのシェルターから南へ下ったところにある次の配送センターまで、自動配送ロボの試作機を運ぶ新しい配達依頼が追加されました。これを受けるとまた物語が進むので、次回取り組むことにします。

長官が新しい依頼の話を一通り説明し終わると、今度はサムが質問します。どうやらサム、行く先々のプレッパーズが、フラジャイルに関する不穏なウワサを口にするので、一緒に仕事をして大丈夫かどうか、不安になってきたらしいです。「フラジャイルは信用できるのか?」と聞かれたダイハードマンは、少なくとも彼女がヒッグスを憎んでいるのはたしかで、敵の敵は友の原理で手をつないでもいいんじゃないかと答えます。なにより彼女の協力はまだまだ必要な状態だと判断したようです。

フラジャイルからの通信

そんな話をしていたら、ちょうどタイミングよくサムのもとにフラジャイルから連絡が入りました。「三人のプレッパーズは繋げられたみたいね」という切り出しかたからして、カイラルネットワークの接続状況を見て連絡してきたようですが、タイミングがよすぎます。これ、盗聴器が仕掛けられている前提で、いっかいサムの身辺を調べたほうがいいんじゃないですかね……?

サムは躊躇せずに、彼女とヒッグスの因縁について質問します。長官が「疑うなら本人に確かめるしかない」と言っていましたが、さっそくそのとおりに行動したようです。フラジャイルは「あなたと直接話したい」と言って、サムの次の目的地と同じ K4南配送センターを待ち合わせ場所に指定してきました。彼女とは次回腹を割って話す予定です。

ピーター・アングレール

ピーター・アングレールから、サム指名のピザ配達の依頼メールも届きました。彼はこの後もちょくちょくピザ配達をサムに依頼してきます。私もピザ食べたい……。しかし、ブリッジズ関係者ならともかく、一般人からはじめましてのメールがいきなり届くあたり、サムのメールアドレスがダダ漏れの危険性がありますね。この依頼も、次回やることにします。

12いいね

受け取ったメールを読むと、差出人からいいねをもらえるんですが、ピーター・アングレールはほかより多めの「12いいね」もらえました。桁違いの愛を感じます。怖い。

そんなこんなで、ここで物語の進展としては一区切りついたので、配信の残り時間はトラックに残った素材を適当な国道の復旧装置に突っ込む作業に使うことにしました。

できていく国道

ここにきて国道がどんどん完成してつながってきました。国道は舗装装置に一度素材を入れると、ほかのプレイヤーとの同期が進んで、あっという間に気がついたらできあがっていることが多いです。Mr. サムワンの団結力は偉大です。あと、国道が完成するとほかのプレイヤーが通るだけでいいねが入るので、東部エリアをウロウロしていた初期よりも、ほかのプレイヤーとの絆を感じやすいですね。Director’s Cut が発売されたら、また Mr. サムワンも増えるかな。

交通事故

せっかく国道がつながったので、トラックを走らせながら「道路ができると安全に移動できるから気楽だな~」なんて言っていたんですが、ミュールの槍が飛んできて、見事に落とされてしまいました。車両が電撃を食らっているので、乗って逃げることもできませんし、仕方がないので最寄りのエンジニアのシェルターでボーラガンを作って、こちらのミュールの集荷基地も一度滅びてもらうことにしました。こちらの基地には、セラミックと同じく国道の素材になる金属がたくさん蓄えられているので、これで今のところカイラル通信の範囲内にある復旧装置の素材は全部足りるんじゃないかな?

さきほどクラフトマンのところに指名なし依頼の納品をしていたことで、親密度がちょっと上がって、Lv. 2のボーラガンが作れるようになっていました。射程も長くなってめちゃくちゃ戦いやすくなっていて、こちらの基地ではあまりピンチになりませんでした。やはりいい道具をそろえるのは大事ですね。

ミュール全滅

集荷基地にいるミュールを全員無力化すると、そのミュールの活動範囲を安全に渡るポーターの姿が見られるようになるなど、いい影響が目に見えてわかるようになります。各基地を初めて無力化したときに、最寄りの人物がメールで褒めてくれるおまけもついてきます。

