中部エリアの自由気ままなプレッパーズたちに、なんとかカイラル通信をつないでアメリカ都市連合(UCA)に加入してもらおうと荷物の配達に勤しむブリッジズ第二次遠征隊のサム。前回はエルダーのシェルターをカイラルネットワークに加えたので、今回はプレッパーズ最後の一人、クラフトマンのお宅に突撃しようと思います。

クラフトマンは非致死性兵器の製造者を自称する職人タイプの男性です。この人も仲良くしておくと、あとで便利な武器や道具をくれるので、うちのサムはどんどんすり寄っていきます。好き。

クラフトマン(シェルター23-21)へ銃の部品と対 BT 兵器を配送し、カイラル通信の接続を依頼する。クラフトマンは自衛を目的に、殺傷系の武器を非殺傷系に改造・製造している。

サム指名依頼 No. 21「クラフトマンへ銃の部品と対 BT 兵器セットを配送」の依頼の詳細より

実際に今回お届けする荷物も銃の部品と対 BT 兵器、つまりサムの血を使った血液グレネードとなっています。これを分け与える見返りに、カイラル通信の接続と UCA 加盟のプレッシャーをかけていきます。オラオラ、世の中タダより怖いもんはないんじゃー!

クラフトマンのシェルター

はい、ということでクラフトマンのシェルターに到着しました。このシェルターはプレッパーズのなかでは一番西に位置していて、一見すると一番遠い面倒くさい場所なんですが、ちょっと回り込めばミュールの活動地帯に入らずにたどり着くことができます。危ない座礁地帯もないので、距離はありますが、なにげに一番安全にたどり着けるシェルターかもしれません。

クラフトマンのシェルターの周りには、シェルター以外に複数の建物や設備が並んでいます。おおよそ一人で住んでいるシェルターとは思えない豪華さです。これってなんの設備なんでしょうね?

ここからはテロ攻撃で滅んでしまったミドル・ノットシティの廃墟が遠目に見えます。クラフトマンもかつてはあそこに住んでいたみたいですが、もともとからしっかりした財産を持っていた人なのかな?

入り口前で記念撮影を済ませたら、さっさと納品します。クラフトマンもなかで「はよ来いや」と思っていることでしょう。

クラフトマンもエルダーと同じように、こんな危ないなか荷物を配達するサムに感謝してくれますが、「ミドル・ノットシティを全滅させたのは(フラジャイル・エクスプレスの)リーダーのフラジャイルなんだろ?」と、フラジャイル・エクスプレス、ひいてはそのフラジャイル・エクスプレスと組んでいるブリッジズに対しても不信感をあらわにします。どうやらプレッパーズのなかでオープンな考えを持っているのはエンジニアだけだったようだということがここでやっとわかります。

ゲームのクラフトマンはフラジャイルのことを完全にテロリスト扱いしていて、「もう荷物を運ぶ資格はない」と厳しい物言いをしています。小説 DEATH STRANDING ではエルダーが尖っていた反動か、クラフトマンの言葉はちょっと丸くなっていて、「フラジャイル・エクスプレスはやりすぎたんだ。フラジャイルの能力を利用されたって噂もある」という切り口からフラジャイルたちへの不信感をサムに述べています。そして小説では最初のこの配達で、UCA への加盟はためらうものの、カイラル通信には素直につないでくれます。ゲームと小説では、エルダーとクラフトマンの動きが反対なんですね。

ゲームのクラフトマンは「アメリカ再建の動きが、分離過激派を刺激したらしいじゃないか」と、本当にそのとおりだからなんとも言い返せない主張でカイラル通信も UCA 加盟も突っぱねてきます。「あんたたちと繋がれば俺の脅威も増える」なんて、仰るとおりでございます。これを言われているサムも、本当にそのとおりだと思っているんじゃないでしょうか。似たような考えで第二次遠征隊になることを拒み続けていたわけですし、ここのプレッパーズを説得する流れは、サム自身の映し鏡と向き合っているような物語の構造なのかもしれませんね。

フリーのポーターにも道具を分け与えるクラフトマン

クラフトマンは殺傷能力のある武器を改造して、身を守るための非殺傷武器を作りだしている製造者です。今回ブリッジズから取り寄せた兵器も、加工してフリーランスのポーターたちに配ろうとしているようです。脅威に対抗するための武器を作り出している人間なんですが、あくまでこだわっているのが非致死性であることです。なので、武器商人のようなイメージとはちょっと異なります。小説では下記のとおり、おいおい武器自体をこの世界から排除するために、最低限の身を守る武器に作り変えているというような印象があります。

