前回でシリーズ第一作の『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』をプレイし終えたので、今回からシリーズ第二作の『リトルナイトメア2』をやっていきたいと思います。これまで同様、配信のスクリーンショットを貼りながらネタバレ全開で、個人的に気になったところをしらみつぶしに、あ~でもない、こ~でもないと書き連ねていきます。今作は物語のボリュームが増えたので、チャプターごとに小出しでやっていく予定です

『リトルナイトメア』シリーズは、第一作をプレイした時点でプレイ配信に対する公式な姿勢が明示されておらず、ゲーム立ち上げ時にデデーンと「違法な配信はやめてね!」といった旨の注意書きが出たのもあって、勝手にゲーム画面をがっつり配信しないほうがいいかなと考えていました。なのでシリーズ第二作もプレイ内容を配信するとは思っておらず、クリアしたら感想だけ簡潔にまとめて書くつもりで、いつもの名越康文先生の動画をはじめ、よそ様の配信を先に見てしまったんですよね。

なので、自分でプレイするのは初めてだけど、めちゃくちゃネタバレはしているというアンバランスな状態で進めます。こういう状態になるのって、この作品の世界観の作り込みがすごいからだと思うんですよね。普段、ゲームは実際にプレイして、体験したことをもとに考えないときちんと評価できないって考えなんですけど、このゲームに至っては奥行きがすごすぎて、勝手にプレイ画面を見て、掘り下げていくだけでも面白いという。2~3回やるぐらいでちょうどいいんじゃないかな。

いつものことながら、私の配信は、「『リトルナイトメア』、『リトルナイトメア2』ゲーム実況に関するポリシー」(https://n6ls.bn-ent.net/guidelines/)に基づいて実施しました。また、同ポリシーに基づいて、配信内容を記録した YouTube のバックアップ動画をこの記事に掲載しています。

廊下

そんなわけで、さっそくやっていきましょう。ゲームを始めると、主人公のモノを具体的に動かせるようになる前に、長い廊下をカメラがゆっくり回転しながら進むムービーが挟まります。進んだ先に見えるドアには、前作からおなじみの眼の装飾が施されています。

シリーズ第一作はレディの見返り美人姿、DLC の Secrets of the Maw では水面を泳ぐランナウェイ・キッドが足を引っ張られて溺れる姿が同様にムービーで差し込まれました。どちらも操作キャラクターであるシックスとランナウェイ・キッドの夢という形式をとっており、ハッと目を覚ました二人はそこからモウのなかをさまよい始めます。

二人の夢はよく見ると画面上の光が当たっている範囲が眼のような形になっていて、瞳の部分にそれぞれレディとキッドがくるような構図になっています。しかしキッドの場合はグラニーらしき人物によって水中に引きずり込まれてしまうので、画面外に消えてしまいます。今作のオープニングムービーは、ドアに眼そのものがあり、そこから光が漏れているような構図になっています。

この廊下には塵か埃のようなものが浮かんでいて、カメラの進み具合がゆっくりなのもあって、まるで水中のような、浮力や水流の抵抗が働いているかのような空間に見えます。その点で、前作のとくに DLC で描かれたモウの深淵ともちょっと世界観がつながっています。

物語を進めるとわかることですが、このドアを開けた先にはモノの成れの果てであるノッポ男がいます。前作の本編ではシックスが最後にレディを倒して捕食することで彼女の能力を吸収したと考えられる描写があり、シックスとレディ、モノとノッポ男というふうに、最初は敵対していた相手から能力や役割を継承するみたいな、共通の流れが見えてきます。

モノの誕生

シックスやランナウェイ・キッドは悪夢から目覚めたような始まりかたでしたが、モノはポンと森のなかに放り出される感じで始まります。具体的にそのときの姿が映し出されたわけではありませんが、モノが地面に着地した瞬間、隣のテレビがこうこうと光を放っているので、エンディングの展開からしても、テレビのなかから生まれてきたというふうに私は解釈しています。たぶん成長したノッポ男からまた分離した少年の心みたいなイメージかな~?

少なくとも今作は輪廻する構造の物語だと思っています。モノが森でシックスと出会い、シックスに拒絶されてテレビの世界に閉じこもり、やがてノッポ男になって、またシックスのもとに少年に生まれ変わって戻ってくるという感じでしょうか。前作も、とくに DLC のほうが、男女の性を意識した構成になっているんじゃないかと書いていましたが、今回もモノとノッポ男で表される男性らしさ、社会的な男性の役割、あるいは父性といったテーマがあるんじゃないかと感じています。

モノと関連深いテレビは、今作の世界観では致命的な中毒を引き起こす悪の根源とつながっているとされています。

『リトルナイトメア2』は、電波塔に支配された世界を舞台に、少年「モノ」を操作するサスペンスアドベンチャーゲームです。黄色いレインコートをかぶる少女「シックス」と共に、テレビを介して世界に広がる悪の源を暴くため、二人は電波塔に向かいます。しかし、二人の前には町に住む住人達が待ち構えており、二人の道を阻もうと試みます。

不気味な森林やおぞましい学校など様々な場所を、シックスと協力して謎を解いたり、トラップを回避したり、遮蔽物や近くにある道具を使って敵を撃退したり、二人で助け合って数々の障害を乗り越え電波塔を目指しましょう。

果たして、モノは電波塔の背後に潜む謎を暴き、シックスを恐ろしい運命から救い出せるのでしょうか。

https://n6ls.bn-ent.net/

作中はっきりとテレビのなかから姿を現すノッポ男は、やはり倒すべき真の敵のようです。

放送局から絶え間なく発せられる不快な電波の中、その男は終わりのない旅を続けている。荒廃した世界で影の中を行き、何かを見つけるために。

ノッポ男, https://n6ls.bn-ent.net/

たぶん、テレビのなか、つまり放送局の電波のなかに入って行き来できる姿が描かれているのはノッポ男とモノしかいないはずです。つまり二人は同じ、倒されるべき「悪の源」なんでしょうね。

電波塔の発する怪電波に捻じ曲げられた世界で、モノは彷徨う。彼がかぶる薄い紙袋は憎悪に満ちた世界を忘れさせてくれるが、一時的でしかないそれが彼に永遠の休息を与えることは決してない。

