シンマンのシンは真打ちの真だと、そんなふうに考えていた時期がワイにもありました。
THIN MAN でしたね。
前回、モノとシックスが暴力あふれる学校を駆け抜けたのは2021年11月6日のことらしいです。実に半年ぶり! みなさん、ご機嫌いかがですか。私は今日やっと『リトルナイトメア2』プレイ日記の続きを書いていきます。今回は学校から脱出した二人が前回の最後にたどり着いていた病院を探索していきます。ホラーゲームと言えば病院は付き物! セクシーなナースはたくさん出てくるかな?💉
前回のプレイから私がずっとこのゲーム日記の更新を怠けている間に、『リトルナイトメア2』も PlayStation 5向けにグラフィックがよくなった Enhanced Edition なるものが発売されたらしいです。私がプレイしているのは Steam 版なので直接は関係ないんですが、どうやら PC でプレイするときも、とくに追加料金なしで、どちらで遊ぶか任意で選べるようにアップデートされていたみたいです。たぶん配信では Enhanced Edition で起動するように設定できているはずです。病院は従来よりも光の表現や空気中に漂うパーティクルの表現が洗練されているとのことです。あとはオーディオもクオリティがアップしているんですって。比較対象がないとワイのようなバカには違いがわからんのですが、まあ、よくなっているのはいいことですよね。
すでに人様の配信を見て、ある程度はネタバレしているとは言え、自分でプレイするのは初めてなので、なるべく新鮮なリアクションを残しておこうと思い、毎回、配信はできるだけ前情報を入れずにやるようにしています。でもそうすると回収し損ねるアイテムや、存在に気付かず素通りしてしまう隠し部屋が出てきたりするようになりました。なのでこのゲームは、配信が終わったあとに別データで、回収し損ねた要素や実績をこなすようにしています。今回モノがかぶっている帽子も、前回の配信後に粘ったら拾えた校庭のボールの帽子です。こんなふうに、配信内で回収し損ねていた要素が次の配信に登場したら、配信外で頑張ったんだなと思ってくださいまし。
今回はずっとこのボール頭で駆け抜けるモノですが、そういや病院では一度も帽子を拾いませんでした。こりゃ拾い損ねてるなと思ったら、2個も逃していました。これもこの配信のあとで回収しています。
病院の入り口で中断したデータを読み込むと、三角座りでガクガクブルブルしているシックス。叩きつける雨で体が冷えたか、なんか恐ろしいことでもあったのかな? 実際は黄色いキュートなレインコートの裾が体のポリゴンと折り合い悪く干渉していただけだと思いますが、なんか急に人間味が増してかわいいですね。
前回はこのリトライ・ポイントから少し右へ進んで、鉄格子越しに車椅子に座った患者らしき人影が見えたところで終わっていました。いい感じに病院の不気味さが演出できていますね。そういや、タイトル部分をノッポ男の情報で埋めてしまったんですが、今回のパートは病院が舞台で、スポットライトを浴びるべきキャラクターはドクターなんですよね。まあ、いっか。
導入のハンターの森、そしてバイオレンスな学校ときて、病院はさらにプレイヤーに求められる操作スキルが高度になってきている印象を受けています。始める前から何回も死ぬと思うと言っていたら、本当に途中で、これはもうクリアできないかもと言い出しそうなぐらい詰んだポイントが出てきました。いつものごとく、見るとイライラすること間違いなしなので、配信内容のバックアップ動画を見るのはあんまりオススメしません! うちの基本姿勢はいつもこんな感じです。
病院の奥へ進むと、このゲームおなじみのだだっ広い底なし空間に物がつり下げられているステージが出てきました。間抜けなプレイヤーが操作しているモノは、前を見ずにうっかり落ちそうになりますが、しっかり者のシックスがちゃんと手を引っ張って引き上げてくれます。プレイヤーがつかむボタンを押してなくても問題ありません。モノを引き上げたシックスがアクロバティックにベッドをつたって先に移動していきます。
前回は学校で、今回は病院なんですが、なんでこんなところに二人が寄り道しているのかよくわからないんですよね。たまたま通り道にあっただけ? ここでシックスが先行するのは、病院がモノよりシックスにひも付けられた場所であることを示していたりして。
ロープで物がつり下げられているシーン、もっと言えば、操作キャラクターがその上を飛び移って先へ進むギミックは、前作のモウでもやたらと目にしましたが、ベッドは新鮮な気がします。ベッドで思い浮かぶのは、ランナウェイ・キッドが寝ていた監獄の孤児院みたいな部屋ぐらいですかね。
特に病院のベッドみたいな、いかにも業務用っぽい、ちょっと質素なパイプベッドがよく似ています。あと、シーツをくくってつなげた脱出ロープみたいなものが垂れ下がっているのも似ていますね。ここは監獄とリンクしているのかな?
背景をよく見ると、病院のつり下げられたベッドには誰かが横たわっています。よくそんな不安定なベッドでゆっくりできるな。
ずんずん病院の奥へ入っていく二人は、エレベーターの上を渡っていきますが、老朽化によるものなのか、二人の体重がかかっただけでワイヤーの金具が取れて壊れてしまいます。エレベーターはこれまで、前作も含めていろんな場面で乗ってきましたけど、印象的なのはレディの部屋へ上がるエレベーターでしょうか。
そのエレベーターを開幕、落として故障させるのはなんだか意味深長な演出です。
エレベーターのシャフトからダクトを抜けて、病室らしき部屋に出ました。真っ暗ですが、床に誰かの懐中電灯が落ちているので、拾って使わせてもらいます。
懐中電灯を拾うのは、前作 DLC のランナウェイ・キッドと同じ特徴です。今作では誰かが落としたのか、あるいは置いていったのか、そもそもどうしてここにあるのかまったくわかりませんが、ランナウェイ・キッドはモウの監獄から抜け出すときに先行して逃げている少女のあとを追っていて、その少女が懐中電灯を手にしていました。追いかけるうちに床に落ちている懐中電灯を見つけますが、少女の行方はわからず……というような流れでした。この懐中電灯も、モノより先に迷い込んだ人物が手にしていたものだったりして。
光源という点で言うと、前作のシックスは最初からライターを持っていたんですよね。モノはこのあと、やはりランナウェイ・キッドと同じように、光に弱い敵対者に遭遇します。最初から光源を所有している女子とは違い、男子連中が本来は自分の物ではない、借り物の光のおかげで命拾いするという状況がちょっと気になります。
そしてその懐中電灯で浮かび上がるのが、前作から毎度おなじみの目の落書きです。今作ではモノがテレビの世界に迷い込んだ先で見るドアの装飾になっていました。モウだけでなく、モノ個人とも強く結びついているモチーフです。
ここの病室はベッドが2台仲良く並んでいるんですよね。二人分っていうのも、モノとシックスを示唆しているように感じます。男女でなくても、前作のモウでは双子のシェフなど、対になる関係が少なからず見られました。
隣にもっとたくさんベッドが並ぶ大部屋がありました。奥の方まで歩いていくと、薬瓶らしきものを積んだカートのそばにファントムがたたずんでいました。病院入って初のファントムです。足元に破片が転がっているので、うっかり落として割ってしまったのかな? ファントムも今回よく見逃しているので、このあと回収しています。
さらに進むと受付カウンターのような場所に出ました。金網で仕切られているあたり、なんか不穏な空気を感じます。職員が不意に殴り掛かられたりするようなことでもあったのかしら? ここは公式に病院のはずなんですけど、監獄みたいっていうか、病院でも患者を監禁できる一昔前の精神病棟とかあっちの専門っぽく見えますね。
暗くて配信のときは見えなかったんですが、受付の上には「000249」という数字が表示されています。なんの数字だろう? 患者の数かな? わざわざ貼り出すあたり、現実だとコロナの感染者数とかを連想しますね。ここで診ている病気も感染症なんでしょうか。あるいは単純に外来の順番待ちかな? だとしたらここは大盛況ですね。
先に進むには高い場所にあるスイッチを押さなければいけないため、おなじみの何か投げる物が必要になります。自販機のレバーを引っ張ると、缶が無料で出てきました。お得……なのか? こういうところから出てきた食料品、特に無料で手に入る物はあんまり口にしたくないなあ。
配信時に出てきた缶は黄色でしたが、どうやら出てくるのはランダムみたいです。二度目のプレイでは赤い缶と黒い缶も出てきました。そして出なくなるまでレバーを引き続けると、「はらぺこ」という実績が解除されました。空きっ腹を飲み物で満たすのはよくないぞ!
