ここ最近、私の時間を一番に奪い取っていたゲームは間違いなく Fallout 4 です。発売当時から人気実況者のプレイ動画を観たりして、存在は知っていたんですが、おおよそ自分でもやりそうにないゲームだと思っていたジャンルでした。

それが発売から2~3年も経って、なんでやろうと思ったかって、夢に見たからなんですよね。夢のなかで、ゴミに覆われた土地を一生懸命耕して、野菜かなにかを植えていたら、外が騒がしくなって、「犬の怪物が襲ってきたんだよね~。でも昨晩のうちに頑張って入り口にバリケード造っておいたから、侵入されることはないんだよね~」って、一緒に住んでた人と「よかったね」って話してたところで目が覚めました。

夢で見たアクセサリーや雑貨をインターネットで検索して、似たものを買うことが前からあるんですが、今回も夢の内容を思い返していたときに、「これ Fallout 4 じゃね?」と思い立って、PS4でダウンロードしてみることにしました。結果、ものすごい時間がこのゲームに吸い取られていきました。

ショーンおかん

私がこのゲームに食いついたのは、言わば世紀末版 The Sims 4 になるかもしれないという淡い期待があったからでした。核戦争によって滅び、荒廃した世界で、少しでも心地のよい居住地を築くわけです。しかし、そんな私の第一目標とは裏腹に、基本はリアルなオープンワールドを散策するシューティングゲームです。銃を撃って戦うゲームって、プレイ経験がほぼ皆無だったので、クリアする目標はかなり高く見えました。でも、なんだかんだ難易度をいじらずにエンディングを見ることができました。私みたいな V.A.T.S. 頼りの素人でもできるようにするのって、ゲームの難易度調節かなり難しいと思います。ゲーム設計する人って、本当にすごい!

エイダ

私がクリアできた理由は、きっと追加 DLC のエイダの存在も大きいと思います。エイダは旅に連れて行けるコンパニオンの一人なんですが、強化すると鬼のように強くなります。私がアワアワしていても、ガトリングレーザーで敵を蜂の巣にしてくれるので、レベルが上がりきるまで一時エイダ無双な時期がありました。

うちは最初から追加 DLC 全部入りのゲーム・オブ・ザ・イヤー版を購入したので、正直プレイ開始当初はどれが追加要素でどれがオリジナル要素なのか、まったく区別がついていませんでした。でも、意識するようになったのは間違いなく、このエイダが含まれる Automatron がきっかけです。なんていうか、ゲームバランスが目に見えて崩壊するんですよね。私でもわかるほどに。ほかの Far Harbor とか、 Nuka-World は、意図的にクエストを進めない限りは、本編の舞台である連邦本土にダイナミックに干渉してくることがないんだけど、この DLC は入れると散策範囲を広げるだけで勝手にイベントが進んで、街中にいたって普通に第三ならぬ第四勢力のラスト・デビルという新種のレイダーが出没するようになります。引き連れているロボットもあいまって、なかなか強いので、レイダーとスーパーミュータントの拠点を渡り歩いて三つ巴の戦いを勝手に繰り広げているなんてこともあります。そして、生き残るんですよね。私はそこに漁夫の利を狙って飛び込んで、横から飛んできたヤオ・グアイとデスクローにやられました。

ゲームプレイに影響を与える DLC 全体に言えることですが、プレイを拡張することで、ゲームバランスや世界観が一度全部覆される感じがするので、あくまで私の感想ですが、できれば DLC なしを楽しんでから、薬味のように味を変える目的で DLC を加えたほうがよかったんじゃないかなと思います。

世界観が覆るというと、まさに最後の DLC の Nuka-World なんですが、エイダとラスト・デビルがゲームバランスを崩壊させてくれたおかげで、DLC の情報を調べた際に「個別に楽しんだほうがいい」という前情報を知ることができました。ネタバレしたくなかったので、基本ゲームの攻略情報は調べずに進めてたんですが、DLC のこういった情報は先に調べておいてよかったと今でも思います。