モノ, https://n6ls.bn-ent.net/

DLC のときにも書いたんですが、モノの世界は本来憎悪に満ちていて、紙袋をかぶって顔を隠すことでそのことを一時的に忘れているらしいです。この憎悪って、前世でシックスに捨てられた憎悪ですかね? このシリーズ作品、このあとすぐ出てくるハンターと言い、なにかをかぶって顔を隠しているキャラクターが山のようにいるんですが、憎悪に満ちた世界を忘れるためという理由はモノにしか適用できないのか、それともほかの人間も同様なのか悩みますね。

仮面を着けたり、覆面をかぶったりというのは、通常は自分の素性を隠すためという理由が一番多いんじゃないかと思います。みんななにか自分とは違うアイデンティティを得て、他人になりすますことで自分のネガティブな感情を忘れているのかな? そう考えると、モノの場合はノッポ男のアイデンティティを一時的に手放して自分の憎悪を忘れるためと解釈できますが、ほかの人はどうなんだろ……?

黄色い眼のブロック

テレビの横にはモウで何回も目にした木のブロックが転がっています。模様はやはり眼で、色はシックスのレインコートと同じ黄色です。

モノが生まれるこの森の空間もよく見ると、ぼんやりと木立の影によって浮かび上がるいびつな楕円形が、さきほどのドアに施されていた眼みたいに見えなくもありません。その場合はやはり瞳の部分にあたるのが、中央に鎮座していたモノということになります。ドアの眼はほかよりもことさら下に瞳が位置していましたしね。

あと、ここで舞い落ちる木の葉も、水中の浮力が働いているかのようにゆっくりと落ちてくるので、冒頭の廊下とちょっとつながっているように感じられますね。

イカ?

少し進むとハエがたかる死体らしきものが見つかります。普通の人でもなさそうだし、この造形って今まで見たことないんですよね。なんとなく頭の部分がイカっぽくありませんか? ローブみたいなものをまとっていて、ちょっと SILENT HILL 2 の三角様も連想します。顔の部分っぽいところに丸い穴があいているので、被り物っぽさもあるんですが、もしかしたら顔じゃなくて、ハンターと同じように片眼の部分に穴があいているのかな?

もう一人の主人公というか、ヒロイン枠の扱いなのかわかりませんが、前作から引き続き登場するシックスは、名前が数字の6を意味していて、七つの大罪の6番目にあたる暴食を司っているのではないかとあちこちで言われていました。実際、前作では道中たびたび飢えて、最後にはネズミの躍り食いから元人間のノーム、そしてレディまで貪っていましたからね。暴食の罪を表す悪魔は、ハエの王と言われるベルゼブブです。今作、あちこちで虫がたかっているシーンがあるのは、もしかしたらシックスとの関連かなと踏んでいます。

罠

モノが進む森には、ところどころ罠が仕掛けられています。おそらくこのエリアがハンターの領域だからなんでしょう。例えばこの格子戸のケージなんかは、モウでもよく見られたもので、こんな点でも森とモウはつながっています。

このケージの前に、イカ男の肉塊と同様のものが転がっています。ここの罠は動物を狩るためのものというより人間を狩るためのものなんじゃないかと思わせます。

大地と根

ケージの扉をくぐった先は地中に掘られた穴でした。森とモウの違いと言えば、この大地に根付いて生活している感じだと思います。モウは海洋を漂う人口島のような建造物で、どこかに根を下ろしている感じがまったくありませんでした。しかし今作はいかにも自然に根ざして暮らすハンターのステージから始まり、海を渡って大きな町に出ます。イメージ的にはこちらの世界が外界で、そこから隔たれたのがモウという世界なのかなという感じがします。

ただ、『不思議の国のアリス』などの描写から考えると、狭い穴を通り抜けるという行動は、異世界への移動を意味する場面の切り替えかたである可能性もあります。この森は森のようで森ではなく、あちこち異次元につながるポータルのような場所……というのは考えすぎか。

赤い靴と死体袋

穴をくぐり抜けた先でちょっとモウを思い出すモチーフが出てきます。赤い靴と死体が詰まった袋です。無造作に放り投げられた靴は、持ち主の死を連想させるものであり、冒頭で紹介した名越先生によると中国の纏足などから持ち主の自由が奪われている表現の可能性もあるらしいです。靴を履かないと普通はこんな森とか危なくて走り回れないですからね。そう言えば、今作の主人公も裸足なんですよね。このあと合流するシックスももちろん相変わらずの裸足です。じゃあ、自由を奪われているのはこの作品の主人公たちのほうということになりますね。

死体が詰まった袋というのは、モウのなかでは本編よりも DLC で行った深淵のほうに見られたものだと思います。こちらのほうがサイズが大きくてはみ出ている手足の数も増えていますが、モウにあった袋はハンターの影響で持ち込まれたものだったのかな?

クモの糸

道中たびたびモノがくぐる地中の穴に、一か所クモの巣が張っているのを見つけました。クモ男は派生作品の『Very Little Nightmares -ベリーリトルナイトメア-』のほうに出てくる人形技師のイメージが一番近いんですが、ナンバリング作品ではあんまり関連のモチーフを見ませんね。強いて言うなら今作に出てくるドクターもそれっぽい動きをしています。ただ天井を這っているだけなので、正確にクモなのかと言われるとちょっと怪しいところもあります。

首つりロープ

このロープもなんどもモウで見たものです。首つりロープと勝手に呼んでいるんですが、猟師がいるステージで見ると、投げ縄みたいな狩猟用の道具に見えなくもありませんね。ある意味 DEATH STRANDING で言う羂索みたいな宗教的テーマも見えてきます。

たくさんの罠

先に進んでハンターの家が近づくほど罠が増えていきます。獲物を閉じ込めるタイプのケージはモウでたくさん見たんですが、トラバサミがステージのギミックとして登場したのは今作が初じゃないでしょうか? モノは地面に落ちている松ぼっくりを放り投げて、枯れ葉に隠された罠を誤作動させて先を進みます。