ミュール全滅

ミュールの基地には国道の素材が多く集められているほか、収集要素のメモリーチップもよくあるので、どこも一度は全員倒して褒めてもらっておいたほうがいいと思います。ボーラガンが使えるようになったので、今後も指名なし依頼で何回も基地のそばを往復するときに、最初に全滅させておくことが多くなると思います。

川で立ち往生

岩場を流れる小川のくぼみにトラックが挟まって動かなくなったため、その場で乗り捨てるサム。ミュールのトラックはだいたいいつもこうやって乗り捨てている気がします。幸いなことに積み荷は全部背中に背負えたため、徒歩で最後の舗装装置まで運ぶことにしました。

どんどん延びる国道

なんだかんだ K4南配送センターの手前まで国道がつながりました。残りはカイラル通信の範囲外なので、本格的な素材の投入は、またネットワークが拡大してからにしようと思います。

帰りはこの道路を走ってレイク・ノットシティまで行こうと思ったんですが、途中でブーツが壊れてしまったので、クラフトマンのシェルターに寄って、新しいブーツを作るついでに、レイク・ノットシティ行きの指名なし依頼 No. 211「精巧に作られた備蓄食料の食品サンプルを届けろ」も受注することにしました。

指名なし依頼 No. 211「精巧に作られた備蓄食料の食品サンプルを届けろ」

食品サンプルって、味をお試しできる試食セットじゃなくて、ディスプレイ用の模型みたいですね。クラフトマンは非殺傷系の武器を作るかたわら、食品サンプルのような模型作りもしているようです。武器の横に本物そっくりな食品が並ぶ作業机を想像するとシュールですね。

国道をひた走るサム

国道をひたすら走っていると、早くスピードスケルトンがほしくなります。これとフローターがあったら、だいたいの依頼はこなせるようになりますからね。あと、コロナ禍のこんなご時世なので、実際にこんな自然の真っただ中を走る国道を、周りの目を気にせず一人だけで疾走できたら気持ちよさそうだなと思いました。登山家は孤独好きが多い印象ですけど、実際に一人でこんな走れる道路があったら、こっちのほうをウロウロしちゃいそうじゃないですか? 国道が完成してからは、ポーターと出会う機会も増えた気がします。

国道の素材投入が完了して、レイク・ノットシティのプライベート・ルームに戻ってきたので、最後に新しいメールや文書に目を通していこうと思います。

ミュールは善人だった

最初はクラフトマンの「ミュールは……善意の人だった」というメールです。今は有害なミュールも、もともとはポーターと同じようにデス・ストランディングの混乱期に人々を助けようとした人たちでした。しかし、じつは真っ当な配送業者ではなく、麻薬や密輸品を運んでいた違法な運び屋だったというウワサがあるそうです。違法薬物関連の可能性は、東部エリアで初めてミュールに遭遇したときに私も書いたことがあったと思います。英語で“mule”と言うとラバですが、スラングでは違法薬物の運び屋という意味で広く認知されています。Cambridge Dictionary にも記載がありますね。ミュールの名前の由来はなんだろうと言っていたんですけど、この都市伝説みたいなウワサから依存症つながりで連中の名前になったって感じが一番自然みたいですね。

薬物っていうと、小島監督がその昔に最新作を作ろうとしていたホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズでも、元凶となる教団がホワイトクロジェアという植物を儀式に使っていて、そこから PTV という特殊な麻薬が生成されていたことから、幻覚作用などを引き起こす大麻のような代物だったんじゃないかという話があります。麻薬は教団の資金調達に役立ち、同時に信仰する神との交信や奇跡を起こす力にもなり、信者獲得に一役買っていたものと思われます。もしかしたらこれも Silent Hills の没ネタの流用だったりして……っていうのはさすがに考えすぎか。

BT 討伐完了

お次もクラフトマンです。先のメールの最後に、ブリッジズからお裾分けされたサムの血液入りグレネードをポーターにも渡してみたと書かれていたんですが、ポーターも BT 撃退に成功したそうです。きちんとした道具さえあれば、帰還者のサムでなくても BT に対処しながら運び屋ができるということですね。明るい知らせにクラフトマンがめちゃくちゃ喜んでます。

