LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア- をもう一度。
新作をやるついでに、やり直してみました。
以前にプレイしたと記事に書いたものの、権利関係がちょっと不明だったので、スクリーンショットや動画の撮影は一切しなかった『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』をもう一度プレイして Twitch で配信しました。あれからシリーズ第二作『リトルナイトメア2』がリリースされた際に、ゲーム実況に関するポリシーが公式サイトで明示されて、指定の条件さえ守れば権利面は問題ないということがはっきりしました。二度目なので新鮮なリアクションはありませんが、いろいろ思いついたことを口走りながら、相変わらずヘタクソなプレイで一通り最後まで本編をクリアしています。
この配信は、「『リトルナイトメア』、『リトルナイトメア2』ゲーム実況に関するポリシー」(https://n6ls.bn-ent.net/guidelines/)に基づいて実施されています。また、同ポリシーに基づいて、配信内容を記録したバックアップ動画をこの記事に掲載しています。
途中もたついてしまいましたが、なんとか3時間ぐらいでクリアできましたね。シリーズ初作はボリュームがこじんまりしていましたが、そのぶん印象が強烈に残る良作でした。このあと、DLC もプレイして、シリーズ第二作をやっていく予定です。
以下、シリーズ第二作との比較で気になったポイントなど、スクリーンショットをズラッと並べてメモを残しておきます。もしかしたら第二作のプレイで新しく気づけることが出てくるかもしれません。
ゲームを始めてすぐのムービーで振り向く姿が見えるレディ。レディの周りを取り囲む瘴気が目の形をしていて、レディが瞳の部分にあたるようになっています。
本作は PC 版をインストールすると、プログラムを格納しているフォルダー名が“Atlas(アトラス)”となっていて、ギリシア神話で天を支えているとされた神の名前が採用されています。アトラスには、ペルセウスが訪れた際に手に持っていたメデューサの首によって石にされたという話があり、目はその神話をモチーフにしていた名残かもしれないという話をインターネットの考察で読んだことがあります。
本作の主人公シックスは、英語で6を意味する名前です。作中たびたび動けなくなるほどの激しい空腹に悩まされている様子があることから、七つの大罪の貪食を司るキャラクターなのではないかと考察されていました。だとすると、シリーズ次作のモノは1なので傲慢なのかもしれません。
ギリシア神話のアトラスにはプレイアデスと呼ばれる七人の娘たちがいて、夜空に輝くプレイアデス星団の七つ星と結びつけられています。七人の娘は、父が天を背負うようになってから、狩人のオリオンに言い寄られるようになり、実際に夜空では七つ星がオリオン座から逃げるように動きます。アトラスと七つの大罪がテーマになっているなら、父と罪を背負った七人の娘の物語だったりするかなと考えたことがあるんですけど、モノが公式に「彼」と言われているので読みがはずれたようです。もしこの路線でいくなら、シリーズ次作に登場するハンターを狩人のオリオンと結びつけることもできたと思います。
アトラスの七人の娘を産んだのは、海神オケアノスの娘であるプレイオネです。本作は物語の舞台であるモウが海上を漂っており、シリーズ次作でもモノとシックスがハンターから逃れたあとに、壊れたドアに乗って漂流するシーンがあります。
ロゴのシックスも冒頭のレディのように自身が瞳になるようなデザインになっています。両者になにかしらのつながりがあることを暗示していると思います。主人公と重要そうな敵キャラクターに同一性が見られるのは、シリーズ次作でもモノとノッポ男の関係に踏襲されているパターンです。
ゲームを始めると、シックスが振り向くレディの夢を見て飛び起きます。スタート地点となるシックスの寝床は、このトランクケースです。シリーズ次作でシックスご執着のオルゴールを壊すハンマーは、シックスの背後に隠れていたトランクケースに入れてあったので、なにか関係があるかもしれません。
シックスは最初からライターを持っていて、明かり代わりにして進むことができます。道中ではランタンやロウソクに火を灯すと、オートセーブが入る仕様になっています。シックスと火にはなにか重要なつながりがあるのかな?