Nuka-World は本編のエンディングを見てから、ネットのオススメ情報どおり、セーブデータを分けて一通りクエストをやることにしました。レベルが上がりきってからだったので、もうちょっと苦戦するぐらいのほうがゲーム的には楽しかったんだろうなという感じはしましたが、事前の警告があったのもあって、この DLC 自体、前評判ほど悪くないというのが私の感想です。某ネズミの国を彷彿とさせる一大テーマパークはなんだかんだで見ていて楽しいし、あちこちまわってクエストをこなしているときも普通の病院や工場の跡地で物漁りしているよりよっぽどワクワクしました。その点、Far Harbor よりもお気に入りです。

ポーター・ゲイジ

嫌われ者のレイダー集団も、距離を縮めてみると人間味があって悪くない感じがします。最後にレイダーのボスを皆殺しにするクエストがあるので、当初はほかのクエストが全部終わったら最後に全員絞めようと考えていました。でも、コンパニオンの一人であるポーター・ゲイジと仲良くなると「ああ、この人、また自分が信じたボスに裏切られるんだな」と同情してしまい、けっきょくレイダーを裏切らずにいるデータが本採用で残りました。思うツボです。

拠点作り

で、一番の目的だった居住地づくりですが、残念ながら期待ハズレでした。うっすらわかってはいましたけどね。Fallout 4 は遊べる要素がいっぱいありすぎて、お腹いっぱいになるので、これはこれでよかったかもしれないと今では思います。

The Sims 4 でも課題になってますが、オブジェクトを多く置きすぎるとゲームの処理スピードが追いつかなくなるみたいで、どの居住地にもオブジェクト設置数の上限が設けられています。これ、最初気づかなかったんですが、けっきょく突き詰めていくと各居住地のスペース全体を活用して、20人程度の集落を苦なく運営できるようにしようと思うと、生活必需品を置くだけでほとんど容量いっぱいになるんです。そうなると、どの居住地も代わり映えせず同じことの繰り返しで、後半は将軍業で新しい居住地を開放するたびに作業感が漂ってました。だから、将軍より総支配人が好きだったのかもしれません。

でも、敵地を制圧して、戦利品を持ち帰って、拠点を発展させるっていうのは、Minecraft あたりのゲームでも、洞窟なんかを散策して、資源をしこたま持ち帰って、それをもとに豪華な家を造って、ツールを強化していくっていう充実感や達成感にも通じるところがあるんですよね。ゴミ漁りしながらクエスト進めて拠点を作っていくのは、私のツボ的には、ゲーム要素としてとてもよかったと思います。

拠点作り

私の一番のお気に入り居住地は画像にもあるとおり、ハングマンズ・アリーです。入り口に死体が吊り下げられている路地だからこの名前なんですが、背の高いアパートに囲まれているので、地面の面積が圧倒的に狭いんです。ここに必要なオブジェクトを置くとなると、上へ上へと高さを出さざるを得ません。

壁となる周囲のアパートからも侵入口がいくつかあって、それを考慮してタレットを配置したりして、結果的にほかの居住地でしなかった建築をするいいきっかけになったし、個性がでたと思います。

ほかの居住地にも土地の高低や周囲の環境、水場の面積、もともとが農地だったり、なにか既存の建物があったりなど、いろいろ個性はあるんだけど、建築をやり始めてここほど工夫が求められる感じはなかったんですよね。本当に、私みたいな凡人だと、同じことの繰り返しに陥ってしまう感じで。

もしシリーズ次回作にまたこういう居住地づくり要素があったら、こういう幅も広げられたら嬉しいな。

ハングマンズ・アリー

居住地づくりで差別化されていると言えば、Vault(核戦争対策の地下シェルター)を自分で造れる追加 DLC の Vault-Tec Workshop があります。これ、最初なにかわからず、私は今になってようやく遊んでいる最中です。クエスト自体は完了させたんですが、勝手がわからず、Vault らしい設備をほとんど使わずに終わらせてしまったので、クリア後に攻略サイトで開発者が実際に遊んでみせるプレゼン公式動画を発見してビックリしました。