配信中に言っていたんですが、松ぼっくりは一部のマツ科の植物が種子を散布させるために作るものです。種と考えると子供を犠牲にして罠をクリアするみたいな意味合いにも見えてきます。

入り口前のボトル

罠を乗り越えてハンターの家の前にたどり着きました。手すりの部分に前作の DLC で集めたメッセージボトルっぽいビンが置いてあります。この手のビンはステージのあちこちにあるので、ただの気のせいかもしれませんが、家のなかに入れないだれかが、なかのだれかにメッセージを届けたくて置いていったとか考えると夢が広がります。ま、実際はポーチに木箱などを広げて、ここで食事かなにかをしていたような痕跡もあるので、ただ単にここでお酒を飲んでいたというだけの演出要素でしょうけどね。

キッチン

もしかしたら勝手口から入っただけかもしれませんが、ハンターの家は玄関から入るとすぐにキッチンになっています。このキッチン、おそらく前作のモウで管理人が見入っていたテレビの女性が童歌を歌っていた場所だと思うんですよね。

テレビに夢中になる管理人

左上に吊り戸棚、右奥に冷蔵庫、手前に食材が積まれたテーブルという構図が似ていますし、女性が手に持っている四角い肉切り包丁はこのあとここの家の地下室で見つかります。

冷蔵庫

冷蔵庫もモウにありましたね。こちらはきちんと食材が詰まっていますが、モウの冷蔵庫は上段に靴が1足、意味ありげに入っているだけでした。シックスはその靴以外空になった冷蔵庫をハシゴのように踏み台にして上階へ移動します。

衣類収納部屋

キッチンから廊下を抜けた先に、こっちが玄関でもおかしくない部屋がまたあります。チェストなんかもあるので、玄関でなかったら衣類収納用の部屋なのかもしれません。そこのド真ん中に転がっているのが最初のモノのお着替え用帽子です。モノの紙袋はキャラクターの説明文を読むと、世界設定として重要そうなんですが、別に顔が出る帽子でも代替可能なようです。ケロッと素顔を見せてくれます。

ところでこの部屋に置いてある衣類って、ちょっとノッポ男のそれを想像しませんか? 棚に積まれた中折れ帽に、長いコート、チェストからはみ出たシャツも、どういう状態で引き出しに突っ込まれているのかわかりませんが、袖の部分がやたらと長く見えます。腕が長く、帽子をかぶっていて、コートを着込んでいると言えば、前作の管理人にも当てはまる特徴なので、モノ、ノッポ男、管理人、そしてこの家の主であるハンターもなんか関連があるような気がしてきます。でも結びつきがざっくり過ぎて、強いて言うならみんな男性かな程度の話なんですけどね。

おニューな帽子

この帽子って、ロシア帽になるんですかね? 寒い地方に住んでいる人がよくかぶっていそうなデザインですよね。この森はそこまで寒くなさそうなんですけど、たまたま暖かい季節だったのかな?

ハンターの家にあることを考えると、おそらく毛皮という特徴が大事なんでしょう。とくに尻尾の部分なんて、もとの獣のそれをそのまんま装飾として利用しているってことですよね。ということは、この帽子をかぶることで、モノは匿名の少年からハンターに近い存在になったってことを意味するんでしょうか?

モノの顔

帽子を変えることで見えるモノの顔を、明るい場所で後日撮影して、クローズアップしてみました。わりと丸顔の童顔をしています。この物語をクリアすると、テレビの怪電波のなかでノッポ男になるモノの成長経過を見守ることになるんですが、その過程で妙に頭髪がボコボコ波打ったシルエットになる時期があるんですよね。

だれ?

前作の DLC には、レディのアトリエで壁に掛けられた肖像画の照明をつけるナゾ解きがありました。全部で8枚ある肖像画のうち、この前の部屋に飾られていない人物の肖像画が全部で3枚あり、それ以外の照明をつければ先に進めるようになります。照明をつけない肖像画のうち、1枚は今作の先生にそっくりだと話題になっていました。もう1枚はたらこ唇の締まりのない顔がドクターに近いと思っていました。でも上の肖像画の子はだれだか見当がつかなかったんですよね。もしかしたらこの中性的な子供、モノだったりしませんかね? そうすると、あそこで明かりをつけなかった人物はみんなシリーズ次作に絡んでいるつながりを見出せるようになります。で、ハンターはどこに行ったのってなりますけどね。もしかしたらモノかノッポ男に内包されるのかな? そうすると、同じ男性のドクターはまた違った立ち位置の男性キャラクターということになってきます。

壁に貼られた写真

ハンターの家の装飾を見ていきます。ここは物語の中心人物であるシックスが閉じ込められていた場所です。シックスを閉じ込めているハンターも、たまたま居合わせただけの敵というだけではおそらくないでしょう。なにか物語上、重要な意味を持っている人物のはずです。

シックスが閉じ込められていた地下へ降りる階段横には、モノクロ写真がいくつか貼られていますが、あまり重要なモチーフは見えませんでした。強いて言うなら森の木立、あと一番大きな写真は、左手前に猫背の子供が横向きに座っているように見えましたが、奥になにが映り込んでいるのかはさっぱりわかりませんでした。

シックスの凶暴性は前作ですでに露わになっているので、ハンターが彼女を封じ込めるために閉じ込めていたと考えることもできますが、モノと逃げている最中、ハンターがシックスをあまり狙おうとしないことや、閉じ込めるだけで殺そうとしていないことなどを考えると、大切に自分の手元に置いておきたかった少女であるという解釈もできると思います。考えられるとしたら、父親と娘、あるいは恋人でしょうか? それもこんな状況では間違いなく異常性愛でしょうけどね。

肉切り包丁

地下室に降りると人形を作るための手芸用品が目に入ります。ミシンで縫うとか、ちょっと女性的な印象を受けますが、ハンターが丹精込めて縫うんでしょうね。綿がたくさんあるんですが、前作の管理人が作っていた人形は木彫りの人形で、綿を詰めるタイプの人形とはちょっと違っていたように感じました。肉詰めというか、綿を使うのはハンターの特徴かな?