道中にはレディの姿によく似た女性の人形がいくつかあり、陶器製なので放り投げるとパリンと割れて、なかから黒い瘴気とともにキラキラ光る光も放出されます。全部で10個あるらしく、すべて割るとレディが着けている仮面を、シックスがフードの下に装着できるようになります。
人形を壊したときの視覚効果は、シックスがレディに捕まるシーンとほぼ同じです。陶器にはレディの魔力の欠片みたいなものが封入されていたのかもしれません。
陶器の人形は本作の収集要素、もとい破壊要素のひとつであり、シリーズ次作でも主人公のモノが自分と同じくらいの背丈の人影を捕まえる収集要素があります。その人影はテレビの映像のように揺らいでいるので、電波のなかに存在するノッポ男との関連性が考えられます。ここにも、物語のカギを握る敵キャラクターと主人公のつながりがあります。
道中のところどころにだれかがタバコを吸った形跡が残っています。またシックスを追いかけ回すシェフなどの敵対キャラクターも、タバコを吸って休憩している姿が確認できる者がいます。シックスが持っているライターも、もともとはどこかの喫煙者から失敬してきた可能性があります。タバコが健康を害することは、いまさら指摘する必要もないと思いますが、タバコで真っ先にやられやすいのは肺で、そのおもな自覚症状は咳です。咳き込む姿が見られるのは、シェフはもちろん、シックスも同じです。シックスはシリーズ次作でも道中さりげなくモノの後ろで咳き込んでいます。
シックスがもといた監獄から少し進むと、首つり死体らしきものがぶら下がっている部屋に出ます。首つりはここだけでなく、作中のあちこちにズバリそのものな人影や、その行為を示唆するものが散りばめられています。
ただ、開始直後に目撃する死体はやたらと細長いので、シリーズ次作のノッポ男との関連性があるかなと気になりました。よく見ると背後のロープをくくりつけた家具も伸びています。足下には次回作でモノが座り込んだものに似ているイスもありますし、状況をよく見ると、イスを蹴って自分で首をつった感じにはどうしても見えないところがあり、この死に他者の手が加わっているとすれば、シリーズ次作のラストでシックスがモノを見捨てる展開とも結びつけて考えられるかもしれません。残される者がいたことを示唆する手紙が足下に落ちているのも意味深です。
シリーズ次作では学校でいじめっこたちに捕われたシックスが男子トイレで逆さづりにされるシーンもありました。それでムカついたのか、そのあとからシックスはいじめっこの背後に忍び寄り、後ろから羽交い絞めにして頭部を自力で破壊するという「まずは CQC の基本を思い出した」とでも言い出しそうな強さを見せるようになります。これも今作の絞首となにか関連があるかもしれません。
絞首とはちょっと違うかもしれませんが、フックからぶら下がってステージを移動するシーンが本作にはあります。フックは本来、食用の肉をつり下げて保管しておくためのものだと思われますが、作中ではどうも布に包まれた人間の死体と思しきものをぶら下げて運んでいるように見えます。シックスはそのフックにぶら下がるため、フックからはずれて地面に倒れているナゾの布に包まれた物体を足蹴にします。これもモノを見捨てたシックス、シックスに見捨てられて、落ちた場所で行き詰まるモノと関連しているような気がします。
死の匂いを感じさせる物と言えば、道中に腐るほど転がる靴も、持ち主の不在から、どこか不吉な雰囲気を漂わせている物です。靴はシリーズ次作でも、ハンターの森などに転がっていて、持ち主の死を匂わせています。
加えて言えば、今作のシックスも、DLC のキッドも、次作のモノも、裸足という共通点があります。生きている操作キャラクターは靴を必要としていないこの矛盾はなにか意味があるのかな?