隣の部屋へ進むと、いつものテレビに吸い込まれるモノの発作が始まります。今回は待合室のような場所に設置されているテレビに反応したようです。テレビの前には義手と義足を身に着けて、果ては首がなくなった患者の亡骸が、まるでまだ生きているかのように残されています。車椅子もホラーゲームの常連ですね。
そう言えば、前回の学校ではこの発作が起きませんでしたね。テレビがたまたまなかったせいでしょうか。
今回もシックスがテレビからモノを引っ張り出して助けてくれました。テレビの光が消えて、待合室らしき場所の全体像が映し出されます。2階に続く階段があって、エレベーターのドアらしきものの隣に、ヒューズを差し込むスロットが二つ見えます。これは、あれです。前作のレディのアトリエやモウの機関部、そして少し前の学校でもあったような、上下左右、いろんな部屋をまわってナゾ解きをして、先へ進むドア、今回はエレベーターのドアを開けられるように往復しないといけないステージですね。
1階の右側へ進むと、レントゲンのような映像が見られる装置がありました。前回、モノがいじめっ子の罠を顔面で受け止めたときに、何かが割れた破片のような物を出していたので、彼も陶器か何かの人形なんじゃないかと推測していました。
しかし、ここで骨を見る限りはシックスと同じ生身の人間っぽく映ってますね。強いて言うならシックスの方が眼窩に白く濃い縁取りがあって、死者の日のドクロ飾りみたいになっています。これはポリゴンの都合という可能性もありますから、両者とも生きた人間ってことでいいのかな?
配信ではやらなかったんですが、ここのレントゲン装置で骨になった状態でシックスと手をつなぐと「露骨な関係」という実績が解除されます。文字どおり骨が見えてるからダジャレかなと思うんですが、何が露骨なのかと言えば、男女の関係ってことでしょうか?
気になるので原語ではどんなトロフィー名なのか調べてみたら、“X Best Friend”と言うそうです。英語では親友と明言してますね。X はエックス線にかけているんでしょうけど、文章全体の意味が気になります。エックス線にかける動詞は、正式には“X-ray”なので“ray”が抜けています。エックスだけでは形容詞的な用法がないようなので、名詞に連なって文章を作ることができません。あるとしたら動詞の「抹消する」みたいな意味合いでしょうか。怖っ! あと、つづりは異なりますが、響きを感覚でとらえるなら、元恋人などの今は関係を清算したけど、昔は親しい関係にあった人物の説明に使う“ex-”の接頭辞でしょうか。そうすると、このあと二人の関係が親友からこじれることの示唆ということにもなりますね。グッバイ、私の元親友。原語の方がなんか全体にしょっぱいな。
レントゲン装置の奥にはもう一つ部屋があって、どうも置かれている物や装飾を見るに、子供部屋になっているようです。小児病棟か、あるいは特別な子供が治療を受けていたのか、どちらかだと思います。モウや学校とは違って、大切にされている感があふれているので、不特定対数の子供というより、誰かが助けたい特別な子供がここにいたことの表れじゃないかなと思うんですよね。
配信では気付かなかったんですが、右の棚の上にモノの帽子があって、かぶるとここに置かれているぬいぐるみに似た頭部になります。これ、『サイレントヒル』のロビーくんみたいな狂気じみたかわいさがあってお気に入りです。
前のレントゲン室の壁に、ぬいぐるみのレントゲン写真がかけられていて、そこにカギが写り込んでいました。なのでここにあるぬいぐるみを運んで、中にカギが縫い込まれていないか X 線で確認しろってことなんでしょう。もしかしたらどのぬいぐるみが当たりかは、ランダムで変わるのかもしれませんが、配信ではウサギちゃんの中にありました。ウサちゃんに限らず、どのぬいぐるみもちぎられて縫い合わせられたり、目玉とかのパーツが飛び出て壊れていたりする痕跡があり、こういうところは学校にも通じる子供の残酷さがにじみ出ていますね。
とりあえず、ウサギちゃんを抱えて地下に通じるエレベーターに乗り込みます。地下には遺体保存ロッカーと焼却炉がありました。焼却炉のサイズはのちほど出てくるものより一回り小さいので、ここはやっぱり小児病棟専用の遺体焼却炉なのかもしれませんね。
モノがウサちゃんを炉に設置すると、シックスも子供部屋から大事そうにずっと抱えて持ってきたシンバル・モンキーの人形を炉の中に投げ入れました。気に入っとったんちゃうんかい!
まあ、このシンバルを持ったサルの人形は普通に怖いから、手放したくなる気持ちもわかります。特にこれ、モウの時代から登場してたし、この前の学校でも罠の仕掛けとして登場してたので、イヤな記憶がよみがえる可能性はあります。じゃあ、そもそもなんで手に取ったんだって話になるんですが、どうやらここでシックスが手にするオモチャはランダムらしいです。今回はたまたまツンデレな気分で、たまたまサルがよかっただけみたいですね。乙女心はよくわかりません。
炉の中にはそのまま残された砂状の遺灰のほか、人の手と思しきものがそのまま残されています。燃え残りなのか、燃えない義手の金属製骨格パーツなのか、よくわかりません。指の曲がり方を見るに、これは左手ですね。そう言えばロッカー前のストレッチャーに放置された死体袋のそばにも左腕の義手が転がっているんですよね。左手って言って連想するのはなんだろ……? モノがシックスの手を引く方の手かな。
外のレバーを下ろすと、焼却炉の扉が閉じて火がつきます。それを見たシックスがちょっとビビるリアクションをするので、燃えるとは思わずサルの人形を炉に放り込んでいた可能性もあります。モノと同じ行動をしたかったのかな? 年長の兄弟のマネをしたがる妹みたいですね。これも、意図せずともあふれ出してしまう残虐性の演出かな?
燃え終わった炉の中に入ると、ぬいぐるみがあったところにカギが残されていました。アツアツのカギを懐にしまって、上階の南京錠がかけられていた部屋に進んでいきます。
ちなみにぬいぐるみを燃やすとき、子供部屋で拾ったぬいぐるみの帽子をかぶっていると、オモチャを手放して大人の階段を一つ上ったみたいな実績が解除されます。本筋とは関係ない実績ですが、以前にハンターの家で拾った帽子をかぶってハンターのトドメを刺すと解除される実績もあったので、何か裏があると考えて深読みするなら、モノはあの子供部屋を使っていた子供たちと同じ側の立場にいるキャラクターなんでしょうね。
炉や炎の演出は、こちらの病院の方が露骨に死などのネガティブなモチーフとのつながりが強くなっていますが、モウの機関部でノームたちの仕事を手伝ったランナウェイ・キッドの物語を連想しますね。あとは死のイメージで言えば、レディのアトリエの隠し部屋にあった怨念が詰まっていそうな見るからに怪しいツボが熱を発している感じではありました。私の見立てでは子供の遺体とか魂が詰まった骨壺みたいな代物だったんですけどね。
ツボが置かれているテーブルの足下には、燃えて灰になった子供たちの姿が残されています。これは監獄の入り口でも光を放ちながら見張りのように動いていた一つ目のレリーフで同じ現象が見られました。
全体的なイメージをまとめると、子供が関わっている点があると思います。病院の焼却炉は上述のとおり、配置や大きさ的に小児病棟で使われていた感じがするし、ノームはもともとランナウェイ・キッドと同じように監獄にいた子供たちです。一つ目の光を浴びて石化しているのも監獄から抜け出そうとした子供たちで、レディのアトリエのツボに封じ込められているのは、ランナウェイ・キッドの行く手を阻んでいた影のこどもたちと関係している子供の霊じゃないかなと予想していました。みんな、焼かれる、灰になるなどの火と関連する特徴があるようです。モウで子供が育てられていたのも、レディが手にできなかった母性を満たすための道具だったほか、動力源として重宝されていた実用性もあったからだと考えていたんですけど、この町も通りはとうに壊滅状態なのに学校だけは別世界のように運営が続行されているし、病院でも子供が何か特別な意味があったのかな?