その横に、キッチンの説明で述べたように、前作の管理人が夢中になって見ていたテレビで、女性が手に持って歌っていた包丁が刺さっています。モノが引っこ抜こうとすると持ち手の部分だけがすっぽ抜けて壊れてしまいます。モノと包丁は相性が悪いようです。

斧を持ち出すモノ

仕方がないのでモノは奥の部屋にある斧を持ち出します。急にゲーム画面が物騒になります。

シックスの部屋

斧を持ちだしたのは、シックスが閉じ込められている奥の部屋の扉を開けるためです。完全に映画『シャイニング』です、ありがとうございましたー!

シャイニング

斧で扉を叩き割ると、しずかにオルゴールを回して、音楽を鳴らし続けていたシックスが殺気を感じてテーブルの下に隠れてしまいます。このシックスのリアクションはとっても正しい。とっても正常。とても人食いとは思えない真っ当な反応です。

シックスのオルゴールはこのあとも象徴的なアイテムとして登場します。モウにも似たオルゴールがあるんですが、そのときのシックスは特段愛着を示しませんでした。黄色いレインコートの中身が別人である可能性も十分あるし、この『リトルナイトメア2』の世界だからこそ大事なもので、この世界を脱出できればもはや不要なものという解釈も、もしかしたらできるかもしれません。

握手はしない二人

奥に入るとモノが歩み寄って、テーブルの下に隠れたシックスに手を差し伸べます。シックスは恐る恐る出てきて、モノの手をつかもうとしますが、直前で気が変わったのか、手をはねのけ、モノの体を押しのけて部屋から走り去ってしまいました。まあ、この反応も正常っちゃあ正常ですよね。普通、仮に自分が閉じ込められている部屋であっても、ドアをいきなり斧で叩き割ってくる他人なんてろくな人間じゃなさそうだもん。

シックスの部屋の壁には、閉じ込められてからの日数を数えていたらしきキズがあり、おそらく2か月近くここで生活していたと考えられます。普通に閉じ込めるだけだと余裕で死んでしまう日数なので、やはりこのシックスはハンターが食事を運ぶなりして大切に生かされていたと考えるのが自然だと思います。

シックスの部屋には天井からフックがいくつかぶら下がっていて、前作の肉や死体をつるしていたフックを連想させます。壁にはノームの落書きまであります。また左上の窓から日光が注ぐ構造になっているんですが、窓の下に怪電波を放つ電波塔の落書きも見られます。この点から、このシックスにもモウとの接点がすでに見られること、そして電波塔にすでに関心を寄せていることがわかります。作品説明に「果たして、モノは電波塔の背後に潜む謎を暴き、シックスを恐ろしい運命から救い出せるのでしょうか」とあるので、二人がこのあと電波塔へ向かうのは、シックスを助けるためだったのかもしれません。

シカ

走り去ってしまったシックスを追いかけて行く途中で、シカの剥製が目に留まりました。キャビネットの上の写真も右はシカですよね。左は……なんだろう?

シカって、狩猟ではよく見られる獲物の代表格ですよね。剥製もよく目にするほうだと思います。前作にもあったかなぁ? 悪魔だとフルフルみたいなのが有名で、男女の恋情を呼び起こして嵐を起こすと言われていますが、なんか関係あるかな?

家族の人形

奥に進むと家族団らんのダイニングルームに出ます。一瞬死体かなと思ってギョッとしたんですが、おそらく人形だと思います。もしかしたらハンターが猟奇殺人の末に皮を剥いで一部剥製にした人形かもしれませんが。

この人形を作っているのは、ほかに人がいないのでハンターで間違いないと思いますが、なぜ家族の再現をしているのかはナゾですよね。考えられるとしたら、自分の家族像を投影している説がまずあります。両親に息子という三人構成で、この子供はハンターがかぶっているずた袋の穴が空いているほうと同じなので、この子供にハンターは自分の幼少期を重ねている可能性があります。名越先生の読みでは、母親の顔がぐしゃっと潰されていて、母親に対するネガティブな感情や攻撃性などが感じられるそうです。

もうひとつ、私があるかなと考えているのはサイコパスな殺人者が殺人の快感を思い出すために設置しているトロフィーのようなものであるという説です。『クリミナル・マインド FBI行動分析課』の見過ぎですかね。

懐中電灯と古びたショットガン、そして冷たき野望を携えて、ハンターは森林をかきわけ今宵も静かに獲物を狙う。荒れ果てた小屋の壁に戦利品を飾るために。

ハンター, https://n6ls.bn-ent.net/

小屋の壁って言っても、さっき取りあげたシカの剥製ぐらいしかめぼしいものがないんですが、壁に限らず小屋自体がそもそも戦利品のディスプレイ場所だと考えれば、この人形も彼の狩猟の戦利品だったりもするかなと思ったんですよね。この説だと、この三人家族はただのハンターの被害者ということになります。

初めての協力作業

異様な家族のダイニング風景を抜けると、シックスが天井のレバーを引っ張ろうとしています。一人ではうまくできないことを悟ると、シックスは視界に入ったこちらに呼びかけて、協力してレバーを引っ張ろうとします。

さきほどは真っ先に逃げ出したのに、ここで警戒せずに自分から協力を呼びかけている姿勢を見ると、もしかしたらモノが怖かったから逃げたのではなく、モノの手を握ることに抵抗があったからその場を飛び出した可能性もあるかもしれません。エンディングの展開からすると、シックスはモノの手を取ってはいけないという考えに至り、モノを怪電波の世界に置き去りにして一人去っていってしまいます。モノがノッポ男になってまたテレビからモノとして生まれることを繰り返しているなら、シックスもどこかでハンターに捕まってモノに助けられて、やがてモノとの離別を選ぶループを繰り返していると考えられます。道中の相性はなかなかいいのに、出会い頭の握手が成立しないのは、シックスが前世をなんとなく覚えているからかなと推測できます。少なくともエンディングの展開を示唆するための演出だとは思います。

シックスの手にモノが足をかけて高くジャンプし、頭上のレバーを引く作戦はすんなり成功して、屋根裏部屋へ続くハシゴが降りてきました。その物音を聞きつけて人が動く気配がします。ここらへんの演出も管理人の隠れ家とちょっと似ているかな。

屋根裏部屋

屋根裏部屋には人形の骨格になりそうなパーツが無造作に積まれています。こっちの固いパーツは管理人の人形部屋に似ていますね。やっぱり綿の有無がちょっと違うんですよね。

協力作業

重たいトランクケースを二人で押して足場を作ります。わりとスムーズに協力作業ができています。

トランクケースはシリーズ前作でシックスが寝床にしていた場所でもあります。このトランクケースは作りがしっかりしていて、茶色いほかのモデルとはちょっと違うように見えます。なんか特別だったりするかな?