監獄を進む途中でシックスがハシゴ代わりにして登る冷蔵庫は、このあと厨房が舞台となる展開があるにもかかわらず、作中通してなかなかレアな存在になっています。トイレは腐るほど出てくるのに……。
シリーズ次作にもハンターの家に入ってすぐのところに、似たように登れる冷蔵庫がありました。なにか関連性はあるかな?
レディに似た陶器の人形以外に、本作にはもうひとつ収集要素があって、それがこのノームのお友達です。シックスがノームをギュッとハグすると懐いてくれて、エンディングでモウを出るシックスの後ろ姿を見送りに来てくれます。配信しおわったあとにちゃんと数を確認したら、全部で十三人いるらしいことがわかりました。1匹足りないどころの騒ぎではありませんでしたね。
ノームはモウのあちこちに潜んでいる妖精のような存在なんですが、DLC のキッドの物語によって、もとは人間の子供で、レディに捕まってなんらかの魔法で姿を変えられている可能性が示されています。
管理人、双子のシェフ、レディといった個性的な敵キャラクターが勢ぞろいする今作ですが、彼らより前にシックスの行く手を阻んだのは黒いヒルの大群です。このヒルの意味するところはいまいちよくわかっていません。
ヒルは神話で言うと日本のヒルコがいます。ヒルコは、多くの神々を生んだイザナキとイザナミの夫婦神が最初にもうけた子ですが、手足に奇形があった不具の子で、舟に乗せて流されたという話が残っています。海に流された不具の子は、やがてたどり着いた地で福をもたらす神となり、その地で祭られるようになります。ヒルコは漢字で「日る子」と書く太陽神であるという説もあるそうですが、その姿から「蛭子」と書かれることが多く、それをエビスとも読んだことから、七福神の一柱として有名なえびすとも同一視されるようになりました。えびすは今では商売繁盛の神様ですが、古くは漁業の神様で、海とも関わりが深くなっています。
主神の子が不具というのは、ギリシア神話のゼウスとヘラの第一子であるヘパイストスが足に障害を持つ奇形児で、それを恥じた母によって天から海に落とされて、海の女神テティスに育てられたという似た話があります。その後、ヘパイストスは天に戻り、さまざまな武具や宝飾品を作る鍛冶の神になりました。主神が妻とのあいだにもうけた最初の子に奇形が見られ、海に一度葬られてから光や太陽を司る神として大成するという話は、ある程度、世界的にも見られるパターンだと思います。
ここでシックスが出会う黒いヒルは、神が生み損ねて流された子供たちなのかもしれません。コンセプトアートを見る限りだと、このヒルには2本脚が生えている案もあったみたいです。
今作のプログラムが格納されいているフォルダーが“Atlas”だと上に書いたんですが、『リトルナイトメア2』のフォルダー名は“Helios”で、ギリシア神話の太陽神、ヘリオスの名前になっています。太陽はあながち、無関係な存在ではないと思います。ヘリオスは目を潰されて見えなくなった狩人のオリオンに太陽の光を浴びせて治療した神でもあります。
今作で太陽のようにひときわ明るい光を放っているのは、ところどころに装飾として施されている巨大な一つ目です。この光を浴びると、ギリシア神話のアトラスのように石にされてしまいます。つまり、この目はメデューサということになります。
メデューサはもともと人間の美少女で、同じく怪物の姉二人を持つゴルゴン三姉妹の末妹でした。海神ポセイドンの愛人で、処女神のアテナの神殿で交わったことで反感を買い、神話で語られるような怪物にされたと言われています。自慢の髪は毒蛇に変わり、その瞳は見た者を石にする宝石になっているそうです。海神の愛人ということで、こちらもモウが漂う海との接点があります。メデューサの美しかった髪は、歌を口ずさみながら髪をすきつづけるレディとなにか関係があるかもしれません。
子供たちが暮らしていた監獄の一角には、黒い水で壁に同様の目が描かれた寝室があります。まつ毛の表現かもしれませんが、太陽の絵を描くときに周囲に放射線を引くような太陽光の表現である可能性もあります。
似たような一つ目の絵はレディの寝室にも複数飾られています。シックス含め、子供たちには脅威となる恐怖の対象でも、レディにとってはちょっと勝手が違うらしいことがわかります。レディの寝室にはこの目を描いたツボも置かれていて、なかにはシックスが先に進むために必要な重要なカギが入れられているので、床に落として割ることになります。
