初めて~の、サム~♪
キミとサム~♪ ウフフフッ……
年末年始を挟むことで間が空いてしまい、前回一体どこまで書いたのかも忘れ始めている Death Stranding のプレイ日記です。オープニングムービーがやっと終わったところで、いよいよサムの操作が始まります。
とは言っても、ここの操作は機能が限定されている練習ステージのようなものです。のちほど重要になってくる踏ん張りゲージなども気にせず動きまわれます。2周目なのでいろいろ脇道がないかウロチョロしてみたんですが、崖に阻まれて実際はほぼ一本道のステージになっていました。マップを表示させることもできません。
前回フラジャイルのサムへの愛があふれた体当たりアタックでサムはバイクを失い、転倒事故で大切なお届け荷物も失っているので、落とし物を回収しながら目的地のセントラル・ノットシティへ向かうことが目下の目標になっています。なので、最初にやるべきことは、左肩に積んだオドラデクと呼ばれるセンサーを起動して、周囲の状況をよく観察し、落とした荷物を見つけて拾うことです。ここで拾える荷物は一番小型のS型ばかりで、とりあえず拾い続けるだけで無難な積み方に収まるようになっています。
オドラデクはチェコのフランツ・カフカが書いた短編小説『家父の気がかり(Die Sorge des Hausvaters)』に登場する不思議な存在の名前が元ネタになっています。著作権が切れているのでインターネットで少し検索すれば無料でサクッと簡単に読めます。作品の原語はドイツ語ですが、たぶん翻訳をめぐる権利の都合もあってか、邦題がちょっと変わっていたりもするみたいです。
原作のオドラデクは主人公がときおり自宅で目にする不思議な存在で、その外見はのちにゲームに登場するママーが赤ん坊をあやすときに使っている星形の糸巻き風おもちゃによく似ています。原作では意思を持っていて、呼びかける主人公に対して子供のように生意気な口を利きます。この小説はとても短いので、主人公がこの存在に考えをめぐらせたあと、自分が死んだあともやっぱりヤツは生き続けるのかと考え、悩ましいと感じるところで終わります。
ゲーム内ではほかにも、糸巻きに関するフロイトの理論が取り挙げられています。母親がそばにいない子供が糸をたぐり寄せて、ベッドの下に入り込んで見えなくなっていた糸巻きを見つけることで、母親を見つけられない不安を糸巻きにすり替えて自分で状況をコントロールできる安心感を得ようとする子供の心理です。オドラデクはそれ自体が子供のような存在であり、へその緒のような糸をたぐり寄せながら母親の影を重ねたものを探しているのかもしれません。
家父という親の立場にある人間が死んでも生き続けるであろう原作のオドラデクも考慮すると、BB がオドラデクなのかなという気がしますが、たびたび会話に登場するルーのメンテナンスの重要さや、装備品として何度も寿命を迎えたような表現をされる儚い命の彼女とはいまいちイメージが一致しません。死ねない子供に、自分が死んだあとのことを考える父親というと、どちらかというと元 BB のサム親子のほうなので、BB とオドラデクのシステムやデス・ストランディングの一部の事象は、もしかしたらサムのなかの子供が親を求める心理が反映されているのかもしれません。クリフォード・アンガーの姿は BB の記憶のようでじつはサム自身の記憶だったというオチになっていますが、案外オドラデクのサーチ機能も元来サムが持っていたものをルーのサポートで使えるようになっているだけなのかもしれませんね。
ところで、この練習ステージはオープニングムービーで哀れなシカが落ちていたように、片側が絶壁の崖になっていて、サムも操作を誤ると容赦なく落ちて死にます。上の動画では撮影のために自分から飛び降りていますが、じつは操作がおぼつかなかった1回目に盛大によろめいて素でわけもわからず落下したのは内緒です。
サムはこの世界では死んでも死ねない帰還者と呼ばれる特別な存在です。死ぬようなことがあると、上の動画のような結び目と呼ばれる場所に魂の状態で漂い、自分の死体を見つけることですぐに帰還することができます。結び目は海底を模していると最初考えていたんですが、プレイを続けるうちに何回か死ぬと、サムが死んだ場所の地形が反映されていることがわかります。サムの魂は死んでもその場で漂い、ほかの人のようにビーチにはいかないんですね。
サムの初めての帰還を見て、最初に目が行ったのはなんといっても不気味な赤ちゃんの人形です。あの頭のクギ、食道か気管かわからないけど、絶対のどに引っかかって流血します。動かないでー!
この人形は絶滅体のブリジットおよびアメリが、クリフォード・アンガーを呼び寄せるために放ったアイテムであり、特別な力を与えたヒッグスに持たせていたアイテムでもあります。サムも最初から持っているとなると、ビーチでアメリが帰還させたときから持たされていたと考えるのが一番自然なんでしょうね。壊れた赤ちゃんは元 BB のサム自身を象徴しているのかもしれません。ルーは、言い方が悪いけど、人形に比べれば上位互換品ということなのかな。
道中よろめきながら荷物を回収しつつ進むと、大きなほら穴を発見します。ここでサムが雨宿りすることにして、簡単な練習ステージは終了です。次回はいよいよフラジャイルさんとスキンシップです!