2階右側のカギがかけられていた部屋を開錠して進んでいきます。先ほどから床に転がっていた義手、義足が、ここではフックで天井からつるされています。手術台のような、あるいは歯科医の診察台のような台が中央に設置されていて、人か人形かわからない人体のようなものが載せられています。
肉や死体袋のようなものまで、不気味な何かがズラッとフックで吊されて並べられているのは、前作からおなじみの光景ですが、ここは患者さんに合う義手や義足をフィッティングする部屋だったのかな? まあ、体のパーツである義手や義足は肉の代わりでもあるので、そりゃ肉や死体袋の代替イメージとしても考えられますわな。そのわりには体にめちゃくちゃメスを入れそうな施術台があるのがちょっと怖いんですけど……。
そう言えば、ここの前面に並んでいる義手はみんなさっき焼却炉で見たのと同じ左手ばかりですね。脚は右が多い印象です。
部屋の奥の廊下には、ズラッと背が高い棚が設けられていて、義手や義足がギチギチに積まれています。奥まで行くとファントムがいました。棚に手を伸ばしてジャンプしています。配信ではこの子も義手や義足が欲しいのかと言っていましたが、この上に1個だけ水鳥の木製のオモチャがあるので、それを取り返したかっただけかもしれません。なんでこんなところに置かれているのか気になりますが、病院でもイジメがあったってことですかね?
廊下から入れそうな部屋はドアが閉まっているため、割れたガラス部分から侵入します。高さがあるため、シックスに持ち上げてもらったモノ一人だけでしばらく進みます。
入り込んだ部屋は、似たような義手、義足のフィッティング部屋のようでした。天井から義手と義足が所狭しとつり下げられて、床にも積まれていますし、棚もあります。中央に人体らしき物が置かれたフィッティング台がありますが、モノが奥へ進もうとすると人体らしき物に取り付けられていた右手だけが勝手に動き出して、義手、義足の山にはって消えていきました。この手だけやたらリアルと言っていたら、どうやら動く気力が残されていた生体部分だったようです……って、なんかおかしいな。もうこの世界、動かないはずのものが当たり前に動くし、生物だったらそりゃ動くよね的な感じで、感覚がおかしくなっています。
ダメになった体の一部の代替として義手や義足が使われるはずなのに、肝心の人本体が見当たらず、代替パーツが山のように積まれている中で、同じ手だけの生体が現れる不思議。なんか右手って重要なのかな? 左手がモノのシックスをつかむ手なら、右手はシックスがモノをつかむ手だったりしますけどね。左右にこだわらなければ、前作モウで切り落とされた管理人の手みたいな考え方もできると思います。
見比べるとちょっと手首から上が長いかな。管理人もあの後、義手をつけて生活したりするんでしょうか……。
ちょん切られたあと動かない管理人の手と違って、病院の手はめちゃくちゃ元気にモノのあとを追いかけてきます。捕まるとゲームオーバーになるので、ひたすら机や棚をよじ登って逃げていきます。この手がモノに執着する理由は不明です。単に自分の領地に侵入してきた不審者だから襲いかかってくるのか、自分がなくした肉体として利用できそうだから襲ってくるのか、いろいろ考えられます。
結局モノはダクトに逃げ込み、死体袋の上に飛び降りたところで追跡がいったんやみました。ここ、なんで手も一緒に降りてこなかったのかナゾです。フタはそのまま押せば開くんで、意外と押す力はないのか、あるいは高所恐怖症なのか、本能的にモノに襲いかかっているだけで、あまり知能はないのか、よくわかりません。
とはいえ、義手や義足が積み上げられた部屋はまだまだ続きます。廊下を抜けた先の部屋も、万力などの工具が並べられていて、義手や義足の製作工房だったような雰囲気があります。病院内で生産から一貫しておこなう自社製品だったんですね。いびつな人体デッサンも壁にかけられています。ここの左にある絵は何かよくわかりませんでしたが、人がズラッと並んで中央の何かを見ているような構図になっています。
少し部屋を進んだところで手が天井のダクトから落ちてきました。よくわかりませんね。一度目をつけた獲物を追尾する能力もあるし、ダクトを突き破って床に落ちてくる力と行動力もあるのに、先ほどのダクトではモノを追いかけて落ちてこなかったんですよね。やっぱり網のフタを押して開ける知能がちょっと足りなかっただけなのかな。意外と残念な性能なのかもしれません。
手に追いかけられながらしばらく進むと、床に金づちが落ちていました。モノはこれを握りしめて、手めがけて叩きつけます。手はすばしっこいんですが、一度回避されたあとにもう一度詰め寄って金づちを振り下ろすと避けられない模様です。数回当てると手は動かなくなります。動かなくなってからも念には念を入れて殴り続けると実績が解除されます。死体撃ちにも実績が隠されているなんて、今作、遊びの実績が多いな。
ここの作業台の上に探していたヒューズがありました。ちょうどここはシックスと別れた廊下から U 字に進んで戻ってきた突き当たりの部屋なので、これを持って隣の廊下へ戻ります。ここの扉は下もガラスになっているので、ヒューズを投げつけたり、金づちで殴ったりすると簡単に割れて通れるようになります。ただ、裸足のままその破片の上を歩くモノがちょっと心配にはなります。
ヒューズを抱えて廊下に出ましたが、待っているはずのシックスの姿が見えません。探し回ると、少し戻った部屋で義手を持って遊んでいました。
最初、シックスの背中に隠れて見えませんでしたが、遊ばれた義手はあり得ない方向に指が曲がっていました。何これ、グワシのリスペクト? それにしても小指の曲がり具合が終わっています。これもシックスの無邪気な残虐性の演出なんじゃないかな。
映像を少し巻き戻して確認したら、これは左手の義手だったようです。手首が180度まわって、各指が不自然に折り曲げられています。左手はモノがシックスと手をつなぐ方の手なので、シックスは寂しくてモノの手を傷つけたくなったのかもしれません。ヤンデレ💔
さて、シックスの気味悪さが増してきましたが、これでヒューズは一つ手に入ったので、2階左の部屋に入ることができます。ここの扉は電気制御の鉄格子で、めちゃめちゃ監禁室みたいな雰囲気があります。先ほども書いたとおり、モウの監獄を連想しますね。
入ってすぐのところに、先ほど義手と義足の工房みたいな部屋で見た絵と同じ絵が飾られていました。不気味な車椅子の後ろに、なぜか色鮮やかなトウモロコシが皿に盛られています。この世界、まともな食べ物って希少なんですよね。床にお皿直置きでも、ほかの料理より美味しそうに見えるこのトウモロコシはなんでここにあるのかな?
とはいえ、トウモロコシを生で食べるのはちょっと……と思ったら、これもお遊びの実績だったみたいです。
このトウモロコシを持って、先ほどぬいぐるみのウサちゃんを焼いた焼却炉まで戻って焼くと、活きのいいポップコーンができあがります。死体を焼いた炉でポップコーンを作る不衛生な発想がいかにもこの作品らしいですね。とはいえ、色鮮やかで美味しそうな食べ物と、元気にはじけ飛ぶポップコーンには、この世界ではなかなか見られないポジティブなイメージがあります。
あと、上の動画で、何回炉を作動させても、そのたびにまっさらな気持ちで驚くシックスのかわいいリアクションが確認できます。これは具体的に何に驚いてるんだろうな? 炉が閉まる音? 炎? 焼く行為自体?
さて、ここから先も鉄格子の扉が閉まっているので、シックスに持ち上げてもらって高所の穴からモノ一人で進んで行きます。さっそく入った部屋にはいかにも動き出しそうな首なし人形が立って通路をふさいでいます。電気を消すと予想どおり襲いかかってきました。かなりのスピードです。モノは手に持っていた懐中電灯をつけて、患者衣を着た人か人形のようなものの動きを封じて奥へ進みます。
もはや自分の力では生きることが出来なくなってしまった患者たち。醜く歪んだ己の姿に囚われ、絶望し、ドクターに助けをもとめてすがり付く。彼ならば、元の姿に戻るための奇跡を起こしてくれると信じて。
『患者』
ここの敵は公式サイトにも紹介文が載っています。名前はそのまんま、「患者」です。体が何らかの変異を起こしてほとんど死にかけているけど、ここの病院のドクターによって義手や義足に体の一部を置き換えられてなんとか生き永らえているイメージでしょうか。公式サイトの画像には頭部がない個体も載っているので、とりあえずここの義手、義足をした人型の何かは押し並べて患者でいいようです。今まで襲いかかってこなかった患者はもう息絶えていて、この鉄格子で隔離された空間にまだ活きのいい個体が残っているみたいな感じかな。
本来は普通の人間、もっと言えば有機的な生物であったにもかかわらず、人形のような人工的なパーツに体の一部が置き換えられているというところに、これまで前作からずっと登場人物がみんな人形っぽいと私が言っていた特徴がよく表れていると思います。もともとは人間だったけど、魂の入れ物が人形に置き換わる過程みたいな物語がここで語られているのかな。レディも陶器の人形っぽかったし、彼女は自分の外見を気にしているような描写もありました。
外見を気にする様子はありませんでしたが、この前の学校のいじめっ子なんてまさに人形そのものでしたよね。この世界、まともな生命体は存在するんでしょうか……。
てか、これって何の病気なんだろ? レディの分析をしたときは、女性心理の表れみたいに書いてましたが、性差問わず、人間なら少なからず自分の外見について抱えている心理みたいなものの根本を掘り下げた物語なのかな? だとしたら、ここは病院と言っても美容整形の闇がテーマとしては近いはずですけどね。
これから先は、懐中電灯を握りしめて照明が落ちた空間を進んでいきます。廊下のイスに座ってうなだれている患者の頭部を見て、少し前作の管理人を連想しました。
管理人の頭部にも丸いお椀のようなものがはめられていたんですよね。それが目元まで覆っているので、目が見えなくなっています。管理人もドクターに処置してもらった過去があるのかな?
