フリーランスの運び屋だったサムは、長らく絶縁状態だった育ての親と急に面会することになって以来、彼女が残した組織に引き込まれ、国家どころか人類存亡を賭けた重要な任務を押しつけられそうになっていました。過去に養家と揉めて出奔した経験がある彼は、これまでなんとか拒否してきましたが、亡き母の跡を継いだ義姉からあらためて涙ながらにお願いされて、だんだん心が揺れ始めていました。

前回、夢のなかで訪れた義姉アメリのビーチで、彼女から第二次遠征隊になるように説得されたサムは、また義母が残した組織、ブリッジズのプライベート・ルームで目を覚ましました。ブリッジズには義母や義姉同様に、サムを第二次遠征隊にしたがっている人間が多く、とくに義母ブリジットの腹心で、引き続き跡を継いだアメリの補佐を務めるダイハードマンが、サムにせっせとブリッジズの施設について説明してくれます。サムがプライベート・ルームを使うのは今回が初めてではありませんが、今回の説明はサムが第二次遠征隊になることを前提とした専門的な説明が多くなっています。

シャワーを浴びるサム

プライベート・ルームの主要な機能のひとつがシャワーです。シャワーの説明はこれまで案内役だったダイハードマンに代わって、デス・ストランディングや能力者(DOOMS)の専門家であるハートマンがしてくれます。ハートマンは現段階でまだ作中ちゃんと登場していないので、声だけ先行して自己紹介が始まります。私、物覚えが悪いので、キャラクターにこういう登場方法をされると忘れてしまったり、ほかのキャラクターと混同したりすることがよくあります。2周目になってやっと、「そうか、この説明はハートマンだったか」と思いました。

シャワーには、付着したカイラル物質の除去効果がある。カイラル物質はホルモン分泌や神経系に影響を与え、その結果、「カイラル汚染」と呼ばれる症状をひき起こす。さまざまな恐怖症(フォビア)の原因にもなり、自殺衝動や破壊衝動に及ぶこともある。君も知っているように、能力者もカイラル汚染の症例のひとつなんだ。

ハートマン

ここら辺の説明はサラッとされているんですけど、能力者(DOOMS)の根本的な存在理由や、サムの奥さんの死亡原因などにも絡んでいる重要な設定だと思います。能力者はブリッジ・ベイビーだったサムが一度死んだあと、絶滅体であるアメリにビーチから送り返されたことを機に、こちらの世界で生まれるようになったという説明がエンディングにあります。

アメリ

このゲーム、各エピソードの名前が登場人物名になっていて、エピソードごとにローディング画面がその人物の画像に切り替わります。今は『アメリ』と題したエピソードなので、アメリの姿が見られるんですが、ビーチらしき場所で手にシレッと赤ちゃんを抱えています。この段階だとわかりにくいんですが、エンディングまで見るとブリッジ・ベイビーとして最初の生を終えたサムとの関係の示唆だろうと察しがつきます。赤子を抱えたアメリの手元には逆さ虹が光っています。アメリとサムの絆に虹が使われているあたりも、この世界では逆さ虹が必ずしも凶兆とは限らないことの示唆だと思います。

ただ、ハートマンの説明を交えて大雑把にまとめると、能力者もけっきょくはカイラル物質に過剰にさらされたために生まれるようになった新人種なんだと思います。カイラル物質の汚染で死ぬ種もあるし、適応して能力を開花させる種も現れるといった自然淘汰のような感じですかね。ここらへんは放射能汚染や with コロナの時代と同じく、ビーチとつながったこの北米大陸で人類がどうやって生き残っていくのかといった課題になるんじゃないでしょうか。

RIDE with Norman Reedus

シャワーの次は、同じシャワールームの壁に収納された便器を出して使えるようになるおトイレです。律儀に大と小に分けられていて、大のほうはサムを演じるノーマン・リーダスさん主演の旅番組『ライド with ノーマン・リーダス』の画像がバイクのエンジン音とともに目隠しに使われ、小のほうは大自然の写真に自然の水音が合わさってサムのプライバシーを守ります。

追記 追記

RIDE with Norman Reedus

ここの画像は半年前ぐらいに PS4 に撮り溜めておいたプレイ動画のスクリーンショットなんですけど、久しぶりにプレイしたら、トイレ(大)の目隠しスクリーンが新しいバージョンになっていました。PC 版が発売されたりもしたので、それを機に切り替えられたのかな? 細かいですね。

