DEATH STRANDING のプレイ日記始めます。
小島監督の最新作やっていきます!
いろんなゲームをやっているところなんですけど、さらに少し遅れて DEATH STRANDING(『デス・ストランディング』)、通称『デススト』のプレイも開始しました。有名な俳優さんたちが続々起用された作品なので、普段ゲームをしない映画ファンのプレイも想定されていて、難易度は全体に低めに設定されているという情報があったのですが、私もアクションは苦手なので、とりあえず最初はノーマルで始めました。
やっと BB を連れて本格的に好きに動き回れるようになったところで、ほかのプレイヤーの落とし物を見つけては序盤の拠点を行ったり来たりして、やってるとあっという間に時間が過ぎるけど、中毒というほど没入感があるわけではないという手応えを感じていました。どちらかと言えば、なんとなく荷物があったから届けに行ってしまうという不思議な惰性で続けるゲームだなと思いました。先に進めてストーリーを早く知りたくなるとか、もっと装備や設備をあれこれしたいという意欲がわくギミックがあるとか、そういう感じでもなく、最初は「これからおもしろくなるかなぁ~」と期待しながら続けて、気がついたらクリアしていた感じです。けっきょく難易度は変更せずにノーマルのままでした。
正直に言って、私にとってゲームプレイ要素の仕掛けはいまいち不発なまま終わった気がします。人を選ぶゲームだとあちこちで言われていますけども、私も楽しいと思えるゲームではなかったというのが正直な感想です。それでもエンディングを観るまでは、ストーリーはよく練られているという印象を受けていました。同じ路線でもいいから、是非次回作を作って、どんどんおもしろいゲームを世に輩出してほしいとも考えていました。専門用語もホイホイ出てくる独自の世界観のなかで、プレイヤーを置き去りにせずに丁寧に説明して、その丁寧な説明のなかにも、たとえば“じつはこのキャラクター、みんなのもとを離れてからもう数年経ってて、今観てるのは昔の姿をもとにしたホログラムなので、実際の今の姿とは違うかもしれませんよ”とか、きちんとプレイヤーの頭のなかで像を結びやすい情報を先に提示しつつ、それでも話が展開するとプレイヤーの予想をきちんと裏切ってくれそうという期待も随所随所でできる感じが好感度大でした。
ただ、エンディングのオチが、けっきょく主人公の設定のネタばらしで終わったのは物語として弱かったかなと思います。もっとキャラクターの心理をじっくり描写して、美しい物語を織れたのにと考えてしまいます。ダイハードマンの涙ながらの独白とか、エンディングへ向かう足早な展開のなかで唐突に始まるので、完全に演出機会を潰された印象を受けました。ゲームプレイに期待できなかったぶん、ストーリーへの期待が大きかったので、こういう最後の締めかたがすごく残念でした。
ネタバレ順序を反転してまでプレイヤーの度肝を抜きたいというのはわかりますが、プレイヤーが本当に知りたいのは作り手が勝手に仕掛けた意外な設定ではなく、そこで生まれるドラマだと思います。作中集められるオマケ要素のメモリーチップでも言及されていた作品に『スタンド・バイ・ミー』という不朽の名作があって、そのなかで主人公が仲間にせがまれて即興の物語を聞かせるシーンがあります。その話は甲状腺の病気で肥満体型になり、兄弟からも「ブタケツ」のあだ名でいじめられている男の子がパイの早食い競争に参加する筋書きです。彼は勝つために大会に出場したのではなく、まわりの人間が苦しくなってきたところでわざと嘔吐し、まわりの吐き気を誘発して大会をゲロまみれにする復讐が目的でした。汚い復讐に仲間は大盛り上がりですが、その後の展開を聞かれると主人公にはアイデアがありませんでした。兄が亡くなり、鬱屈とした家庭で過ごしていた彼は復讐というプロット自体がオチになると考えていましたが、話を聞く仲間たちにとってはそれほど重要な要素ではなかったのです。結果、話はおもしろいが終わりはよくないと仲間から評されることになります。このゲームでも同じ印象を受けました。主人公の意外な設定は、途中重要人物との会話が明らかに歯抜けになっている違和感をプレイヤーに与えてまで最後に持ってくる目玉だったのか、私は疑問です。もっとそのことで描いてほしい物語というか、物語の締めくくりかたがあったなと思います。2周目はどうしてこうなったのかをじっくり考察していきたいと思います。
じつは私、小島監督の代表作である『メタルギア』シリーズはどれもまともにちゃんとプレイしたことがありません。その昔 PlayStation で発売されたシリーズ3作目の『メタルギアソリッド』を、ネタがわかる程度に友達と一緒にちょっとやったぐらいです。それでもなぜ彼の最新作を期待して待っていたのかというと、私、ホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズの大ファンなのであります。小島監督が今作にも登場しているギレルモ・デル・トロ監督と一緒に作ったプレイアブル・ティザー、P.T. のインパクトは本当に、言葉では言い尽くせないものがありました。
『サイレントヒル』は『バイオハザード』のヒットで生物兵器によるゾンビものが席巻したサバイバルホラーのジャンルで、オカルト設定を貫きながら独自の世界観を築いた傑作でした。不可思議な出来事が続々起こる異世界で、極限まで追い詰められた人々の心の底があぶり出される、あの物語。P.T. に出会ったときに 「この人に任せておけば、みんなの度肝を抜く新しい『サイレントヒル』が生まれるに違いない」とまで本当に感じました。残念ながら、のちに KONAMI によって封印されちゃうんですけどね。だから今作もずっと「監督、本格的なホラーゲーム作って!」と願いながらやってました。そうしてくれるなら、今作私には合わないという結論に達したこのゲームに投じたお金もまったく惜しくないし、なんならもっと投じてもいいです。大手ゲーム会社から独立しても、ちゃんとゲームを作れる人なんだなと感じたので、もっといいゲームをどんどん生み出してほしいと心底思います。
初見のプレイ日記をつけようかと考えていましたが、正直自分のツボではないゲームに手を出してしまったかもしれないという手応えのままエンディングまで行き着いてしまった感じなので、プレイの細かな記録は控えるようにしていました。 一通りクリアして、個人的にゲームプレイに魅力はあまり感じなかったものの、世界観やストーリーの伏線など、作り込みの奥行きに興味が出てきたので、2周目を難易度ハードにしてぼちぼち記録に残していこうかと考えています。このブログのあちこちに注意書きしていますが、いずれの記事もネタバレが普通にあります。冒頭の記事でも「そういえばラスボスはああだったから……」みたいな文章をうちは平気で書くのでご注意ください。