黒い水は単なる汚水に見えますが、シックスが食べたあとのネズミやノームの死体から出る血も真っ黒い表現になっています。血である可能性を考えると、ヒルとのつながりも納得できるので、あながち否定できないと思います。だとするとベッドの下の黒い水溜まりもイヤな匂いがプンプンしますね。しかもなにかを引きずり出した痕跡がありますし。
上の冷蔵庫の話題でもちょっと書きましたが、このゲーム、トイレがやたらと出てきます。シェフの寝室にはわざわざ便器の絵が飾ってあります。そんなに見たいものか……? ここのトイレは一部屋に便座が4個も並んでいます。そんなに並んでします? 仕切りもないから遠慮しちゃって出ないでしょ。
同じ部屋に仕切りもなく並ぶ便器は、のちほどまた出てきます。3個と1個にわかれるのも、なにかの法則性かな?
法則性と言えば、とくになにを見つけたというわけではないんですが、廊下にズラッと並ぶドアもなにかあるのかなとちょっと気になりました。小窓から明かりが漏れているドアと、なかが暗いドアがあって、並びになにか法則性があるかもしれないとちょっと思ったんですよね。廊下にドアが並ぶと言えば、最後にゲストが襲ってくる宴会場の障子も一緒に考えられるかもしれません。
ところでここのドア、掛け金が廊下側についているので、おそらく監禁部屋なんでしょうね。それっぽい低いところに覗き穴みたいなものもあります。大きな目が描かれていた部屋も、ドアがはずれてなかの壁に立てかけられていますけど、もとは同じ用途の部屋だと思います。
監獄には孤児院のように子供がたくさん寝ている部屋があります。シリーズ次作では学級崩壊がテーマになっているのかなと思うほど荒れた学校を冒険することになるんですが、その喧騒とは真逆をいく静寂に包まれています。学校の子供たちは性悪のいじめっこ連中でしたが、ここの子供たちはどちらかと言うと、掘り下げるほどに虐待の可能性が見えてくるかわいそうな子供たちになっています。DLC のキッドもこうした子供の一人で、彼らがやがてノームになると考えられます。
キッドは一見するとシックスと似たような立ち位置っぽく見えるんですが、弱肉強食のモウではあっさり食うものと食われるものにわかれてしまったので、やはり食物連鎖の頂点に立つシックスの存在感は異常だと思います。モノはどういう立ち位置だったんだろな~?
思いもよらないことがたくさん起こるモウの中、ノームたちはそこらじゅうにひそんでいる。
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過去に何があったのか、おびえながら暮らすノームたち。それでも中には他の者と友だちになりたがるノームもいる。そうしたノームは、たいてい長くは生きられないというのに。
シックスが道中でギュッとハグしたノームたちは、シックスのことを友達と思っているみたいで、彼女がモウを出るときに見送りに来てくれます。彼らはシックスの友達であり、戦友であり、非常時の食料なんでしょうね。ここらへんに異様な気持ち悪さが漂っています。
そう言えば、最後のこのシーンの構図も、目から太陽の光が出ていると解釈できなくもありませんね。そして真ん中のシックスはやっぱり瞳なんだと思います。
監獄の事務所のような部屋から、床のスイッチを押して隠し部屋に入って、大きな目をした監視装置でモウの内部を盗み見ることができます。スイッチを押すごとに場面が切り替わり、管理人、シェフ、レディ、ノームらの姿を確認できるんですが、大部屋で雑魚寝している子供たちの姿も盗み見ることができます。正面に映し出されるのは並んで眠る二人の子供。二人はシックスのようにフードを被っているように見えますが、寝返りを打つ右の子の足下には畳んだ衣服のようなものが置かれています。これがコートだったら、右がモノで左がシックスを表していたりするかなというこじつけを思いつきました。ええ、こじつけです。
そう言えば、シックスがここでのぞき見た子供たちの寝姿は、シックスが実際に通り抜けて管理人とすれ違った大部屋とはまた別なんじゃないかと思っています。寝ている向きとかベッドの並びがいまいち該当しないように見えるんですけど、どうでしょう?