これからしばらく、懐中電灯の光を当てて、患者の動きを制御しながら奥へ進みます。暗闇の中で懐中電灯を持って、光が弱点の敵を相手に攻略していく流れは、この記事の冒頭にも書きましたが、まんまレディのアトリエを進むランナウェイ・キッドと同じです。キッドが敵対していた影のこどもたちは光をしばらく当てると消えてくれましたが、ここの患者は動きをとめるだけで、消えてくれないのが難点です。
しばらく患者から逃げ続けて、ダクトを通って独房のような病室に出てきました。ここなんてまさにモウの監獄っぽくないですか。
パイプベッドに続けて、この汚れに汚れまくった便器ですよ。モウってやたらとトイレがあった印象です。床に落ちているのは右手の義手です。そしてベッドの足下に白い一つ目の落書きがあって、チーズが落ちています。今作はなんか場所にそぐわない食品がよく転がってますね。
廊下に出ると、ますます監獄とか監禁部屋のような印象が強くなります。鉄格子で区切られた廊下に、細かく分けられた鉄の扉がいくつも並んでいて、外からかけられるカギ穴と、中に食事などを入れられる穴が設けられています。モウの監獄より監獄しています。
背後の鉄格子はよく見ると右下の一部が金切鋸で切り落とされていて、穴が空いています。奥はファントムがいる隠し部屋でした。
シックスの監禁部屋のように、壁に監禁された日数を記していたような5単位の印がびっしり刻まれています。日本で言うと「正」の漢字のように、海外では数を数えるときによく使う棒記号です。そう考えると、シックスの比ではないぐらい、めちゃくちゃ長い間ここに閉じ込められていたんでしょうね。真ん中にはそばに転がるスプーンで一生懸命掘ったらしき穴が空いています。そこに座って穴の中をのぞくファントムは、脱走でもしようとしたんでしょうか。そりゃこんだけ長い間閉じ込められていたら穴掘って出たくもなりますわね。
配信中、試しに穴の中に飛び込んでみたんですが、何かの興奮する鳴き声が聞こえてきて、ただゲームオーバーになるだけでした。この部屋に入るとネズミの鳴き声っぽい音が聞こえてきていたので、中は人食いネズミかなにかの巣窟につながっているのかもしれません。姿が見えないので、ネズミかもしれないし、前作のモウにいたヒルみたいな敵かもしれないし、興奮した声が学校のいじめっ子にも似ていたような気もするし、正体はよくわかりません。とにかく穴を空けて脱走を試みたけど、うまく逃げることはできなかったみたいです。無念……!
ここの穴、よく見るとまた白い一つ目の落書きがあります。配信では気付かなかったんですが、この穴に先ほど見つけたチーズを放り込むと、チーズを貪り食う音が響きわたったあとに「異議あり!」という実績が解除されます。
この実績名も意味不明ですよね。実績の説明を読むと、ここの穴はほかの穴と同じように一筋縄ではいかないみたいなので、そう易々と毎度キャラクターを通してたまるかっていう穴視点の「異議あり!」みたいです。穴と言えば、学校から逃げてくるときもダクトを通ったりしてきましたが、『不思議の国のアリス』のウサギの穴みたいな別世界へ行く表現なんでしょうか。
あるいは、もっと卑猥な見方をすると、学校の先生が女性だったのもあって、女性器みたいな解釈もできます。なんか、学校は女性教師に童貞を奪われる男子生徒みたいな裏メッセージでもあったんかな。たしかにブリーフも落ちてましたけども。
モノとシックスの関係にフォーカスすれば、ここの穴は今後シックスに拒まれるモノの存在を象徴しているようでもあります。人間にもチーズにもかぶりつく貪食もシックスの特徴の一つですしね。
ここの廊下は両脇の扉から義手が腐るほど飛び出してくるほか、そのあとは、はいずり回る患者の追跡をかわして進まなければいけないアクション・ステージになっています。何回も捕まって、もうクリアできないかもという考えが頭に過りました。義手に捕まらないように繊細なコース取りが求められる廊下といい、患者の動きを封じるために絶妙な角度調整が必要になる懐中電灯テクニックといい、このゲームはコントローラー必須だと思います。こんなんキーボードなんかで操作できんわ。
あと、モノが持っている懐中電灯は調子が悪いみたいで、不定期に明滅するんですよね。怖いからやめて!
激しい患者の追跡をかわしてたどり着いた先はシャワールームです。石けんが落ちているのでスイッチに投げつけて先に進みます。シャワーに石けん! こんな世界の人間でも、衛生観念はまだ残っているんですね。
ちなみに、配信では気付かなかったんですが、このシャワールームの左奥に隠し部屋につながる通気口があります。ここの部屋は壁や床がクッション仕様になっていて、ますます重篤な自傷行為持ちの患者を収容する精神病棟みたいになっています。シャワールームの隣にあるだけあって、部屋の真ん中にバスタブが据えられていますが、入浴している人の様子がおかしいです。ハエがたかってヘビみたいなものに巻き付かれています。おそらく死体だと思われます。それに手を伸ばそうとしているファントムを発見! これは配信後の二度目プレイで回収しておきました。
ヘビだとすると、神話ではリヴァイアサンとかが気性の荒い女神や怪物扱いになっているので、女性の象徴だと思うんですよね。日本でも弁財天が人頭蛇身の姿で描かれます。以前に書いたと思うんですが、シックスに関連づけて考えると、七つの大罪の6番目である暴食を司るのが蝿の王のベルゼブブなので、このヘビみたいな細長い物体は、実は巨大なハエの幼虫であるウジが数匹固まった塊とも考えられるかなという気がしていました。人を食べて、やがて蠅の王になる、みたいな。いや、全部私の妄想ですけどね。
しばらく懐中電灯を抱えて患者と追いかけっこしながら進むと、電気イスのようなものが見えてきました。処刑部屋まであるとなると、ますます監獄ですね。それともこれは、精神科の電気けいれん療法とかああいう系の治療設備に似たものなんでしょうか。
ここはまた U 字型に進んできた突き当たりで、最初にシックスと別れた廊下と鉄格子越しにつながっています。レバーを引いて電気イスを起動させれば、電撃でヒューズが吹き飛んで鉄格子の隙間からシックスに渡せるようになります。あとはヒューズボックスにシックスが勝手に挿して鉄格子を開けてくれます。
気になるのは処置される人間が見るであろう電気イスの正面に黒い渦がグルグルと巻く絵が貼られているところです。これまでも学校などで見た落書きと一緒かもしれませんが、これだけだと特別意味があるように見えないんですよね。でも、ここに貼るからにはやはりただの渦にもなんかしらの意味があるんだと思います。学校の先生のろくろ首に絡めて考えていた説だと、永遠に続くものの象徴で、モノとシックスが子供から大人になって永遠の物語をループして生きていることの示唆かなと考えていました。
配信では、ボールはヒューズよりも先にシックスに渡すものだったのかと疑っていたのですが、正解は背後に迫ってきた義手に投げつける方だったようです。うまく投げるとかっこよく片手でキャッチしてまた放り投げてくれます。これも遊びの実績解除です。英語ではリハビリなどで使われる重たいメディシンボールという実績名になっています。これは義手を装着した患者のリハビリなのか。
ここのエリアを抜けるとヒューズがやっと2個そろうので、エレベーターで地下へ進めるようになります。そしてついに、病院の主であるドクターが登場します。
……と、その前に手との決着をつけないといけないんでした。床になぜか転がっている手頃な太さの鉄パイプを握りしめて、2匹に増えた手と渡り合います。2匹になったので難易度が爆上がりです。当然ですが、何度も死んでまぐれ当たりで勝てました。
やっと両手がそろったねと思って戦っていたんですが、これはどちらも右手のようです。先に倒した手も入れると、勝手に動き出す手は3匹みんな右手なんですね。左手はどこにいったの……? モノとシックスがつなぐ手で考えると、右手はシックスの方なんですけど、モノが手をつなぐ女性が複数人いることの示唆なんかな? それか私が見逃しているだけで、これまでシリーズ作品で右手がなんか象徴的な意味合いで使われていたシーンがあったのかな? 単純に考えると両手のモデルを2通り作ると云々の大人の事情でもあるんでしょうけどね。
手を倒して奥の部屋へ進むと、人の顔の皮のようなものが壁に並べて展示されていました。よく見ると前作のモウでご馳走を頬張っていたわがままボディのゲストに似た顔もあります。これは人工物じゃなくて、実際に人の顔から剥いだ皮だと思うんですけどね。今まで襲ってきた患者の頭部は、簡易的な骨格だけに置き換えられているものも少なくありませんでした。あれにこの皮をかぶせて完成形なのかなって思ったんですよね。