DEATH STRANDING はコロナ禍以前にリリースされた作品なんですけど、この世界観、やたらと新型コロナウイルスの脅威や巣ごもりを余儀なくされる人々の生活とリンクしているんですよね。実際に帰還者のサムみたいに、現実のコロナでも抗体を持つ特殊な体質の人間が現れて、薬を作るために毎晩毎晩血を抜かれて、そのかたわら人々の希望になるような活動を体を張って続けて、その血からコロナの病原菌をやっつけられるようになって、それで引きこもっていた人々の閉塞的な心がちょっと明るく、外向きになる兆しが見えてきたとしたら、たしかにクラフトマンみたいにめっちゃハイテンションのメールを書いてしまいそうな気がします。

コロナ禍とデス・ストランディング現象を比較してクラフトマンのメールを読むと、途中の文章はずいぶん皮肉だと思います。

こんなことができるのも、UCA に加盟したからだ 😀
UCA に加盟すると、俺たちはカイラル通信の拠点としてシェルターを提供する。それから、プライバシーを含めた情報も。
その見返りに、UCA はカイラル通信を介した情報や機械を俺たちにくれる 👍
昔は税金というものがあったそうだ。
市民が納税の義務を果たすかわりに、国に守ってもらっていた 🤔
今は、お金のかわりに情報を納めるというわけだ。
ブリッジズからの情報や技術のサポートも受けられるようになったから、この血液グレネードも量産できそうだ。

クラフトマン

新型コロナウイルスの第五波を迎えている今、市民の政府に対する信頼は、地に落ちすぎて地面にめり込んでいますからね。昔の市民は納税の義務を果たすかわりに国に守ってもらっていたんですってよ!

🤔

まあ、でも、実際 UCA っていう政府みたいな組織を北米大陸で大きくしていっているブリッジズは、もともとブリジット・ストランド元大統領が立ち上げて指揮していた組織であって、小説によるとストランド家はアメリカ建国の時代からインフラストラクチャーの建設に多大な貢献と関与をしてきた名家みたいなので、ブリジットやアメリなんて既得権益の象徴みたいなところがあるんですよね。その既得権益層の代表みたいな絶滅体が、こうやってみんなを取り込んでカイラルネットワークを肥大化させ、いっきに国民を絶滅させて本懐を遂げる準備を整えていたと考えることもできる物語なので、現実に即している部分もあるっちゃあ、ありますね。あれ? その既得権益女に背後から発砲するサムは、意外と理に適ってるんじゃないの……? ダイハードマンもヒッグスも既得権益の腰ぎんちゃくみたいになって、ヒッグスなんてとくに小物感満載で上級国民ごっこしてましたよね? サムって、怒れる市民の代表ちゃうの?

ヒッグス粒子

次はカイラル通信網の拡充で読めるようになった過去の文書です。「宇宙を満たす神の粒子」でおなじみのヒッグス粒子について、ハートマンが1年の時を経て教えてくれます。これは今後ヒッグスの考察をするときに使えるかもしれないので、検索でひっかかるように文字起こししておきます。

ヒッグス・モナハンの噂なら何度も聞いた。
もともとは民間配送組織のリーダーだった男だそうだ。
大陸の西側を拠点にして、広範囲の配送システムを築き上げて、都市や人々の生活を支えていた男だ。
西側のエリアは、東海岸に本部があるブリッジズからみれば、影響力が薄い。それに西側は、昔から分離派や独立派の勢力が強い。分離過激派の活動も最近はさらに激しくなっている。その筆頭がヒッグスだが、配送組織のリーダーが、破壊活動に手を染めるに至った事情はよくわからない。
ヒッグス粒子という素粒子があるんだが、それは別名を“神の粒子”という。
それは、宇宙のほとんどの素粒子に質量を与えるヒッグス場を生み出すんだ。つまり、この宇宙にヒッグス場がなければ、あらゆる原子はバラバラになり、物質は消失してしまう。
あの破壊主義者のテロリストがヒッグスという名前だなんて、皮肉、いや悪夢だよ。