はるか昔に忘れ去られし場所の、はるか昔に忘れ去られし多くのモノを持って、この世から逃げ出し、モウにやってきた男。
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そんな彼は、まるで物語の中から飛び出してきたような姿をしている。
いまや管理人となった男は、一体何をしているのか。沈黙の中、一人ぼっちで。
管理人は人形をやたらと持っていて、自分の部屋に所狭しと並べている描写があります。これが「はるか昔に忘れ去られし多くのモノ」なら、忘れ去られて過去になってしまった人間のなにかを人形が表しているのかもしれません。人形はレディの陶器の人形もありますし、シリーズ次作ではハンターの家に、まるで住人のように配置された人形があります。広く解釈すれば、身体を義肢に置き換えられて生物の部分がほとんどなくなってしまった病院の患者たちも、ある意味で人形に該当するかもしれません。
管理人の説明文からすれば、モウはこの世ではない場所なんでしょうね。単純に考えればあの世ですけど、次元の狭間みたいな解釈もできるのかな?
管理人は一人ぼっちという話ですが、本編のシックスを追う姿もそうですけど、DLC あたりでは監獄で脱走した子供たちを捕える姿が確認できます。子供は人間にカウントされないんでしょうか?
隠れ家には時計がよく出てきます。管理人はこの音が嫌いらしく、時計の音が鳴っているあいだは耳を塞いで動けなくなります。目が不自由みたいなので、聴覚が敏感になっている可能性もあります。そう言えば、管理人も身体的ハンディキャップ持ちですね。そして目はロゴにもなっている重要なモチーフです。
隠れ家で目にする時計は、一部が破壊されていて、その壊れかたもロープでつって首がちぎれたような形になっています。これも首つりを連想させる表現ですね。
ちなみにレディの部屋にも似たようなノッポの時計がありますが、壊れておらず、普通に時を刻んでいる……はずです。管理人は「はるか昔に忘れ去られし場所」から逃げ出して、モウの奥に隠れ住んでいるような人物なので、モウのなかでもエリアによって時間の流れが違うことが時計によって表されていると考えることもできそうですね。
脚が異様に短いピアノです。今作の本編ではシックスの通り道になっただけで、楽器としては活用されませんでした。DLC でもピアノが置かれた部屋が出てきます。シリーズ次作では敵対キャラクターの先生が見事なピアノの腕を披露しています。DLC の謎解きや背景に使われている絵に、先生そっくりな顔が出てくるので、彼女もレディと接点があるとか、物語全体の背景に絡んでいる人物である可能性があります。
シリーズ次作でシックスが執着していたオルゴールは、今作ではそれほど重要なオブジェクトではなく、シックスの行く先々で複数確認できるありきたりな物になっています。マップを彩る装飾物のひとつという位置づけで、乱暴に蹴ったり、投げ捨てたりできる程度の物です。もしかしたら置かれている位置にこだわって見ていくと、なにか意味が隠されているのかもしれませんが、私はあんまりピンときませんでした。見た目は例の目が描かれているので、それなりに重要そうではあるんですけど、こちらのほうがシリーズ次作よりキレイに見えるので、もしかしたらちょっと違うものだったのかもしれません。
このこだわりの違いは、なにか意味があるんでしょうかね? 時系列的に今作が次作のあとになるなら、次作の最後にモノにオルゴールを壊されたことで執着がなくなったみたいな筋も考えられるんでしょうか?