Vault だけじゃなくて、居住地づくり全体に言えることですが、このゲーム、基本的に説明らしい説明がないんですよね。クエストもわりと「やりゃあ、わかる」的なぶっつけ感あるし。とりあえず黙ってやって、違和感おぼえたときに、あとからネット検索して納得することが多い印象です。だから2周目をやる醍醐味があるのかな。

Vault 建設は勝手がわかると新鮮で、いろいろ遊べるんですが、ほかの居住地より規模が大きいぶん、1か所造るともうお腹いっぱいになってしまうところがあります。やっぱ居住地建築のコンテンツに厚みが足りないからだと思うんですよ。

次、シリーズの正式なナンバリング作品が出て、居住地づくり要素がまたあるのなら、もうちょっと建築のバリエーションというか、作業感が出ない程度に選択肢の幅が出たらいいなと期待しています。ワークショップの設置可能なアイテムが増える DLC でも、実際に建築を始めると中身がわりと薄くて、トレーラー見てワクワクするほど楽しくないんですよね。

最後に、もう古くなった作品なので、ネタバレを気にする人はいないと想定して、本編エンディングの感想もここに書いておきます。

八方美人プレイができないのはつらかったけど、それがいいゲームになった理由なんだろうなっていうのは強く感じます。結果的に、自分としては、B.O.S. に味方するエンディングが一番違和感ありませんでした。どの組織にも内部にほころびが見える描写があるので、全部が全部肯定できるわけじゃないけど、テクノロジーに対するスタンスとか、組織の統率され具合とか、なんかいろいろ、文句言うものの離れられない職場に近い感覚がありました。「でも、ここしかないんだよね」「たまに相容れないんだけど、なんだかんだ、しっくりくるところもあるんだよね」っていう、ああいう感覚。スクライブ・ヘイレンと女子会できるかもしれない、私。

レールロードは防具開発とかでお世話になったけど、話を聞いてるとたまに「ん?」と頭の上に疑問符が浮かぶことも多くて、真っ先に味方候補から落ちることになりました。「どうしてインスティチュートは人造人間を作るのか」みたいな会話で「神様を気取りたいから」と安直に結論づけているところとか、各イベントの対応から見える姿勢とか、なんか底が浅い感じがしたんですよね。もう少しデズデモーナはじめ、メンバーの個人的なエピソードとか、どうして人造人間を救いたいのか、インスティチュートを許せないのかといった話を掘り下げられていたら、人間性という点から味方したいと思えたかもしれません。でも、残念ながらなかったので。

インスティチュートも正直、理念や人間性やなんやで肯定しがたいところがたくさんあります。ただ、やっぱり息子の存在ですよね。実際 B.O.S. ルートやったんですが、露骨に親に裏切られた子供の激高とか見せるんですよ。冷静そうに見せて、なんだかんだ親に甘えたかったのかなと思うと、それを裏切る罪悪感がなんとも。最初に侵入したエレベーターからの眺めなんて、ショーンにしてみれば最高の“どや”シーンでしょ。捕まえたネズミや金魚や小鳥連れてくるネコみたいな。やっぱり素直に褒めて肯定してあげたいのが親というもの。方向性に違いはあれど、あれだけのものを築き上げるのはそれ自体が尊敬に値するわけですし。今際の際に「地獄で会おうぜ」とは言いましたが、「お前のせいで不幸な末路をたどった残りの連邦の人類全員とな」みたいな高慢な答えを言うあたりも「クソガキめ!」ってなるんですが、自分よりはるか年上になるまで積み重ねてきた息子の生涯をかけた努力を考えると、むげに壊すのも良心がとがめちゃうわけです。

いろいろ考えて、私は息子から引き継いだインスティチュートを自分が描く未来に向けて修正するのがいいのではないかという結論に達しました。ショーンもそうしてほしいって言ってましたしね。でも、その前に、「お前ら、もうちょっと他者に歩み寄れよ」というのが率直な感想です。やっぱり最後に「自分以外みんな敵」モードに入る組織ばかりなのはさみしいんですよね。みんなもっと協力してくれよー!