ハートマン

ヒッグスの名字はモナハンというらしいです。“Monaghan”はアイルランドに実際にある地名で、そこから関連する人物の名字としても使われるようになったようです。語源は突き詰めれば「モンク」、つまり「修道士」や「僧」です。めっちゃ宗教要素ですやん。だから絶滅体がいずれ来たる神の国を築くみたいなキリスト教めいたセリフを言っていたのかな。ちなみにヒッグスの名は言うまでもなく、ヒッグス機構を提唱した物理学者のピーター・ヒッグス氏の名前からきているんですが、このヒッグスという姓は、もともと「リチャード(Richard)」を短縮した愛称の「リック」が訛って増えたバリエーションのひとつだそうです。リチャードはゲルマン語で「支配」や「力」を意味する“ric”と、「勇敢」を意味する“hard”を組み合わせた名前で、英雄向きの名前になっています。宗教的指導者の匂いがする名前ですね。道化と紙一重ですが。

ハートマンがこのメールを書いた1年前には、すでにヒッグスが分離過激派テロリストを率いるリーダーになっていたようなので、配送業者だった過去はもはや詳しくわからないようです。ここらへんの詳しいことは、本人が書き残した手記がこのあと見つかるので、そちらで掘り下げます。

ハートマンのメールで興味深いのは、小島監督がヒッグスの名前を選んだ理由に、間違いなくヒッグス粒子との関連がある点でしょうね。まだ宇宙ができたばかりのころは、粒子に質量がなく、光の速さで飛び回っていたと言われています。しかし真空の相転移で、真空にヒッグス粒子の性質が備わったヒッグス場ができ、あらゆる粒子が質量をもって減速するようになりました。ヒッグス場は物質を形成している物質粒子と、素粒子の力を媒介する粒子の両方に質量を与えます。そのため、原子や分子といった形に粒子がまとまり、星や銀河が生まれていき、ひいてはサムが命がけで配達してつなぎ直している北米大陸ができるようになりました。

質量を生み出す契機となった粒子と考えれば、今まで私が、質量を持つ物質は生者の国である北米大陸のもので、死者の国であるビーチは物質よりもエネルギーが属する場所じゃないかとぼんやり考えていたことにも絡められるかもしれません。ヒッグスがいなければ、北米大陸を構成する物質は存在しなかったということになり、彼にはビーチのアメリと対になる性質が備わっていると考えられます。

過去にも書いたとおり、量子力学では質量とバカでかいエネルギーに互換性があります。ゲーム中に使われる対消滅という用語は、物質が反物質と合わさることで消失して真空になり、そこに大量のエネルギーが置き換えられる現象を指しています。ここで放たれた莫大なエネルギーをまた集中させると、今度は対生成によって新しい質量を持つ物質を生み出すことができます。ファインマン図形で陽電子が時間軸を逆行する理屈に当てはめれば、ひとつの電子が対生成と対消滅を繰り返しながら、形態を変えて、時間さえさかのぼって存在し続けていると考えることもできるので、ビーチの時間軸が入り乱れておかしくなっているのも、あり得そうな気がしてきます。

アメリのビーチ

電子と陽電子の対消滅なら、発生するのは光子なので、ビーチにやたらとまぶしい光を放つ天体のようななにかが浮いていた説明になるかもしれません。デス・ストランディングの象徴として用いられている虹も光の屈折ですしね。ま、ビーチの設定自体がとても曖昧なので、なんとでも言える話ではあるんですけど。

フラジャイル・エクスプレスとテロリスト

次はクラフトマンが1年前にフラジャイル・エクスプレスに関するウワサを綴ったメールです。フラジャイル・エクスプレスを装ったテロリストがノットシティに出入りしていて、彼らが運ぶ荷物に爆弾や武器が紛れ込んでいると言われていたようです。必要なのは自衛のための道具で、殺傷を用途とした武器はなくすべきだというクラフトマンの考えは、1年前から変わっていないんですね。

メモリーチップ納品

最後に、ミドル・ノットシティの廃墟でメモリーチップを拾ってくることで読めるようになった『ある男の手記』です。配信時に言っていたんですが、納品時に受け取ってくれるのはダイハードマンで、「私のためにこれを? ありがとうサム。大事にする」という感謝のセリフは英語だと“You shouldn’t have”が使われているようです。このフレーズ自体は贈り物をもらったときなんかによく使うありきたりな言い回しなんですが、「そこまで気を使ってくれなくてもよかったのに」というニュアンスが入る点で、文脈によっては「そんな余計なことしなくてよかったのに」という意味合いにも感じられます。なんかせっかく拾ってきてやったのに、素直に喜ばれてない感があるかなと思ったんですよね。