あと、上の画像の右の棚にある水鳥の木のオモチャは、モノとシックスが学校で別れる前に、いじめっこたちの罠のエサとして置かれていたり、病院のレントゲンでぬいぐるみに隠されたカギを探しているときにシックスがずっと手に持っていたりしたものに似ていると思います。
管理人と鬼ごっこをするなかで、管理人がテレビに夢中になる一幕があります。管理人は目が見えないので、テレビの前に陣取って、ずっと耳を澄ましているといった感じになっています。電波塔から放たれる怪電波によってテレビ放送に骨抜きにされる人々は、シリーズ次作の世界観を作り出す重要な要素になっています。管理人にはこの世から逃げ出してモウに隠れ住んだという背景があるので、もともとはシリーズ次作のようなテレビの怪電波に乗っ取られた町から逃げ出してきた男なのかもしれません。海を漂うモウのなかは町のような文明から切り離されているので、テレビを見なくて済んでいるけど、こうやってちょっと機会があれば、テレビの前から離れられなくなる、みたいな感じだったりして。
このテレビは短い歌を女性の映像とともにひたすら繰り返す内容なんですが、海外ファンによると英語の歌詞に聞こえないこともないらしく、それなりに物語に沿った内容を想像することができます。歌詞はあくまでファンの推測でしかないので割愛しますが、テレビに映し出された映像は、四角い刃をした肉切り包丁と黒い鍋を両手に持った白人女性が、台所のようなところで歌う内容になっています。この台所は、シリーズ次作でシックスが捕えられていたハンターの家の台所によく似ていますし、似た形の包丁もちゃんとあります。女性の背後に、ちゃんと先に述べた冷蔵庫も映り込んでいますね。モノの世界の電波がテレビになにを映しだしていたのかはよくわかりませんが、少なくともここのテレビとつながる情報に関しては、胃袋を意味するモウやシックスと結びつけられる食がテーマになっているように見えます。
人間離れした長い腕を持つ管理人は、監獄の最後でシックスを追い詰め、重い扉に挟まれて両腕を失います。流血表現がないのでわかりにくいんですが、シックスが扉の下につっかえていたカゴを壊すと、扉がガチャンと閉まって、管理人の両腕がキレイにちぎれます。なかなかグロテスクな表現です。
シリーズ次作で首が伸びる先生が登場したとき、私は真っ先に似た結末を想像したんですが、けっきょく先生の首が管理人の腕と似た末路をたどることはありませんでした。モノはいじめっこ集団からシックスを助け出し、先生に追われながら学校から逃げ出すだけで、彼女に手痛い仕返しなどはしていません。これはもしかしたらモノとシックスの差、とくにシックスの表面的にはわかりにくい凶暴性の表れなのかなと思ったんですけど、よく考えたらそれ以前にモノも金槌や重石入りのバケツをいじめっこたちの頭にクリーンヒットさせて撲殺しているので、モノも十分残忍ですね。それでも凶暴性や残忍性で言うなら、個人的な印象ではシックス、モノ、キッドの順でシックスに女王感があります。
ぶよぶよと太った双子のシェフは、どうも公式に人の皮のようなものを頭に被っているという設定があるようです。ゲーム中、彼らの動きをよく観察すると、顔の皮の下に首から手を入れてかく動きも見られます。目の位置はぴったり合っていますけど、首回りの皮は大きめにたるんでいて、角度によっては裾がはっきりと判別できます。よって、彼らの本当の素顔ははっきりしません。
顔の皮と言うと、ちょうどシリーズ次作の病院で、人の顔の皮から作ったようなマスクが壁にかけて並べられている部屋がありました。ちょっと今作のゲストの顔に似ているものもあるんですよね。