あと、トランクの後ろ、両開きのタンスに挟まれるように立っているマネキンは、レディの部屋を連想させます。とくにこのトルソーは体の凹凸のメリハリがしっかりしていて、女性らしいふくよかさがよく表れています。お腹も膨らんで見えるので、繁殖能力あたりの意味合いも内包されていそうです。ここは森だから土地の肥沃さとかも関係しているのかな?

死体とカギ

トランクを運んで進むと、窓がある広い空間に出ます。ここにもハエがたかっています。よく見ると背景に積まれている布袋には死体が入っているようです。

シリーズ前作の管理人も、中身が人形なのか死体なのかわからないものを布でグルグル巻きにして厨房の方面に送っていることがありました。ハンターが凝っている人形も、亡くなった人間の代替である可能性がほのめかされています。

先に進むために必要なカギが高所のフックにつり下げられているので、上に登るために必要なクランクを隣の部屋から持ってきます。クランクって、前作にもありましたけど、ものすごく『バイオハザード』シリーズっぽいギミックですよね。

レディのモチーフが多い人形

隣の部屋にはまた人形が置かれています。その左手には目当てのクランクが握られています。この人形もやたらとリアルで、一目見ただけでは人間なのかどうかもわかりません。今にも動き出しそうなので、恐る恐る近づくことになります。のちのち訪れることになる病院のステージでは、体の大半が義足や義手などに置き換えられて、ほぼ人形と化してしまった患者と追いかけっこするシーンがありますから、それとつながっているのかもしれません。

この部屋はやたらと示唆に富んでいて、前作のレディと結びつけられるんじゃないかと考えていました。わかりやすいのは複数の割れた鏡です。左上の窓から光が差し込む構図は、シックスの監禁部屋と一緒です。そんな彼女は階下で一緒に食事を囲む三人家族とは別に、屋根裏部屋に閉じ込められています。あるいは、自分で閉じこもったのかもしれませんが、そうだとしたら、階下でご馳走をむさぼり食うゲストたちを置いてモウの自室に引き下がるレディのイメージと一致します。

このタイプのイスはよそではあまり見ませんが、シリーズ前作ではモウの深淵にいるグラニーがリビングチェアに座ってくつろいでいる描写がありました。モウの女性陣と関連があるような気がします。あと、背景に映り込んでいるマネキンは、ここの屋根裏部屋の入り口で見たものより、レディのアトリエに並べられていたタイプに似ています。

レディは静かにまじないをかける。しなやかに、そして気品のある物腰で。外界が混乱に陥っても、彼女にはあずかり知らぬこと。彼女にとってはモウこそがすべて。それなのに今は、逃げ出した子どものウワサが、ありとあらゆるものを脅かしている。何人たりとも、邪魔をすることは許されない。

レディ, https://ln.bn-ent.net/characters/

レディも、追い詰められたのか、自分で引きこもったのかわかりませんが、モウの自室に閉じこもっている性質がありました。レディの部屋はモウのなかでも上層にあり、屋根裏部屋とのイメージは一致します。階下でハンターがなにをしていようが知ったことではないといった感じでしょうか。そして、同じ建物に宿敵のシックスが潜んでいる点も同じですね。シックスは、前作ではモウの深淵の上にある下層から上層へと移動し、今作では地下の監禁部屋からモノと一緒に脱走して、屋根裏部屋のカギを取って小屋の外へ脱出します。そう言えば、屋根裏部屋へ行ってカギを取って外へ出る一連の流れは、モノよりシックスのほうが率先して動いていますね。

左腕がもげた人形

人形が持っているクランクを引っ張ると、左腕が肩からもげて、腕ごと取れてしまいました。よっぽど強く握っていたのかな?

ここまでこれはレディのことを示唆していると書いてきたんですが、左腕がもげるのはちょっとレディの特徴とは合致しませんね。管理人は両腕が切断されていたし、既存のなにかを意味しているわけではないのかもしれません。

カギ

シックスにクランクで蓑虫みたいな死体袋を引っ張り上げてもらい、それを足場にしてフックのカギを揺らして落とします。モノはカギを拾うとコートの内ポケットにしまいます。前作のシックスは、カギを持ち運ぶときに両手で抱えて、懐にしまうことはできなかったので、もしかしたらモノたちのほうが体が大きいのかな? それかこの世界のカギが小さいか。

このカギは小屋の外へ出るために必要なもので、さっきの人形がレディのメタファーなら、彼女がこの小屋を出るためのカギを握っていたことになり、シリーズ前作との辻褄は合うかなと思います。ま、この小屋を出た先にもまだハンターの作業小屋があるんですけどね。

トイレの子供

カギを開けて進んだ先に汚い便所があります。でも扉にあけられた穴はハートマークというメルヘン具合。ハンターって、人形作りといい、じつは女の子っぽいものが好みなのかな?