というのも、この「ある男」とは、順に読み進めていくといずれわかりますが、ヒッグスのことだからです。憎きテロリスト集団のリーダーの日記みたいなものを読めるとしたら、なんだか複雑な心境になるのは当然だと思います。テロリストの気持ちなんて理解したくないという心理と、好奇心から掘り下げたくなる心理、読んでしまったら読んでしまったで、テロリストの人間的な一面が見えてきちゃう弊害もあるので、読んだことを後悔しそうでもあります。

手記は全部で4点にわかれていて、最初のこのメモリーチップで読める範囲は、特殊な生い立ちらしい配送業者の日記といった印象になっています。

ある男の手記#1

「ミドル・ノットシティの近くにあるシェルター」は、クラフトマンのシェルターかな? ピーター・アングレールのシェルターかな? ヒッグスは西側を活動拠点にしていたと言われているので、西部エリアのほうから歩いてミドル・ノットシティ周辺まで配達に来たということのようです。あるいは、ピーター・アングレールのシェルターが彼の実家だった場合、あそこらへんの北側から南下してきた可能性もあります。

ヒッグスはもともとプレッパーズの子供で、孤児になってしまったので生計を立てるためにポーターになったと書かれています。「BT の気配を少しだが感じることができる」という点から、ヒッグスももともとはサムと同等のレベル2の DOOMS(能力者)のようです。「皆と繋がりたかったわけじゃない」という言葉も、ちょっとサムの心情に似ている気がします。

ある男の手記#2

次の手記には、配達先のプレッパーズの人間が死んでしまったので、その死体を処理したという経験談がつづられています。「もともと病気がちで、いつも運んでいる薬を届けにいった時には、もう手遅れだった」という一文で、エルダーの存在が頭に浮かびました。

このときのヒッグスって、一人称が「私」なんですね。今となっては中二病患者の典型みたいになってるのに、みょうに堅い人物に見えてきます。

BT の気配を感じることができた彼は、遺体を遺棄したときも遺体に反応する BT の気配を感じ、ビーチが見えたと書いています。BT って、遺体に反応したっけ? むしろ生きてる人間を探す設定だったはずなんだけど、ネクローシス寸前の遺体に反応するなら、BT にも仲間を認識する能力があるのかもしれませんね。それとも、アレか。ネクローシスの瞬間に遺体がタールに沈むあの現象のことを言っているのかな? あれって、BT の仕業なんだ……?

彼がビーチを見るのは初めてではなかったそうなので、これも彼の能力なんでしょう。「DOOMS になったわけではないが」と書いてますが、これを読む限り、サムと同じレベル2はあると思います。そしてフラジャイルはそのサムの能力を DOOMS だと評していました。ここらへんの基準はあいまいですね。言うても、このレベル分けはデス・ストランディング現象以降になんとなく発言権がある研究者や当事者のあいだでできた新しい概念でしょうから、解釈にバラツキがあっても仕方ないかもしれません。

ある男の手記#3

生計を立てるために配達の仕事をしていた「ある男」は、仕事の評判が上がると同時に、BT を感じ取る力がある男として広く認識されるようになったようです。その評判は西海岸方面の民間組織にも届いていて、彼を評価した組織からうちで働かないかというオファーがあったそうです。1年前のメールで、ハートマンはヒッグスのことを「もともとは民間配送組織のリーダーだった男だそうだ」と語っていますが、この時点ではその西側の組織に別のリーダーがいて、ヒッグスはその組織に引き抜かれた新人に過ぎなかったようです。そしてこの後、リーダーまで上り詰めるんでしょうね。 最初は「皆と繋がりたかったわけじゃない」 と言っていた男も、さすがに自分が仲間と一緒に人をつないでいることを強く意識するようになっています。そのときに思い出すのは、「人はシェルターの中で生きて死ぬしかない」と言い続けた父親でした。ヒッグスは自分の養父を「私をひとりにした父親」と表現しています。なんとなく、こじれた関係だったことがわかります。