あと、顔がわからないと言えば、レディも仮面を被っていますし、管理人は盲目だからか目隠しをしています。レディはシックスに追い詰められると仮面が取れるので、素顔をさらすことは一種のピンチ状態なのかもしれません。ノームも三角帽子が大き過ぎて顔が見えず、帽子にあいた穴から外を見ているような状態です。シックスもフードがあるので、顔が見えづらくなっていますし、レディの陶器の人形をすべて壊すと実際にレディの仮面を被ることができます。
ゲストのなかにも仮面を着けているタイプの人がいます。仮面のせいで食事中のシーンを描けないのか、このタイプの人は脇道の寝室で膨らんだお腹を抱えて熟睡している様子が描かれています。ベッド脇にはまた吸い殻があります。かなり幸せそうです。
素顔が見えにくいと言えば、一時的に「憎悪に満ちた世界を忘れさせてくれる」らしい紙袋をデフォルトで被っているモノにも言えることだと思います。彼がノッポ男の前で紙袋、あるいは帽子を脱ぎ捨てるシーンは、物語が大きく転換する重要な場面です。シリーズ次作にはほかにも、布を被ったハンターや、頭部そのものが割れ物の作り物っぽいいじめっこなど、素顔がわからない登場人物がたくさんいます。
双子のシェフは仲よくベッドが寄り添うように設置されていて、壁の肖像画も半分ずつになっています。トイレの便器まで寄り添うように設けられています。二人でひとつとでも言いたげなシェフですが、コンセプトアートではシェフがもともと三人いた可能性が示されています。仲よしの二人組はモノとシックスの関係と照らし合わせると、皮肉さが出てくるものでもありますが、モノとシックスは男女のそれが示唆されている可能性もあると思うので、ちょっと違うかなという気もします。
三人のシェフから3という数字に注目すると、物語の重要な要素になっているかもしれない気がしてきました。今作は目が重要だと書いてきたんですが、たまにプロビデンスの目みたいに、正三角形をベースにした目のレリーフも見つかるんですよね。シックスのフードもとんがって三角形っぽくなっていますし、ノームの帽子も三角帽子です。三位一体などを意識した世界観作りの可能性もあるかなと思いました。
ゲストに追いかけられながら走り回る宴会場には、男物の帽子がポツンと置かれています。モウに乗り込む前のゲストを眺めても、こういった帽子を被っているゲストの姿は見えませんでした。この形状の中折れ帽は、ノッポ男を連想します。
ほかにもベレー帽がテレビの部屋に置いてあります。ハンターの帽子っぽいと思ったんですが、あとで見比べたらハンターの帽子はもっとハンチング帽っぽいキャスケットでした。
レディの部屋に続く階段で絵画を観察します。一つ目が多いのと、肖像画以外ではブタの絵が飾ってあります。ブタは七つの大罪の貪食を表す動物の一種なので、ここでもシックスとレディの関係性が示唆されています。気になったのは、顔を隠されている絵があることです。右下と左上のピンクのドレスを着た少女の絵は同じに見えるんですけど、右下の子は布が被せられて顔が見えなくなっています。あと、レディらしき人物を中心に五人の人影が描かれている横長の絵は、レディ以外にも似たような人物が四人いたことの暗示かなと思いました。シックスが6だから、その前の五人なのかな? 並びが1から順番になっているなら、レディは3番目で嫉妬を司ることになります。対応する悪魔が海の怪物、リヴァイアサンなので、モウが海を漂っている世界観とも合っています。
ついでに書くなら、シックスの貪食を司る怪物は、ハエの王ベルゼブブです。ハエやウジは今作ではあまり存在感を発揮していませんが、シリーズ次作でハエがたかる表現や、ウジかなと思える物体が出てきます。なんで今作じゃないのか、不思議なんですけどね。
管理人が子供の死体、あるいは人形を布に巻いてフックで運んでいる作業部屋の手前に、バスタブが転がっています。そばにはシックスにサイズがピッタリな斬首刑台と、死体を埋めるのにピッタリなシャベルが並べられていて、不穏な空気が漂っています。トイレは腐るほどあるのに、身体の衛生を保つためのバスタブはろくに存在せず、あったとしてもこのように部屋の端に追いやられています。