なかでは明らかに詰まった便所のフタの上で子供の黒い残像がジャンプして、壁のシカの絵に手を伸ばしています。この子供の残像は全部で18体あるらしく、この森には私が逃した2体も含めて3体いるらしいです。ほかのものは、地中の穴のなかに埋められた死体のようなものの隣でたたずんでいるものと、同じく穴ぐらのなかで息絶えているネズミの死体のそばにいたものがありました。配信外でこのあと回収しています。

黒い残像はテレビのノイズ映像のように揺れて乱れているので、モノと同じく怪電波から漏れ出たなにかかなと考えています。トロフィーの名前を見ると、彼らは「子供たち」でいいらしいんですが、全部コンプリートすると「ファントムの消失」と言われます。「幻」や「幻影」っていう意味でいいなら、だれの幻影なのかが問題です。私は直感的にモノ自身かなという気がしています。

黒い姿に白い光の粒子が立ち上る様子は、レディの魔法のエフェクトにも少し似ています。18という数はなんなのか考えたんですが、前作のレディの人形は10体だったらしいので、ちょっと違いますね。強いて言うならアプリのほうの『Very Little Nightmares -ベリーリトルナイトメア-』の収集要素である箱が同じ18個らしいです。無理やりこじつけると、18はヨーロッパ辺りでは成人年齢とされていることが多いので、この残像を回収するごとにモノが、ただのノッポ男とは違う、なにも知らない子供から完成形のなにかに近づくとか、なにかしら失われた自分の一部を取り戻してもとの大人に戻っていくことの示唆だったりしないかな。いえ、これは根拠がないので、私の勝手な妄想です。

上にも書きましたが、ここの子供が一生懸命手を伸ばそうとしているシカは、ハンターが誇る獲物の代表格だと解釈しています。ほかの子供たちがそばにいた人間の死体もネズミの死体も、ハンターの獲物という共通点で考えればひとまとめにできると思います。ということは、ここの子供にはハンターの要素があると考えられます。森の子供たちがモノではなく、主のハンターの性質を受け継いでいるものだとしたら、モノはこの子供たちを通じてハンターの性質を吸収しているとも考えられます。それもそれで怖いな。

子供たちって言うと、このあと行くことになる学校の悪ガキどももそうですけど、前作だと監獄で育てられていた子供たちにもなにか関係していそうな気がするんですよね。DLC の操作キャラクターだったランナウェイ・キッドもそのなかの一人でした。

大きな足跡

便所の前のぬかるんだ地面には、ハンターのものと思われる大きな足跡が残されています。このあと大きな敵が出てくることを匂わせるホラー要素ですが、足跡は右のハンターの作業小屋から、さきほどまでモノたちがいた小屋に向かって続いています。あちらの小屋は内側から南京錠のようなものでカギがかかっていたはずですが、ハンターはどうやって出入りしているんでしょうね?

あと、便所の隣に干されている服に目をやると、やっぱり腕の長さがチグハグですよね。この小屋ってもともとハンターと一緒にだれか別の人も住んでいたのかな?

罠がいっぱい

別棟のハンターの作業小屋に入っていきます。所狭しと罠が積み上げられている入り口を見ていると、前作でシックスを操作して駆け抜けたモウの監獄を思い出します。あそこも管理人が使っているらしき檻が積み上げられていました。

革

シックスと台を動かしてハンターの作業部屋に侵入すると、積み上げられた皮革の上に落ちます。この革、パッと見なにの革かわかりにくいんですが、ここに来るまでに子供の幻影のそばでネズミが死んでいたりしたので、サイズ的にもネズミじゃないかと思います。

ネズミは前作のモウにもちょこちょこ登場していた生物です。シックスの名前は6を意味しているという話を上に書いたんですが、英語で病んでいることを意味する“sick”とも音が似ているので、疫病を広める女という意味合いもありそうだと一部で考察されていました。実際に今作のシックスはモノの後ろでたびたび咳き込んでいます。ネズミは言うまでもなく病原菌を運ぶ害獣です。前作のシックスは突拍子もない飢餓感に苛まれて、生きたネズミにかぶりついています。

ここでハンターがネズミを処理していることは、もしかしたらシックスから疫病を遠ざけていたことを意味しているのかもしれません。あるいは、肉を食べて皮革を資源として再利用している可能性もあります。この場合でも、あくまで適切に処理せず、生で食べるから危険というだけで、ちゃんとあのキッチンで調理して食べているなら問題はないかなという気がします。世界的に見ても大型種のネズミを調理して食べる文化は複数あります。

ハンターの後ろ姿

皮を剥いでいるのか、それとも剥製を作っているのかわかりませんが、作業机でバリバリ仕事をするハンターの後ろ姿です。モノとシックスは身をかがめてソロソロとその背後を通過します。このアングルのステルス、前作のシックスのときも管理人相手にやりましたね。あのときの管理人は子供の死体か人形を包帯のような布でグルグル巻きにして、フックに引っかけて厨房へ運んでいました。

管理人は音に敏感なのでたびたびシックスの存在に気づいて詰め寄ってきましたが、ハンターは派手に作業しているせいか、こちらにはなかなか気づきません。しかし外へ出る扉をモノとシックスが押すと、扉が開く音が響いて気づかれることになります。そう言えば、音で存在を気づかれるのも一緒ですね。

ハンター

外に出たモノたちを追いかけてくるハンターです。顔には穴があいたずた袋、頭にはキャスケット帽で、顔がまったく見えません。体も長いコートにブーツを履き込んで、手にはグローブを着けているようなので、肌はまったく出ていませんね。

帽子や袋をかぶっているのはモノとも共通する特徴ですし、顔が見えないという点ではレディや双子のシェフなど、前作から多くのキャラクターに見られた伝統芸をきちんと受け継いでいると考えられます。逆にショットガンや銃は珍しい要素だと思います。このゲーム、あんまり目に見えてわかりやすい武器が登場しないんですよね。その点で、はっきりと猟奇性が前面に出ているキャラクターだと思います。

意外と共通点が多そうと書いたモノと比べると、大きな違いは最初からライトを手にしているところです。モノも、前作の DLC のランナウェイ・キッドも、シリーズ作品の男の子は途中でだれかの懐中電灯を拾って使い始める共通点がありました。たいして、シックスは最初からライターの明かりを持っています。ハンターの懐中電灯も、意外とだれかから奪ったものだったりして。

あと、上のほうで少し書きましたが、裸足のモノに対して、しっかりしたブーツを履いている点もモノとの相違点になりますね。その点で考えれば、ハンターはモノと違って自由を奪われていないのかな?