ここまでの手記を読むと、生い立ちに暗い影を抱えた男が、生きるために一生懸命働いているうちに、周りの人間を支える大きな存在に大成していく成功譚に見えます。

ある男の手記#4

最後の4番目の手記で、ちょっと様子が変わります。「仲間が死んだ」という言葉から始まり、二人一組で動いていたパートナーが、霧のせいで配送ルートを見失い、座礁地帯に迷い込んでしまったという事故について記されています。対消滅の光を見て、何人目かわからないと述べるあたりに、言いようもない失意がにじみ出ています。これも突き詰めればアメリの仕業ちゃうのという気が私はします。なんとなくイゴール大爆発を目撃したサムとも重なりますし。

西側の組織には、ブリッジズと違って優秀な能力者も、立派な装備もそろっていなかったようです。さらにヒッグスは「肝心の私自身の能力も衰えてきている」と述べています。DOOMS の能力は、なにかしらのコンディションで衰えるんですね。私が勝手に考えていたブリッジ・ベイビーの理屈で言うなら、死者とのつながりとかかな。この手記のヒッグスはかなり無力感に苛まれていますが、この時点で組織全体の問題を把握して焦るぐらいにはなっているので、リーダーじゃなければトップにかなり近い地位まで、所属組織内でだいぶと出世しているんじゃないかと思います。仕事が充実して、自分に生き甲斐と自信が生まれて、反りが合わなかった父親も、ある意味自分の生き様で否定できるぐらい、ほとんど乗り越えられているときだから、死者を想うより今の北米大陸を生きることに重点がシフトしている点で、ビーチとの縁が薄れちゃったんじゃないかなと思うんですけど、どうでしょう? それか、これもヒッグスを利用しようとしていたアメリのさじ加減だったりしないかな。そろそろなんでもアメリの仕業で片付けられるようになってきました。

ここまでの流れを見ると、やっぱりヒッグスって、サムやアメリと対比できるように作られている登場人物だと思うんですよね。暴力的な父親と因縁があるのは同じだけど、サムの父親はなんやかや「橋になれ」と息子に希望を託すのに対し、ヒッグスの父親は「シェルターの中で生きて死ぬしかない」と息子の将来を潰すような呪いの言葉を残しています。サムの母親はサムを助けるために夫、つまりサムの父親に殺されています。ヒッグスの養父である伯父は、ヒッグスを産んだために妹が死に、さらに自分が子供を引き取って育てなければいけなくなったので、ヒッグスのことを疫病神だと思っている節があります。子育てをする余裕もなかったのでヒッグスに暴力を振るい、正当防衛でヒッグスが父親を殺めることになります。サムは父親と一緒に死に、絶滅体のアメリに助けられたあと、ブリジット・ストランド大統領の養子として育てられ、跡継ぎとして生きることを余儀なくされます。しかし多忙を極める養母とはまともな親子の絆が築けず、悩んだ末に彼女のもとを飛び出しています。

親元を離れたサムとヒッグスは、同じフリーのポーターとして一人で活躍します。人と人をつなぐ云々の話にはまったく興味がありませんでしたが、ともに BT の気配を感じ取る能力には長けていたので、ポーターはまさに天職のようなものでした。やがてその活躍が知れ渡り、サムは東のブリッジズに、ヒッグスは西の民間配送組織にスカウトされ、中心人物になっていきます。しかし由緒正しき政治家の家系に生まれたブリジットというリーダーを筆頭に、リソースに富んでいたブリッジズに対して、ヒッグスの配送組織にはまともなリソースがなく、先行きが怪しくなっていました。また、普通になりたくても死ねない帰還者のサムに対し、ヒッグスの DOOMS としての能力も弱まっていたようです。おそらく、ここで弱ったヒッグスが、自分より大きな力を持つフラジャイルと手を結ぶことになるんでしょう。フラジャイルはヒッグスの失敗で痛い目を見て、今はサムと組もうとしています。

ヒッグスはフラジャイルを裏切ったあと、アメリを頼るようになります。それは崇めていると言ってもいいほどの傾倒っぷりでした。もともと女性に依存する傾向でもあるのかな? もしかしたら亡くした母を求める心理が働いているのかもしれませんね。対するサムは作中、母の死を乗り越え、ルーを得たことで父親になろうとしています。サムは父親を知らず、母親との関係に苦労しているので、母親不在で父親との関係に苦しんでいたヒッグスとは反対になります。なので、親からの影響については、ちょっと単純に比べにくいところもありますね。

少なくとも、フラジャイルとヒッグスの因縁は次回フラジャイルから詳しく聞けるはずです。

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