その昔、上沼恵美子さんがテレビ番組で、乙姫は音量が控えめなうえに実際の排泄音とは異質すぎて音を隠しきれていないという不満をぶちまけていたのを覚えています。なんなら手でもバンバン叩いて拍手の音を個室にとどろかせながら排泄してやりたいぐらいだみたいなことを言っていて、隣の家族がうなずきながら噴き出していたのを覚えています。こういうトイレの仕様には男女差もありそうですが、正直、大の音をごまかすためのバイクのエンジン音って、なかなかいいと思うんですよね。お上品な水音を被せるよりごまかすパワーがあるような気がします。

ちなみにサムが使うプライベート・ルームの便器は、アメリカ(UCA)産で SOLSTICE(夏至や冬至の至点の意味)というメーカーロゴが入っています。本作はまるで異次元に切り離されたかのような北米大陸が物語の舞台になっていますが、サムの爆発ポエム語りやエンディングの演出、隕石が関わっている細部の設定などをよくよく見ていくと、宇宙物理学も考慮して世界観が構築されているようです。昼夜の区別がなくなった北米大陸の世界で、あえてこの言葉が使われているのも意味があるかもしれません。それともたんに、消えゆく言葉を残したくてこの名前を付けたみたいな設定なのかな。

サムは寝ているあいだにも採血されているし、こうやってシャワーやトイレで流した老廃物なども回収されてブリッジズの研究材料にされています。サムの基本的な体調を管理する目的のほか、どの程度カイラル物質に汚染されているかを逐一把握するため、さらには帰還者としての能力を分析する目的でも採取されています。もはやあらゆる面でサムにはプライバシーがありません。プライベート・ルームとは皮肉です。

When you relieve yourself, a certain amount of chiral matter is flushed from your system.

Heartman

英語版のハートマンの説明によると、この時代を生きる人々の小便には少なからずカイラル物質が含まれているようです。核戦争後の終末世界を生きる人々のなかに放射能汚染されていない人がもういないのと同じで、このデス・ストランディング後の終末世界でも、もはやカイラル物質は避けて通れないものなのかもしれません。あるいは、もしこの主語の“you”が特殊な能力者であるサム個人を指していたら、能力者にはカイラル物質を放出する特殊体質があるということになり、絶滅体であるブリジット・ストランド前大統領の体からタールがあふれ出ていた可能性ともつなげて考えられるかもしれません。

ストランドについて説明するママー

ハートマンの次に説明してくれる専門家は、初めての配達で荷物を受け取ってくれたママーです。彼女は配達に関するオペレーションとメカニック全般を担当しているハードウェア・デザイナーです。物語の後半に登場する双子の妹のロックネがソフトウェア・デザイナーで彼女と対になっています。

彼女がここで説明してくれるのは、サムが標準装備として持っている縄(ストランド)です。「縄」は物語の冒頭に引用されている安部公房の『なわ』にちなんだ道具ですし、ストランドという読みはサムの養家であるストランド家の名にそのままつながります。前回も書きましたが、縄の訳語に『なわ』の引用文どおりの「ロープ(rope)」ではなく、「より糸」を意味する「ストランド(strand)」を持ってくるあたり、この縄が単純になにかをつなぎ止めるためだけのものではなく、なにかもっと大きなものを織り上げる素材となることを示唆している可能性があります。

このサムの縄(ストランド)にはサムの血液が織り込まれていて、身分証明も兼ねています。この後、ブリッジズの各配達拠点を訪れるたびにサム個人がきちんと認識されるのは、このストランドを腰にぶら下げているからということですね。また、のちほど判明するとおり、帰還者であるサムの血液には特殊な効果があるため、BT 撃退に効果を発揮するなど、ほかの人の縄では代用できない特殊性がサムの縄にはあります。ここらへんは、先に第一次遠征隊として北米大陸を横断した絶滅体のアメリが、なぜこうもサムに北米大陸をつなぎ直す第二次遠征隊になってほしがっていたのかを説明する理由になる気がします。絶滅の淵に追いやられた人類には、サムのような殺しても死なないしぶとさが必要だったところもあったんじゃないでしょうか。

ところで、このオレンジ色のスーツには細かな汚れがついているので、おそらくサムが実際に着ていたものでしょうね。

BB RECONNECT SYSTEM

続いて、イゴール先輩から受け継がれ、サム専用装備となった BB-28 について、すでにおなじみのデッドマンが説明してくれます。ブリッジズが開発したブリッジ・ベイビーは、脳死した母親から取り出した胎児が主要な部品になっています。胎児として長く生かすために、母体と定期的に同期を図り、まだ胎内にいるかのような錯覚をさせる必要があります。サムのプライベート・ルームにはこういったブリッジ・ベイビーの調整をおこなう「インキュベーター」と呼ばれる再接続システムが設けられています。プライベート・ルームにいるあいだは、ポッド越しに細かなコミュニケーションを図り、親密度を上げることもできます。また、このコミュニケーションの際には、サムがたびたび悪夢を見ることがあり、死に近いブリッジ・ベイビーの性質が関連しているんじゃないかと私は推測しています。