じつはシリーズ次作でウジのようなものが確認できると書いた場所がバスタブです。収集要素のひとつであるナゾの人影を回収できる病院の脇道の隠し部屋にあります。バスタブには人の死体のようなものが横たわっていて、アイボリー色の細長い物体が巻き付いています。その周囲をハエがたかっています。疑問点を書くなら、成虫のハエに対して、ウジ虫が巨大すぎるナゾがあるんですけどね。最初はバスタブに渦巻いているのはヘビかと思いました。アルビノのニシキヘビとかは斑点があるけど、あれくらいの色合いになるっぽいんですよね。ヘビだとしたら、七つの大罪の嫉妬を表す動物なので、上の読みではむしろレディ関係の暗示ということになります。
モウの出口に向かってシックスがゆっくりとホームストレートを歩むとき、目の前の提灯を模した明かりが壊れる演出が入ります。この視点や明かりの明滅は、モノがノッポ男と対峙するシーンと少し似ています。厳密に言うと、モノのシーンではこれほど派手に照明が壊れる描写はないんですけどね。
シックスはこの道で、脇から襲ってきたゲストたちから黒い瘴気のようなモヤを吸い上げていきます。吸われたゲストがそこで床に突っ伏しているところを見ると、精気のようなものを根こそぎ奪われて絶命しているようです。シックスはもはや逃げ惑うどころか、直接手を出すこともしなくてよくなっています。
ゲストから吸いとられる黒いモヤは、レディが魔法のようなものを使うときに出ていた瘴気に似ています。レディのまじないとゲストの精気がある程度、同質のものであると推測できると思います。シックスはレディを食べたことでゲストから直接このエネルギーを吸い上げられるようになったので、今までのように肉体にかじりつく必要はなくなったと考えられます。
モウはゲストなしでは生きられない。
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大きな広間に集められたゲストたちは、たわんだイスにどっしりとしずみ、ごちそうを食べる。
味わいもせず、食べて食べて食べ続け、止まることをしらない。
いずれ、そこからいなくなってしまうまで。
ゲストはモウに一度乗り込むと、もう帰ることができない存在のようです。胃袋を意味するモウのなかで、いずれそこからいなくなってしまうまで食べつづけます。エンディングの展開を見ると、ゲストこそがモウやシックスにとっての養分であったと考えられると思います。それこそ家畜のブタみたいな扱いですよね。
エンディングのスタッフロールのあとに表示されるモウの外観です。ゲストたちが乗り付けてきた船がいないときは、水上に顔を出す部分が少なくなるみたいで、大きな煙突を持つ小島のようにしか見えません。シックスはノームたちに見送られてここに出てきたようですが、この状態ではここからどこにも行けませんよね。出口の上には相変わらず一つ目が見えますし、けっきょくシックスもこの後モウのなかに戻って、レディと同じようにゲストを招き入れて自分のお腹を満たす行為を続けないといけないんじゃないかなという気がしました。
シックスとレディが同一視できる存在かどうかは、正直まだよくわかりません。エンディングの展開を見ると、レディが自分のために築いたモウをシックスが無茶苦茶にしていったという印象もあります。二人の性質の違いが、ライフステージの差からくるものなのか、生まれ持った性質の違いからくるものなのか、そもそも物語における立ち位置は違うのかといった点から注意深く見る必要があると思います。
DLC の Secrets of The Maw に続く
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