前作はゲストだけでなく、料理を作っている双子のシェフも顔に皮を被って素顔を隠している設定がありました。あれも、患者の説明どおりなら、自分の醜さを隠したい心理の表れなのかもしれません。そのわりにはもうちょっといい面を選べよといいたくなる造形ぞろいですが。
モウに登場したマスクも、ここが原産地だったと解釈していいのかな? そうなるとこれから出てくるドクターはこの世界で大きな影響力を持つ偉大な人物なのかもしれませんね。
その偉大なドクターがこちらです。すぐ隣の部屋でガッシャンガッシャン作業をしています。
特徴としては、重力を無視するかのように天井をずっとはっていて、イモムシのような巨体をしています。天井に張り付く姿はむしろクモかな。顔の肉は重力で垂れ下がっていますね。あとは頭がはげ上がった中年男性といったところでしょうか。地面に降りて来ないのは、医者という社会的に地位の高い役職に就いている偉い男性のプライドや奢りなどといった心理とも結びつけて考えられるかもしれません。
完ぺきであることを最優先するそのドクターは、彼を邪魔するものを決して許しはしない。彼が愛する患者たちのひしめく廊下でその姿を見てしまった時、最期の瞬間は近い。
『ドクター』
公式サイトの説明で完ぺき主義者と語られています。患者を愛しているそうですが、その愛は一般人には理解できない愛のような気がします。このドクターも学校の先生みたいに、力関係が上にくる立場の人間で、下々の手の掛かる民衆がいるからこそ築けている地位に就いているタイプです。もっと言えば、自分の地位を維持するために、社会的弱者を必要としています。そういう愛なんじゃないかな。あるいは、この世界は妙な病気が蔓延しているようなので、それを治すための自分の研究を進めたくて、その研究材料として患者が好きみたいな歪んだイメージしかわいてきません。
ちょっと怪しいんですが、白目を剥きがちな目と垂れ下がった顔の肉という特徴が、レディのアトリエに飾ってあった肖像画に似ています。ここの絵はほかに学校の先生に似た肖像画もあって、先へ進むためのナゾ解きであえて照明をつけない共通点がありました。
ドクターが患者の診察をしているらしき場面を道中たびたび目撃することになるんですが、どれも愛があふれた治療には見えません。乱雑に脚を持って運んだり、ほじくり出した汚れを机になすりつけたり、ノコギリを持ちだして義手だか義足だかを切って調節しているのか、ギコギコと乱雑に扱ったりしています。
そう言えば、上の画像の患者は体が一回り小さい印象です。これ、モノたちより大きいけど、子供の表現なんじゃないかな。首に着けられた人工の顔は、頭頂部とアゴしかないので、先ほど見た顔の皮を上からかぶせるつもりなのかもしれません。
隣の部屋はもっと大きな部屋で、患者が横たわるベッドがズラリと並んでいます。ドクターは天井を伝って、患者一人ひとりの様子を熱心に診ていきます。ここの患者たちも、これまでモノを追いかけていた患者に比べると体格が一回り小さい気がするんですよね。やっぱり子供の表現なんじゃないかな? たぶん、ドクターの研究対象は本当は子供なんでしょう。
ドクターが回診にいそしんでいる間、モノたちはベッドの下に隠れて、この先のドアのスイッチを押すために投げられる物を入手しようとします。ここに転がっているオモチャは、おなじみの一つ目の黄色いブロック、サルの首、新しいウマかシカの木製の人形でした。私のお気に入りはサルの頭です。
ドクターに存在を感づかれながら、うまく隠れて屋根裏を進みます。ドクターがぶら下がる手を入れるために、天井の板が一部抜けています。その天井裏にはモウのように小さな缶が置かれていました。人間が在庫置き場にしている雰囲気ではないですし、もしかしたらここにもノームみたいな小さな生物がいて、人間からおこぼれの食料品を奪って生活しているのかな?
ずんずん進んで死体安置所のような場所に出ました。解剖台にたくさんの死体保管ロッカー、死体からかき出したような臓物らしきもの、とにかく乱雑に積み上げられた死体袋があります。死体袋もめちゃくちゃ規格にバリエーションがあって、ここが長年使われてきた場所であること、あるいは、とにかく患者や死体が多くて需要があることが簡単に想像できます。
壁の時計は5時4分ぐらいだと思います。意味はよくわかりません。この世界の時計はあってないようなもんですしね。
あ、ここの奥のロッカーを開けると、モノが頭部に包帯をグルグル巻きにしたビジュアルになる新しい帽子が拾えます。こんなん初見で気付けって方が無理じゃない……?
せっかくなので、病院出口の神々しい光が射す机をお立ち台にして撮影してみました。さっきまでのかわいいぬいぐるみ帽子とは打って変わって、完ぺきに病人モードの帽子です。次回の配信はこの帽子で始める予定です。
下水管を使って上階の排水口から頭を出すと、またドクターが死体保管ロッカーに囲まれた作業台で治療行為にいそしんでいました。患者の脚を乱雑につかんで、ノコギリでギコギコ切っています。
モノたちとしては、ロッカーの中に見えるヒューズを取りたいだけなんですが、こんなところに近づいたら間違いなく捕まるだけです。ここは作業の邪魔をせずに、視界に入らないように通り過ぎて奥へ進んでいきます。
先にあったのは特別な延命治療をしているらしき病床でした。これまで見たことがない心電図がちゃんとモニターに表示されています。あのドクターもまともな治療ができる証拠ですね!
ここまで軒並み死体保管所らしき雰囲気続きだったのに、ここにきて明らかに守られている命があるんですよね。おそらくドクターが必死でいろんな患者を診て治療方法を研究しているのも、この患者を生かしたいからじゃないかと私は考えています。あり得るのは自分の子供とかですかね? やっぱりちょっと骨格が小さくて、頭が大きく見えるので、子供だと思うんですよね。
そして壁には、引いてくださいと言わんばかりのレバーがこれ見よがしに設置されています。このゲームをプレイしていたら、やらずにはいられない仕掛けです。しかし、この部屋に入るのに、すでにシックスには足場になってもらったので、ここにはモノ一人しかいません。一人でジャンプしてもあの高さには届きそうもありません。なので壁になぜかハシゴのように出ている鉄筋をつかんで、屋根裏へ登り、上から飛び降りてレバーをつかみます。
レバーを押すと、定期的に上下していた患者の胸が動かなくなり、心電図がフラットになります。カーテンで仕切られて見えませんが、何らかの人工心肺装置につながれて、機械的に延命していた状態だったんでしょう。
フラットになった心電モニターの音を聞きつけて、すぐにドクターが駆けつけてきます。下がったレバーを上げて、患者を触りながらあれこれと蘇生を試みているようです。このときばかりはわざわざ隠れなくても、まったく気付かれません。モノは悠々と部屋を出て、ゆっくりとロッカーに置かれていたヒューズを取って出て行こうとします。
延命装置につながれた末期患者とは言え、モノは自分の目的の物を手に入れるために、人の命を奪うことをここでしてしまうんですよね。そう考えると今作のエンディングはある意味、自業自得、因果応報なのかもしれません。ヒューズを持って鉄格子のヒューズボックスへ向かうまでに、ドクターの声が聞こえてくるんですが、悲しげにオンオン泣いているように聞こえてきます。
持ってきたヒューズをヒューズボックスに差し込むと、鉄格子が開く電子音でさすがのドクターもこちらに気付いたようです。患者のことはもう諦めたのか、ものすごい叫び声を上げて追いかけてきました。しばらく逃げ続けていると、今度は天井から降りて、ベッドごと上から潰してくるように体重をかけてきます。ドクターが天井をはっている理由が、医師としてのプライドや奢りという私の読みが正しければ、ここはそんなものをかなぐり捨ててでも討ちたい仇があるということなんじゃないかなと思います。いや、ここは普通にモノたちの方が悪いと思うんですよね、私も。
追いかけっこの末に、モノは死体焼却炉に逃げ込みます。ドクターを中へ誘導して、自分は下部の小さな穴から脱出します。そしてモノが飛び出るやいなや炉の扉を閉めてしまうシックス。ここけっこう残酷だと思うんですよね。
配信ではすぐにレバーを引いて炉の火をつけてしまったんですが、火をつけずにそのまま立ち去る選択肢もあったようです。その場合は「汝傷つけることなかれ」という実績が解除されます。やっぱりトドメは刺さない方がいいらしいです。でも、ずっとここに閉じ込められてるのも酷じゃない……?