デッドマンはここで、いちおう BB-28 をサム仕様に仕上げてはいるが、微調整は実地での様子を見ながらやっていきたいと述べています。これは、このあとすぐ彼女が中毒を起こすイベントにつながるフックになっています。

ルーデンス・マスク

最後に、プライベート・ルームではサムの装備を細かくカスタマイズすることもできます。この選択肢は物語を進めて配達をこなしていくと増えていきます。ここのカスタマイズ画面で、サムが冒頭から着用しているサングラスの名前が“Ludens Mask”であることがわかります。ホモ・ルーデンスと、作中キャラクターが着けているマスクについては、KOJIMA PRODUCTION のロゴにちなんで書いたマスクの話で詳しく言及しています。

ブリッジズのスーツの色については前回取り上げたので省きますが、ダイハードマンの説明で、ここの右端のケースには、カイラル物質も含め、スーツに付着した汚れを除去する最先端の機能が備わっていることがわかります。サムがどれだけタール塗れになっていても、プライベート・ルームで休めば全身すっかりキレイになるのはこの機能のおかげです。

あとは、入り口手前の壁に、手錠端末と同じ情報を参照できる情報端末の画面が大きく投影されています。

プライベート・ルームを一通り使い終わり、説明も受け終わると、入り口からダイハードマンが Qpid 片手に入ってきて、もう一度、サム相手に第二次遠征隊にならないかと説得を始めます。第二ラウンドの火ぶたが切られました。

Qpid

ダイハードマンは、カイラル物質が使われている Qpid を「身に着けられるのは能力者(DOOMS)だけだ」と語ります。ここにも第二次遠征隊がサムでなければならない理由があるようです。英語では“Chock-full of Chiralium”と言われているので、使われているどころか主成分の可能性もあります。どうりでフワフワ宙に漂っているわけです。

サムはしばしその宙に浮く Qpid を見つめたあと、視線を落として、自分はあくまでも運び屋であるため、世界をつなぐことには興味が無いこと、あくまで義姉アメリを悲惨な状況から助け出すために「結び目(ノット)」と呼ばれる北米大陸の都市をつなぐことをダイハードマンに宣言します。

Qpid を持つサム

それを了承ととらえたダイハードマンは、サムに Qpid を託します。サムはこれをもってブリッジズから第二次遠征隊となる任務を正式に請け負いました。

Qpid を装着するサム

鏡の前に立ったサムは、Qpid のヒモを左右に広げて首からぶらさげるようにくくりつけます。その様子は前回、アメリにビーチで右手に握らされたドリーム・キャッチャーを寝起きに装着する流れとほぼ同じです。Qpid はある意味、アメリとサムの絆を象徴するドリーム・キャッチャーの上位互換品なんでしょう。

Qpid には数式が彫られているようだという話を以前に書いたんですが、今回気になったのはもっと基本的な名前です。カイラル通信を実現するこの装置は、ローマ神話の「キューピッド」と同じ読み方をします。キューピッドは恋の矢を放つ幼児のような天使の姿で描かれることが多く、矢で射った人を恋に陥らせると言われています。考えようによっては、人と人をつなぐ橋(ブリッジ)の色恋バージョンと解釈することもできるので、前々から私が指摘していたとおり、世界をつなぎ直す救世主のサムと絶滅体のアメリの関係に男女のそれを匂わせているところがあると考えることもできます。進化をうながす種の繁栄は、絶滅の対義として今作のテーマになっているところがあります。

ただ、キューピッドはもともとギリシア神話では、恋心と性愛を司る神エロスに相当します。もとをたどれば世界の原初から存在する偉大な力を持つ男神で、エロスが放つ弓矢は、黄金のものは激しい愛情を、鉛のものは恋を嫌悪する心を相手に芽生えさせると言われています。そう言えば、カイラリウムは結晶になると金色を呈するようになるんですが、そのカイラリウムがたくさん含まれているらしい Qpid は鉛みたいな色をしていますよね。サムの接触恐怖症は、親密な関係になった相手に性欲を覚えるデミセクシャルの傾向を抑え込もうとする心理に由来しているという亡き妻の診断があるんですが、このサムの特徴となにか関係があるかもしれません。