手をつなぐ二人

ハンターのショットガンをかわしながら、地面の穴に逃げ込んだ二人。今度はシックスのほうからモノに手を差し出します。最初の握手失敗以外は、わりとシックスのほうが積極的にモノに働きかけていますよね。最初はモノの手をはねのけたシックスもまんざらではないことがわかります。一緒にピンチを切り抜けると親密度はおのずと上がるでしょうから、だんだん二人がいい仲になってきている証拠なんじゃないでしょうか。彼女がなんらかの理由でハンターに閉じ込められていたのなら、シックスにとってモノは自分を救い出して自由にしてくれたヒーローということになります。ここだけ見ると、正統派なボーイ・ミーツ・ガールな物語なんですよね。

カラス

ハンターの追跡をかわしながら森を進むあいだ、あちこちで死肉をあさるカラスの姿を目にします。カラスって、前作のモウではあまり見なかったモチーフですよね。今作ではなにを意味しているんでしょうか?

穴

ハンターから逃げるように、二人は木の根のあいだにあいた穴に飛び込みます。ここの穴なんてとくに落ちるように転がり込んでいるし、『不思議の国のアリス』のウサギの穴に似ていませんか? 本来の目的から逸れて、面倒な異世界に流れ着いちゃう、みたいな。

吊り橋効果

ハンターから逃れた先で、二人は協力して落ちた吊り橋を渡ります。これって吊り橋理論となにか関係があるかな? 危険な吊り橋をドキドキしながら渡ると、そのとき一緒にいる異性に恋愛感情を抱きやすいという心理です。一昔前に人気ドラマの脚本家がよく書いてましたけど、本当に科学的に証明されているのかいまいちよくわかっていません。

崖を渡るため、まずはモノがロープを引っ張って橋の一部を持ち上げ、シックスを向こう側へ渡らせます。シックスが向こうへ飛んだら、シックスを呼んで向こうの端でスタンバイしてもらいます。

連携ジャンプ

あとはモノが全力でジャンプするだけで、シックスがしっかりとモノの手を握りしめて持ち上げてくれるという流れです。ちなみにこのとき、シックスは左手でモノの手をつかんでいます。

このジャンプは二人の信頼関係が見て取れる連携ですよね。二人はこの後もたびたびこのジャンプ方法を披露してマップを駆け抜けます。このときのモノのジャンプも、いつも以上に飛距離が伸びている気がします。なんか、愛の力とでも言いたげですね。

新しい帽子

橋から進むと見覚えのあるケージのなかにモノたちと同じサイズの子供の姿が見えます。このサイズの子供って、逆にこの世界だとめずらしい貴重な存在だと思うんですけど、なんでこんなところにいるんでしょうね? モノがつり下げられたケージの上でジャンプして落としても、その子はまったく反応しません。へんじがない……どうやらただのしかばねのようだ。

この子は目を引く鮮やかな黄色い帽子をかぶっています。モノは彼からこの帽子を失敬することにします。ちょっと仏さんに対して失礼だと思うんですけど、生きるか死ぬかの瀬戸際だとそうも言ってられないのかな。

奪った帽子

この形で黄色い帽子って、ちょっと小学生の通学帽みたいですよね。黄色って、シックスのレインコートにも言えることですが、目立つ色なので、周りの人間が子供に気づけるようにという意図で採用された色じゃないかと思います。軍服っぽい服を着ているように見えましたが、もしかしたら制服かな? 帽子の左側面にはなにか模様があるようにも見えたんですが、よくわかりませんでした。影じゃなくて模様だったら、なおのこと校章が入った日本の子供の帽子みたいにも見えますが……。

テレビを撃ち抜くハンター

先に進むとハンターが追いついてきました。物陰に隠れて、モノはハンターのショットガンをかわします。モノが盾にするのは木箱が多いんですが、ここで逃げ込んだ建物では、テレビも撃ち抜かれていました。

テレビって今作ではとくに物語上、重要な要素だと思うんですよね。それをハンターは躊躇することなく撃ち抜いています。ハンターにとってテレビは重要ではないことがわかります。たぶん怪電波にはやられていないんでしょうね。町から外れてこんな森の奥地でひっそりと暮らしているのは、怪電波の毒から逃れるためか、それともたまたま僻地にいたから毒されなかったのか、どちらでしょうか?

部屋の壁に描かれていた絵を見るに、シックスは監禁されていたときから電波塔を意識していたようです。作品説明によると、「電波塔の背後に潜む謎」が、「シックスの恐ろしい運命」の原因になっているようなので、ハンターが町の住民と違ってそれに毒されていなかったのも、シックスとの関係になにか絡んでいそうだと思うんですよね。シックスを怪電波から守るためか、あるいは隔離するためか、よくはわかりませんが。

つないだ手

ハンターから追われている最中も、落ちるモノの手をシックスがつかんで助ける場面があります。シックスが完全にモノを信頼していることがわかります。

木に彫られたハート

追いかけっこは沼地にまでもつれ込みます。そこでモノとシックスはハートマークが彫られた枯れ木を倒して、ハンターのショットガンを避けるための遮蔽物にします。この矢が刺さったハートマーク、ものすごく意味深だと思います。少なくともここの地で愛を誓い合ったカップルがいたってことですよね。その記念を、すでに枯れているとは言え、モノとシックスがものすごく汚い沼に押し倒していきます。だれのことを意味しているのか気になります。案外、周りめぐって自分たちのことだったりもしそうですけどね。

鳥

ハンターから逃れるうちに距離がどんどん近づいていっているような気がするモノとシックス。道中に現れるカラスも、2羽仲よく一緒に死肉をついばむ姿が見られるようになります。しかし、ハンター、しつこいな。

ここのハンターも、目障りなモノを排除したいのか、逃げ出したシックスを取り戻したいのか、いまいち目的がハッキリしないんですよね。シックスをショットガンで撃ち抜いて殺そうとしていないのは確かだと思うんですけどね。

引き金を引くモノ

いよいよ二人は小さな小屋に追い詰められます。なかに入るとシックスがドアの下部についている小さな閂を掛けて時間を稼いでくれます。このタイプの錠って、モウの監獄で子供の監禁部屋じゃないかと言っていた個室の扉についているタイプと一緒ですね。しかも不自然なのはシックスでも留め金を掛けられるぐらいの低い場所に設置されているところです。内側から掛けられるってことは、なかで寝泊まりするような場所だったのかな? 倉庫みたいな場所だったら、外に付けますよね。それを言うと、さきほど子供のファントムを見つけた便所も、そとに留め金がある時点でちょっとナゾです。あそこにだれか閉じ込めていたのかな? そうすると、あの子供たちは逆にハンターに狩られた人間を表している可能性も出てきます。