あと、ここでドクターを殺めなくても、モノは軽い気持ちですでに人の命を奪っていますから、カルマ的には極悪人なんですよね。
ドクターに火をつけると、とどろいていた悲鳴がやがて静かになり、シックスが暖炉の火で暖を取るかのように手をかざして炉の前に座り込みます。ここだけ癒やし空間が生じているんですけど、それ、人が生きたまま燃やされている炎ですよ~。やっぱりシックスはどこか頭のネジが吹っ飛んでいる狂気の人として描かれているようです。
精神科医の名越康文先生がゲームのプレイ画面を見て分析した話では、シックスが本当に温かさを感じられるのは、こういった命の炎しかないんだろうというようなお話でした。殺される動物をかわいそうと思いながら、でもそれを食べておいしいと感じる人間の本能みたいなものに例えて、シックスの孤独を癒やせる炎はこれしかないのではないかというお話をされていました。
確かに、シックスは先ほども書いたとおり、別の炉でぬいぐるみやトウモロコシを目の前で焼いて見せることができるんですが、どちらも一様に炉が作動するときにビックリした様子を見せ、その炎で暖を取るような素振りは見せませんでした。このドクターが燃える炎にだけ特別なリアクションを見せます。
シックスは前作のモウで、たびたび飢えに苦しみ、最初はパンなどの食品を口にしていたのに、最終的にはモウの主のレディにしゃぶりつき、ゲストたちから直接エネルギーを吸って奪うような魔女然とした姿を見せるようになります。食べ物を口にしてエネルギーを都度得るというより、シックスの最終形態は生者の精気を吸い集めるのが理想のエネルギー摂取方法になるようです。だとすれば、ぬいぐるみはもちろんのこと、トウモロコシや調理済みのポップコーンに特に興味を示さず、ドクターの命のエネルギーが昇華された炎にだけこういう特別なリアクションを見せる生態の説明がつきます。これはシックスの飢餓感を癒やすご馳走なのかもしれません。
あと、シックスとドクターの関係を掘り下げる上で覚えておきたいのが、これまでハンターに監禁され、学校のいたずらっ子に文字どおりつるし上げられていたシックスが、この病院のステージだけは誰からも監禁されないんですよね。ネタバレですが、シックスはこのあとテレビから姿を現したノッポ男に捕まってしまうので、その後はしばらくモノ視点では救い出すべきピーチ姫のような位置づけになります。ドクターは何かきな臭いことをあの病院でしてたんでしょうけど、少なくともモノ視点だと疑わしいだけで、実際は不用意にシックスに手出ししようとせず、自分の病院に迷い込んできたネズミや、自分の大切な患者の命を奪った仇を成敗したかっただけでした。そう考えると、やはり殺されるべきだったのかという点に疑問符が付く人物です。たぶん、同じ男性像でも、モノやいじめっ子のような男の子たちとは違う存在を表しているんでしょう。やっぱり父親なんかな?
病院の主は焼却炉でサクッと燃やしてしまったので、さっさと病院を抜け出し、雨が降りしきる町にまた戻ってきました。そう言えば学校を出たあたりから雨がポツポツ降ってきていましたね。病院から出るとさらに激しくなっていました。雨はなんの表現なんだろうな? よくある表現方法としては、お葬式のシーンとかに降っている悲しみの涙なんですけど、学校を追い出されてから病院で人殺しに手を染めるまで、モノの人生は泣きたい事件の連続だったってことだったのかもしれません。男の子は生きるのがつらいときあるよね。まあ、たぶんこの雨、私が知っている限り、今後もやむことをしりません。
配信ではこれまた気付かなかったんですが、ここの通路の奥にフタが開いたマンホールがあって、地下の下水施設が隠し部屋になっています。そこには肉塊のようなものが詰まったバケツと釣り竿が置かれていて、ファントムが一人たたずんでいます。
ここの地下設備はちょっとモウを連想させます。ネズミもウロチョロしているようでした。しかし、釣りをしていたにしてもよくわからない状況ですよね。その肉片みたいなのは釣り餌なの? それとも肉片が流れてくる下水なのかい? それをかき集めていたの???
しばらくごみごみした町を突き進むと、ちょっと開けた広場みたいな場所に出てきました。前にも見た覚えがあるバス停のベンチがあります。中身の人間の体だけ消えてしまったような紳士服が人型に置き去りにされています。この装い、中折れ帽も相まって、めちゃくちゃノッポ男っぽいんですよね。どこかに行こうとここでバスをずっと待ってるってことですよね。
ここの広場は歩きまわっていると上から人が落ちてきます。地面に叩きつけられるときに変なうめき声を上げるんですが、その後その場から動こうとしないので、そのままお亡くなりになっている可能性もあります。近くまで行ってみたんですが、何もできません。ただ、シックスがポリゴンに引っかかったらしく、その場で足踏みして動けなくなる現象が起こっていました。ここからしばらくモノだけで物語を進めます。
動けなくなったシックスを置いてボロボロの建物に入って行くと、屋内でも天井を突き破って人が落ちてきます。しかし今回はおもむろに立ち上がると、一目散に画面右側の奥へ消えていきました。追いかけるとその男はテレビ画面に頭を突っ込んで今度こそ昇天していました。それだけテレビが恋しいみたいです。
公式サイトのあらすじによると、この世界は怪電波を放つ電波塔に支配されていて、テレビを介して害悪な電波をまき散らしているらしいです。ここの住民たちはみんなその電波塔から電波を受信しているテレビに毒されているという設定なんでしょう。
『リトルナイトメア2』は、電波塔に支配された世界を舞台に、少年「モノ」を操作するサスペンスアドベンチャーゲームです。黄色いレインコートをかぶる少女「シックス」と共に、テレビを介して世界に広がる悪の源を暴くため、二人は電波塔に向かいます。
公式サイト
しかし、二人の前には町に住む住人達が待ち構えており、二人の道を阻もうと試みます。
不気味な深林やおぞましい学校など様々な場所を、シックスと協力して謎を解いたり、トラップを回避したり、遮蔽物や近くにある道具を使って敵を撃退したり、二人で助け合って数々の障害を乗り越え電波塔を目指しましょう。
果たして、モノは電波塔の背後に潜む謎を暴き、シックスを恐ろしい運命から救い出せるのでしょうか。
今までモノはハンターの森でシックスを救い、なぜか学校や病院に迷い込んでいましたが、ここでやっと寄り道をやめ、本来の目的である怪電波の害を直接自分の目で確認して、電波塔を目指すようになります。物語的には、おそらくここのテレビ中毒者たちに行く手を阻まれて、まっすぐ電波塔を目指せなかった的な展開なんでしょうけど、寄り道、長かったなあ。
テレビ中毒を発症した住民たちは、みんな前後不覚になって建物から落ちてきたり、テレビが好きすぎるあまり物理的に頭を突っ込んで感電死してしまったりするようです。じゃあ、服だけ残っているのは何なのかな? 月日が経過して、肉体が朽ちて、服だけその場に残された的な話なのかしら? あと、テレビ中毒と病院の患者はどういう関係なのかも気になりますね。テレビで広く社会の情報を手に入れて、キレイなモデルや俳優さんの映像を見ていると、自分の外見に対するコンプレックスが強くなるみたいな関係性はありそうですけど、単純にそういう心理で解釈していいのか迷います。
ここのテレビに頭を突っ込んで亡くなっている部屋は、壁の絵がいじめっ子と先生で、前回探検した学校とのつながりを匂わせているんですよね。この人にとっては学校は楽しい場所で、またあの場所に戻りたいみたいな、現実逃避でテレビを見ていたのかな?