ちょっと気になっているのは、前回夢のなかでアメリのビーチを訪れたサムが、アメリに抱きつかれたときに、フラジャイルブリジットと違って、接触恐怖症の拒絶反応を見せなかったところです。これはアメリに肉体がないからとも解釈できますが、なにかマリオとビーチ姫の関係性に絡んでいるのかもしれません。

追記 追記
このあと、「カー(魂)」と「ハー(肉体)」という専門用語がゲーム内で使われていることから、古代エジプトの死生観を取りあげた記事を書いたんですが、キューピッドには人間の美しい少女プシュケーと恋に落ちて結ばれる物語があります。プシュケーはもともと「息」を意味した言葉で、転じて「心」や「魂」という意味合いを持つようになり、ここらへんの解釈が古代エジプトの魂の概念に近くなっています。性愛の神エロスに相当するキューピッドが肉体を作り、プシュケーが魂を司るというふうに対比させることもでき、『デス・ストランディング』の世界観と照らし合わせると、キューピッドが肉体を持つ生者、プシュケーが肉体を持たない死者の魂ととらえることもできるかもしれません。つまりキューピッドは生者の世界を司る神です。

髪の毛を結んだサム

Qpid を装着し、手錠端末を締めて、髪の毛を結んだら、第二次遠征隊としてキャピタル・ノットシティを出発するサムの身支度が始まります。その様子が描き出されるあいだ、ダイハードマンによる第二次遠征隊の任務おさらいが音声で流れます。

アメリと第一次遠征隊は、東から西へ北米大陸を横断し、孤立した都市に「結び目(KNOT)」を整備した。だがインフラが整っただけで、カイラル通信は繋がっていない。今できるのは、無線と有線による音声通話と、わずかなデータ通信という程度だ。ローカルデータで補完しないと、カイラルグラムは表示できない。君が見たアメリやブリッジズのメンバーは、皆ローカルデータを元に再計算したホログラムだ。君がすべき任務は、それぞれの結び目(KNOT)にそのQpid を接続し、カイラル通信を起動させることだ。Qpid を現地の端末に接続して初めて、「相互超大容量ゼロ時間通信」が可能となる。

ダイハードマン

アメリが大統領執務室で第一次遠征隊として西海岸に到達したと語ったときに、サムがめずらしく声に出すほど驚いていたのは、小説『デス・ストランディング(上)』によると目の前のアメリがホログラムだと気付いたかららしいです。あのときのアメリの姿も、彼女に関するローカルデータが豊富にあるから実物が目の前にいるかのように再現できていたわけです。逆に言えば、サムはアメリの肉体がずっとビーチにあると教えられて育ってきたはずで、肉体がない存在であることを知っていたはずですが、実物が目の前にいるってどういうことだと解釈していたんでしょうね? そっちのほうが気になります。

Amelie and the other Bridges members you’ve seen around the place are “grams” generated with local data, in case you didn’t know.

Die-Hardman

この「ローカルデータを元に再計算したホログラム」は、上述のとおり英語だと「ローカルデータから生成された」ただの「グラム」という言い回しで、カイラルグラムですらないと言いたそうな印象なんですが、サムがここキャピタル・ノットシティで目にしたアメリ以外のブリッジズのメンバーに相当するデッドマンは、初めてサムと会ったときに自分の姿が「カイラルグラム」だとはっきり言ってるんですよね。なんか表現の違いだけで、いちおうローカルデータの割合が多いカイラルグラムの一種であるとは言えるものなのかな。

「相互超大容量ゼロ時間通信」なるものは、またのちほど詳しい説明があるのでざっくり省きますが、時間の概念がないビーチを経由させることで膨大なデータ量でも遅れることなくやりとりできるようになる通信システムらしいです。

過去ともつながるカイラル通信

ビーチには時間の概念がないので、ビーチを経由した通信ネットワークを確立すると、デス・ストランディングの現象が始まる前に使われていた過去のネットワークにもアクセスできるようになるらしいです。よって、物語を進めると、今となっては失われてしまった情報もどんどん掘り返せるようになります。ダイハードマンはそれを、地層を掘り返して恐竜の化石を復元する行為に例えています。人類の失われた叡智も、在りし日の文明も、カイラル通信があればかつてのように取り戻せると考えているようです。