よくわかりませんが、窓枠のところにショットガンが掛けられているので、モノはそれをつかんで床に落とします。そしてシックスと一緒に銃を支えて、モノが引き金を引きます。弾は木の扉を貫通し、ハンターに見事命中しました。おそらくもう生きてはいないでしょう。

ちなみにこのときにハンターの家で拾ったロシア帽をかぶって引き金を引くと、実績が解除されて「いつか自分の番がくる」というこれまた意味深な名称のトロフィーが手に入ります。相手が悪人なら、殺人にはならないと信じているようです。カルマみたいな話をしているんでしょうか? モノがノッポ男になる流れは確定でいいと思いますが、私はハンターの人物像もなんかモノのなかに内包されているような印象を受けるんですよね。

なんとなく私は、男性性と女性性みたいなテーマがあるように感じたんですよね。シックスはハンターに監禁されていて、男性の猟奇殺人犯に気に入られて報酬になってしまった被害女性みたいな印象を受けます。そこから救い出してくれたヒーローがモノです。でも今はまだあどけない少年でも、モノのなかにもシックスが恐れる男性性はあるわけで、実際にこの場面のモノはハンターとほぼ同じショットガンの引き金を自分で引いてハンターの命を奪っているわけです。次のハンターは彼かもしれません。回りめぐって信頼できる男に永遠と出会えない女性被害者みたいな、そんな悲恋を見ている気がします。ただ、シックス自身もただのかわいそうな被害者というわけではなく、ハンターに負けず劣らずのサイコパス感があるんで、仮にこの読みが正しくても、闇が深い物語には違いないと思うんですけどね。

見知らぬ世界で目覚めた彼女は非力であった。目を離すとすぐさま闇に飲まれてしまうほどに。しかし、彼女がその見た目にそぐわないほどに多くのことを見てきたことを、世界はまだ知らない。

シックス, https://n6ls.bn-ent.net/

今作のシックスの説明文には、やたらと目や見ることが盛り込まれているので、あの眼はやっぱりシックス絡みのモチーフだったのかな?

扉の旅

ハンターを倒して無事に森から出た二人は水辺に出ます。岸に打ち上げられていたドアを使って、二人は長い船旅に出ます。なんか『タイタニック』のジャックとローズみたいですね。二人分乗れる面積があってよかったね!

扉って空間を仕切るものだから、これも次元を超えた異世界への移動みたいな意味合いが込められているのかなと考えていました。あと、乗り物に乗って景色がひたすら淡々と流れていくシーンは、演劇関係だと時間経過を示しているらしいですね。

ボート

そう言えば、二人が乗っているのはただの扉ですが、モウの深淵には二人分の死体袋と思しき物体が詰められたボートがつり下げられていましたね。扉は表現の都合で、実際は森で出会った若い男女が舟で新天地を求めて移動したみたいな展開なのかもしれません。

漂流物

ドアに乗った船旅では、まさにその深淵でランナウェイ・キッドを操作して集めたメッセージボトルや、足場にして移動した浮標、そしてグラニーを感電死させたテレビなど、見覚えのあるものが流れていきます。とくに今作でも重要な要素となっているテレビは、二人が進むほどどんどんと流れてきます。

町

テレビの波を越えてどんどん進んでいくと、高層建築が建ち並んだ浜辺にたどり着きます。その圧巻の景色に思わず二人も立ち上がって町の様子を眺めていますね。森を出た二人が新天地の都会に到着したとも解釈できますが、目の前にそびえ立つ建物は海に向かって湾曲し、今にも崩壊しそうになっています。不穏です。

配信でも言っていたんですけど、複雑に入り組む大きな建物って、人間の内面を表している可能性があるので、この建物がモノの内面の複雑さを示しているのかもしれませんね。この町には怪電波を放つ放送局があるので、シックスがもといた森と違って、ある意味ノッポ男をバックボーンに持つモノの故郷とも言えます。そういう点で、シックスは敵地みたいな場所に誘われていることになるのかな?

浜辺

ドアが砂浜に乗り上げたので、浜辺を探索します。この砂浜はメインメニュー画面の砂浜ですね。メニュー画面ではテレビに電源がついているんですが、ゲーム内では電源が落ちていて、目の前に四人目のファントムがたたずんでいます。テレビ、見たかったのかな?

浜辺にはテレビのほかに、グラニーお気に入りのリビングチェアを連想するイス、電線に引っかかった袖の長い服などがあります。ここの砂浜はとくに不穏な雰囲気でもありません。二人をカップルとして見ると、いい雰囲気だと思います。でも砂浜がメインメニュー画面に選ばれているのはなにか意味でもあるのかな?

Thank you for playing.

前作には陸地がないので、ビーチみたいな場所もないんですが、唯一、クリア後のエンディングに一瞬映るモウの天頂の外部はそれっぽさがあるかなと思いました。そう言えばモウのてっぺんにある煙突は、今作の電波塔とシルエットが似ていますね。シックスが監禁部屋の窓の下に描いていた電波塔も、最初はモウの絵かなと思ったぐらいです。

テレビに頭を突っ込む人

二人でキャッキャッ砂浜を駆けまわってから、町の奥に入って行くことにしました。最初に通った建物で、テレビに頭を突っ込んだ人のシルエットが目に入ります。この手足の長さはノッポ男ぐらいあるんじゃないでしょうか。よく見るとシルエットは服だけで、肉体がないことがわかります。その右手の床にも、着用者の肉体だけが忽然と消えてしまったような衣服が取り残されています。

森ではあまりテレビが出てこなかったので、モノとテレビのギミックはここから本領発揮になりますね。ということで、森を抜けて町に到着したこのタイミングでいったんプレイ日記は一区切りにします。次回は町を探索して、学校に入っていきたいと思います。

Twitch 暴力の温床に続く
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