ここで壁の絵を見ている間に、ポリゴンの狭間に足を取られていたシックスが合流してきました。そろそろ連携技がないと進めない場所が出てくるから、ゲームシステム的にリセットがかかるようになっていたのかもしれません。
窓から屋根を伝って隣の建物に入っていきます。そこでもたくさんの人がテレビに釘付けになっている様子が確認できます。邪魔をしようと近づくと、モノの方を振り返って、顔から怪しい波動みたいなものを出して攻撃してきます。浴びすぎると普通に死にます。離れるとまたテレビ画面を注視しだすので、とにかく邪魔してほしくないみたいです。あと、このお姉さんは顔がなくて、顔面に大きな穴が空いているだけでした。なんだろ? 怪電波を見すぎると、自分もダイソンの扇風機みたいに変形して怪電波を繰り出せるようになるのかな? あるいは、テレビを見すぎて大衆文化に溶け込みすぎた結果、無個性、頭空っぽになるみたいなトゲのあるメッセージなのかな?
ここのエリアは終始テレビから流れてくる軽快な音楽や、ニュースを読み上げているような人の声が聞こえてきます。その中に、モウで管理人が聞き惚れていた童歌もありました。
やはりあれは人を虜にする毒電波だったのかもしれません。だとすると、シックスにはその電波への耐性があるということにもなりますね。
さらに奥に進んで、雨漏りしている何気ない部屋に出ました。壁に掛かっている絵を見ていると、右の絵はモウのゲストが飲み食いしていた宴会場のように見えます。違うかな? 中央にちゃぶ台が置かれたふすまの和室っぽく見えるんですよね。そう言えば、ここは雨漏りの水を受け止めるために食器や鍋が並べられていますし、もしかしたらモウのお食事と関連づけられている部屋なのかも?
お隣はバスルームになっていて、女性らしき人影がバスタブに漬かりながらテレビを見ています。テレビをバスタブに落として感電死……みたいな攻略が頭に浮かびましたが、ここはただ素通りするポイントのようです。こういうバスルームはやっぱりモウを連想しますね。洗面台の鏡もきっちり割れていて、レディの鏡を彷彿とさせます。あとこの先に上階へ向かうエレベーターもあるんですよね。
エレベーターの上に乗って屋根裏まで行ったら、エレベーターを上下させている大きな滑車がありました。滑車も前回書きましたけど、ぐるぐる回すという点で、先生のろくろ首みたいに永遠に続くものを意図している可能性があります。今までいろんなナゾ解きのギミックとして登場してきましたけど、こう巨大なものが登場するのは象徴的な意味合いがありそうな気がします。それこそ、レディの部屋に通じるエレベーターと組み合わせて考えると、シリーズの出発点を感じさせる演出です。
滑車がある部屋の左奥には通気口が隠されていて、ファントムがいる隠し部屋に通じています。そう言えばファントムがいる隠し部屋に入るとき、シックスはついてこないんですね。外で待っています。やっぱりファントムはモノ個人と強く結びつけられている何かなのかな?
この部屋は真ん中に布団が敷かれていて、その真ん中にファントムが浮いているように立っています。ドラえもんかな? 床にはトイレットペーパーが転がっているし、ファントムの足に下は変なシミがあるし、これもオネショを連想させるシチュエーションになっている気がします。足下に転がっている絵や写真は人物が多めでしょうか?
天井からはビンやカラスの死体が吊されています。ビンはアルコール中毒の表現かな? あるいは前作の DLC でランナウェイ・キッドが集めていたメッセージ入りのボトルなのかもしれません。ここで誰か外部からの手紙を受け取りつつ、過去に思いを巡らせて引きこもっていたみたいな感じかな。カラスはハンターの森で死体をついばんでいた姿が印象的ですが、それ自体にどういう意味があるのかはまだよくわかっていません。ビンに頭を突っ込んで死んでいるのは何なんだろな?
左の壁には光が差し込む窓がありますが、白い紙か布でふさがれているようです。窓際には病院で脱出用の穴掘りに使われていたスプーンが置かれています。
窓からの光の差し込み方はシックスの監禁部屋を思い出しますね。あそこはただフックが吊されていただけでしたけど。
エレベーターで上がった先は、前作で言うとモウのレディの部屋だし、この部屋のファントムはシックスやレディのような女子の物語を表しているんでしょうかね?
滑車があった屋根裏部屋を右へ進むと、屋根の上へ出て、そこからこれまた象徴的な電波塔の全貌が見えます。塔の上からひときわ強い光を放っています。あの怪電波をとめるのが、モノとシックスの旅の本来の目的だったはずです。光を放つのはモウの一つ目と同じ特徴であり、ここでは背景の雲の形で塔のてっぺんが目の形に見えなくもないかなという気がします。
塔という特徴で言えば、モウの頭のてっぺんにも塔みたいにそびえる煙突がありました。シックスはレディの部屋に忍び込んでレディを貪り食い、そのまま料理を頬張るゲストたちの脇を通ってここへ出てくるので、大きな滑車と隠し部屋をレディの部屋に見立てた立地は、この屋外で塔を眺める屋根の上の絵までざっくり一致はしています。したところでモウとアパートが一致するだけで、それがどうなんだって話なんですけどね。この町の状況とモウの物語が時系列的にどうつながるのか、はっきりわからないんですが、もしかしたらシリーズ作品の物語のあれこれは、実際には描かれているほど劇的なものではなく、発端は些細なことで、それを登場人物が繰り返し、繰り返し追体験することで、感情だけが誇張されて劇的なものに仕上がっていったみたいなものかもしれません。あるいは逆に、劇的な体験を繰り返していくことで、こんな町の片隅の何気ないアパートでも、小さな要素で繰り返しが始まっているとかかな。
電波塔を二人が見上げている屋根には、グラニーを連想させる一人掛けのソファと、電気を伝える電柱と電線もあります。あと煙突の形がノームの三角帽のようでもあります。この町は電線も張り巡らされているし、セントラルヒーティングの暖房が室内にあるのも確認できるんですが、なぜか暖炉で暖を取っているのかと思うぐらい煙突も多いんですよね。
モウの煙突は機関部でノームたちが焚いた石炭の煙が排出されるところでした。ここの煙突も病院で焼却された遺体やドクターのように、死者の灰、言い換えれば、生命の炎みたいなものから出る煙を排出する場所として描かれていたりして。
あと、気になるのは屋根から見える看板におなじみの一つ目のマークみたいなのがあることなんですよね。目にまつげが生えたみたいなデザインです。あれって実は、どっかの企業のロゴだったりするのかな?
電波塔を確認したあとも、建物の屋根を伝ってどんどん進んでいきます。電波塔を目指すわりには画面の奥へ進まず、右方向の建物を上っていくんですが、気にしてはいけません。
途中で物置部屋のように使われているっぽい隠し部屋に窓から侵入できました。前作のモウで見たようなケージが壁面に積み上げられています。しかも大半のケージにネズミがしっかり捕まっています。それに手を伸ばしているファントムを発見! しかしよく見るとファントムはネズミやケージではなく、頭上のケージからはみ出ているソーセージを取りたかったようです。ソーセージとくれば、ここはやっぱりモウでノームにされてしまったランナウェイ・キッドの物語でしょう。
ネズミも、今作にも先ほど出てきましたが、モウにしっかり住み着いていて、シックスの非常食として描かれていた姿が印象的でした。そう考えるとこの倉庫はシックス目線だと食料庫なんですね。なんておそろしい……!