縄(ストランド)の匂いを嗅ぐサム

縄(ストランド)をスーツの腰に着ける前に匂いを嗅ぐサムにはちょっとウケました。この繊維にはサムの血が織り込まれているという説明だったので、内心「ギョエッ!」と思ったのは本人も一緒だったんでしょう。サムの妙に人間らしい部分が垣間見えます。

カイラル・プリンター

カイラル通信で大容量のデータを送れるようになることで、サムの装備品を含む物資などの3D データもやりとりできるようになるので、各所で同じ規格の物を生成するカイラル・プリンターが使えるようになります。さすがに物質自体は転送できないはずなので、原料さえ確保すれば送信元と同じ物をプリントアウトできるという装置のはずですが、イメージは『スタートレック』シリーズのレプリケーターみたいなものかもしれません。

思い出の品は複製できない

カイラル・プリンターの説明は、サムの装備品を調達するゲーム・システムの説明でもあるんですが、笑顔の義母ブリジットと、顔がぼやけた妻と一緒に映る家族写真を手にしたサムは「魂ある生物や唯一無二のもの、思い出の代物は送れないはずだ」と反論します。

運び屋の重要性

その言葉に納得したダイハードマンは、だからこそ「君たちのような配達人(ポーター)の存在が必要なんだ」と語ります。たしかに、Amazon と運送業者は with コロナの時代でも、それ以前の without コロナの時代でも必要とされてきました。物資の運び手はいつの時代も重要です。

ブーツを手に現れるデッドマン

BB-28 を手に取って、おおかたの準備が整ったサムにダイハードマンが上階の配送端末をチェックするように伝えます。するとサムのブーツを手にしたデッドマンも部屋に入ってきました。デッドマンはサムの血が染みこんだブーツを手に、ここまで履き潰したのだからもう廃棄すると伝えに来たようですが、サムは BT が一度ならず二度までもこのブーツの血に反応したことを告げます。こうしてデッドマンは BT に対するサムの血の効果を研究することになりました。サムはこれまでもけっこう長いあいだフリーランスで運び屋をやっていたはずですが、この流れからすると、ブリッジズの過酷な任務みたいに、今まで道中出血して BT に迫られるピンチに陥ったことはなかったようですね。

サムと接続する BB-28

上階へと向かうエレベーターに乗ったサムは、その途中で BB-28と接続します。このシーンは今後プライベート・ルームからサムが出るたびに流れるようになります。

リサに語りかけるクリフ

BB-28と接続すると、クリフォード・アンガーの映像がほぼ毎回見えるのもお決まりの流れになっています。彼の映像は、ある程度はパターンが決まっていて、毎回どれが見えるかはランダムで内容が決まるようですが、初回となる今回はクリフが脳死した妻に語りかけ、視点主のブリッジ・ベイビーをポッドごと連れ去ろうとする場面が見えます。

パパだよ

ポッドを持ち上げたクリフは、手元のブリッジ・ベイビーに「パパだよ」と語りかけます。物語を一度クリアすると、脳死した妻と我が子をブリジット・ストランド大統領に利用されたと気付いたクリフが、我が子だけでも助け出そうと、脳死状態の妻を拳銃で殺害し、ブリッジ・ベイビーを病院から連れ出そうとした場面であることがわかります。何度も書いてきているように、このブリッジ・ベイビーは BB-28ではなく、サム本人でした。BB-28は今後サムと接続するたびにサムの父親の姿を彼に見せてあげています。

黒く閉じる BB-28のポッド

接続が完了すると BB-28のポッドは黒く覆われた状態に戻ります。ブリッジ・ベイビーのポッドは BT をスポットするときなど、機能しているときだけ透明になって、あとは光を遮断して通常の胎内と似たアイドリング状態に入るみたいです。これまでの彼女の挙動を見ていると、このときはたいていなかで寝ているんじゃないでしょうか。

このシーンでは、ポッドにイゴール先輩が付けた宇宙飛行士ルーデンスのフィギュアがまだぶら下がったままであることがわかります。このフィギュアは、ブリッジ・ベイビーだったサムに父クリフが与えたものと同じであり、エンディングで宇宙を旅する彼のフィギュアは、デス・ストランディングで絶滅に瀕して宇宙の神秘を紐解こうとする人類の姿を象徴しているようなところがあります。

配送任務スタート

ということで、やっと長い長いムービー地獄が終わりを告げて、具体的にサムを操作して話を進められる段階まできました。次回からサムの冒険が始まります。

だからなんだって感じですけど、ここまでのムービー、全部去年に撮り溜めていたものでした。ブログの記事にするだけで半年かかっちゃった!

指さし K2西中継ステーションに続く
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