ファントムを回収したら、そんな不気味な空間とはさっさとおさらばして、先へどんどん進んでいきます。非常階段を駆け上がり、雨どいを登って高層階の部屋に入ると、そこは半壊していて、モノたちが中に入った衝撃で一斉に崩れ始めました。
崩れ落ちてくる天井を避けて逃げるように走り抜けてきましたが、足下が崩れて下の階に落ちてしまった二人。モノがハッと目を覚ますと、シックスはソファの下敷きになっていました。手を引っ張って助け出し、また以前のように動き出す二人ですが、ここでどれだけ町全体が歪んでいても崩壊まではしなかったステージが崩れるのは、何か意味があるような気がします。そろそろモノとシックスの関係に破綻が見えてきた頃合いなんじゃないでしょうか。
シックスを下敷きにして動きを封じているのは二人掛けのソファです。グラニーのソファとは違って、俗に言う「ラブシート」で、二人で腰かけるイスです。それがシックスの上にのしかかっているということは、二人の関係がシックスの重荷になり始めているという意味かなという気がします。まあ、この時点でモノは学校を追い出された人殺しですし、どう考えても二人で真っ当に生きていく道はなさそうです。ボニーとクライドみたいな犯罪者カップルにでもなるしかないんじゃないかな。
崩壊した廊下から奥へ進むと、また誰かのお家につながっていました。先ほどまでのおのずと崩れ落ちる朽ちた建物の雰囲気はなく、まるでまだ誰かが住んでいそうな部屋ですが、廊下にはこれまで町中で見てきたとおり、中の人だけ姿を消したような服がまた落ちています。今度はご丁寧に靴下や下着のブリーフまで描かれていますね。
ブリーフと言えば前回学校で見たお漏らしパンツですが、この体格は大人の物に見えますし、お漏らしの痕跡はないようです。ブリーフってことは、男性で間違いないと思うんですよね。
廊下の奥の左側にある扉は玄関のようです。郵便受けのスリット付きで、たくさんねじ込まれた手紙が床にあふれ出して山のように積もっています。ここの主と連絡をとろうとしていた人がたくさんいるようです。あるいは、少なくても、熱心に手紙を送り続ける関係の人がいたことを匂わしています。繰り返しになりますが、手紙はランナウェイ・キッドの収集要素だったメッセージ入りのボトルとつなげて考えられるかもしれません。
手前の寝室は子供部屋のようです。床にオモチャが転がっていて、ベッドの下には白いチョークの落書きで一つ目が何個も描かれています。これも学校で見たものと似ていますが、モウともつなげようと思えばつなげられる要素です。水鳥の木製のオモチャも、テーブルの上の一つ目のブロックもそうですね。水鳥の車輪は壊れている様子がないのに、1枚だけ手前の床に転がっているので、おそらくもう一体同じものがここにあって、それが壊れてしまったのかもしれません。列車もモウの監獄のオモチャ部屋で元気に走っていましたが、ここのものは車両がバラバラになって横倒しになっているのでよく見ると不穏な感じです。
壁に貼られた落書きは、明らかにノッポ男と思しき絵やおなじみの一つ目、テレビに浮かび上がる目、人型に脱ぎ捨てられた服などの核心をついた絵になっています。どこよりもダイレクトに物語の根幹を成すモチーフを描いているように感じます。たぶんここにいた子供にはテレビの中のノッポ男も見えていたし、テレビ中毒になって洋服だけ残して消えてしまった大人を冷静に観察して絵に描けるぐらい生きていたんでしょうね。
玄関ドアからあふれ出た手紙もそうですが、ここのテーブルの上には開けられていない小包がそのまま載せられています。あるいは、これから送ろうとして送られなかった荷物なのかな?
廊下の奥はリビングになっていました。ソファに挟まれるようにテレビが置かれていますが、モノが近づくとまたいつもの発作が始まりました。頭を抱えて苦しむモノ。シックスの方を見てみたら、ケロッと棒立ちしていました。あれ……? 病院のときは一緒に頭を抱えて苦しんでたのにな……?
テレビの中にモノが吸い込まれて、いつもの廊下を歩いていると、たいていはドアにたどり着く前にシックスが呼び戻してくれるんですが、今回はなかなか元に戻れません。そしてとうとう扉を開いてしまいました。
扉の向こうにはやたらと背が高いノッポ男がイスに座っていました。マゼンタ色に照らされてるのは、どんな意味があるんでしょうね?単純にピンクと解釈していいなら、典型的なステレオタイプでは、スケベか変態かオネエの色なんですけどね。そう考えるといかがわしい空間だな、おい。
全開になったドアから、ピンク色に照らされたノッポ男のシルエットがはっきり見えて、彼がイスから立ち上がったところで、モノはシックスに引き戻されました。しかし、今回は様子がおかしく、いつまでも消えないテレビからノッポ男が飛び出してきます。これ貞子のリスペクトかな?
ノッポ男がテレビから出てくるとき、シックスは慌てて手を差し伸べて、モノと一緒に逃げようとしているんですが、モノは頭を抱えてうまく動けずにいるようです。のちのちエンディングでモノがノッポ男になる関係性が判明するんですが、モノはこのときに自分の正体に気付き始めているのかもしれませんね。
自分と同一の存在とは言っても、ここでうかうか逃げずにいるとあっさり捕まってすぐゲームオーバーになってしまいます。もう一人の自分に殺されるってなんか理不尽だけど、父親が息子を、あるいは師匠が弟子をライバル視しての攻撃みたいな関係になるんでしょうかね?
この家は玄関から出られるわけでもないので、逃げる先と言えば先に見た子供部屋ぐらいです。走ってベッドの下に身を潜めます。ベッドの下ってうまく隠れられているようで見つかる定番のスポットのような気がするんですが……大丈夫ですか?
ベッドの下に隠れていると、手前のテーブルの下に隠れていたシックスがノッポ男を恐れてか、モノの方へ飛び出してきます。モノに助けを求めて右手を伸ばしますが、モノは怖さから頭を押さえて床に突っ伏して役に立ちません。結局シックスはノッポ男に捕まって、すごいスピードでノッポ男の手に吸い寄せられる……のではなく、さらに奥の背後に吹き飛んでいきました。どこ行っちゃったの……?
今までシックスは例え敵対者の視界に入っても大丈夫で、モノなら一発アウトなところでも平然と隠れてますオーラを醸し出してやり過ごしてきました。しかし、なぜかここで狙われてしまいます。先の病院でモノが焼却炉にドクターを誘導した際には、入り口の真横で待機していたにもかかわらず無害だったシックスが、ですよ。
これでシックスが狙われなかったのは、むしろドクターとシックスが懇ろで、モノしか敵視されていなかったのではないかという疑問が浮かび上がってきます。シックスはこれまでドクター以外にも、モノと一緒に誰かに追いかけ回される経験をしてきました。でもさすがサイコパスと言うか、そのたびにうまいこと立ち回っていたんですよね。今回のように隠れ場所から自ら飛び出すような行動をするのはちょっと変です。これはやっぱり物語が輪廻する性質上、相手が大嫌いな男を連想するノッポ男だからなんでしょうかね?
ノッポ男もシックスも消えてしまった部屋に、一人残されてしまったモノ。シックスがモノに助けを求めていた場所には、ファントムたちと同様に、テレビの走査線のようなノイズが走ったシックスの影が残されていました。それもモノが近づくと消えてしまいます。
モノはノッポ男にさらわれたシックスを取り戻すべく、もう一度リビングのテレビに向かいます。
今までは頭痛に悩まされて仕方なくという感じでしたが、今回からモノは自発的にテレビの中に入ろうとします。その様子はテレビ画面をそのまんま両手で物理的に押し込んでいるような感じです。そう言えば、ノッポ男もテレビから出てくるとき、両の手のひらをテレビ画面に押し当てて、押して出てきていましたね。さてはてめえら、仲間だな。
今回モノがテレビに入り込むときに、画面が割れているような描写があるので、はたから見ると、先にテレビ中毒の男性が頭を突っ込んでいた姿そのまんまなのかもしれません。モノもテレビ中毒予備軍なのかしら?
テレビの中は内臓のようになっています。肉塊のチューブの中を漂って別の場所に運ばれているようでした。途中で肉壁に大きな一つ目があることを確認できます。これがあちこちでモチーフとして描かれている目の正体なんでしょうか? テレビの中にいるということは、視聴者の目線の象徴だったりもするんでしょうかね?
ちなみにここのリビングのテレビはなにかと特別な存在のようで、チャプター選択画面にそのまま採用されています。初めてノッポ男に出会ったこのテレビが、過去や未来のいろんな時間軸に飛ぶことができるワープ地点になっているということですよね。モノ視点では、ここがいろんな出来事の基軸になるということなんでしょう。もっと言えば、モノ、あるいはモノのベースになっている少年の生まれ育った家だったりする可能性もありそうです。
テレビの中の内臓を通り抜けたモノは、また別のテレビ画面を叩き割って出てきました。そのまま床の穴を抜けて、もう一つ下の階の布団の上に落ちました。見覚えのない場所ですが、ここをたどっていけばやがてシックスに追いつけるということなんだと思います。ということで、次回はここから町を進んで、シックスがとらわれている電波塔を目指したいと思います。
次回に続く
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