そもそも、こんな世界で、人を殺せる武器があるのが間違ってるんだ。
たしかにミュールやテロリストは危険だし、厄介だ。だからと言って、あいつらに対抗して殺傷系の武器を持つ必要はない。あいつらの動きを阻止できる程度の武器、いや道具があればいいんじゃないか? とにかく武器をこの世界からなくすことが必要なんだ。

小説『デス・ストランディング』

この北米大陸では、人が死ぬとネクローシスによって BT になり、通りがかった人を捕まえて大爆発を起こす事故が起こります。だから敵といってもうかつに殺すことができません。上のクラフトマンの考えは、この殺人が危険な爆発物を生む北米大陸だからこそ形成されたものです。しかし同時に、この考え自体は今の現実のアメリカ合衆国で関心が高まっている銃規制の取り組みと照らし合わせて考えることができるものだと思います。彼の考えはかなり理想的なものと言えるでしょう。

人は厳しい環境に置かれれば置かれるほど、自分の理想を諦めることを余儀なくされます。この『デス・ストランディング』の世界にも、自分の信念を曲げざるをえなかった登場人物が何人もいます。クラフトマンはその点、わりと自己実現ができている人だと思うんですよね。

寄る年波に勝てなかったエルダーとは違い、クラフトマンは見た目にまだまだ若く、働き盛りだと思います。この世界を生き抜く武器製造のスキルに長けていますし、シェルター周りの設備を見るに、生活環境にも恵まれているようです。社会的な勝ち組と言っていいと思います。武器をこの世界からなくすという高尚な考えを持っていて、そのための活動に継続して取り組めている点で、自分のことで精いっぱいという印象がなく、むしろフリーランスのポーターたちにも技術を分け与えるなど、率先して社会のためになるようなことをしようとしています。実際にクラフトマンのシェルターはフリーランスのポーターたちと高確率で遭遇するんですよね。運び屋に提供できる利益を持っていると、運び屋からひいきにしてもらえる可能性も高まるわけで、この世界ではずいぶん生きやすくなるはずです。なんとなく、後ろめたい部分がなく、社会に胸を張ってズンズン出ていける強者感があります。一見すると職人タイプなんですけど、現実だと政界進出しそうなタイプの性質も持ち合わせている人だと思います。だからこそ、ブリッジズを代表してやってきたサムに対して強気な態度に出られるんでしょうね。

そんなわけで、ゲームのクラフトマンは「カイラル通信を繋げというなら大ごとだ」と断って、サムにもうひとつ用事を依頼してきます。次回のサムはクラフトマンの信用を勝ち取るため、彼のシェルターからお使いにひとっ走り出かけることになります。しかしその前に、うちのサムはまた東部エリアに戻って指名なし依頼をこなす予定なので、今回は次のお使いの依頼を受けずに、いったんレイク・ノットシティまで引き上げることにしました。

まだ通信が繋がっていないシェルターで依頼はなかったか?

ダイハードマン

なにもせずにクラフトマンのシェルターをあとにすると、入り口でダイハードマンから無線が入り、そこの配送端末に新しい依頼が入っているぞと教えてくれます。このゲーム、本当に親切な設計ですよね。

せっかくなので、クラフトマンのシェルターのそばに湧いている温泉、「東北癒やしの湯」につかってから帰路につくことにしました。たぶん、このプレイ日記ではこれが初めての温泉ですね。この温泉は切り傷、打ち身、捻挫など、身体的ダメージの回復を促す効果があるようです。ミュールと追いかけっこをしたあとに適しています。

この時代に家の近くに温泉があるっていうのも、固定資産の価値が上がる好条件だと思うんですよね。配達人も、あそこは温泉があるから、配達ついでに寄っていこうって思ってくれるかもしれないじゃないですか。配達にこういう報酬があると、生命線の配達人を呼び込みやすくなるっていうか。クラフトマンのシェルターは、それでなくても山間の西部エリアと繋がる道に面していて、立地がよくなっています。地の利にしても、彼には強者感があります。

温泉にしばらくつかっていると、ポッドのなかでフワフワ浮いていた BB-28が、手足をバタつかせてポッドごと湯の表面をぐるっと移動する様子が確認できます。これ、地味に凄いことだと思うんですよね。ポッドのなかの人工羊水の運動エネルギーが、ガラスや金属で遮断されずに、ポッドを越えて温泉のお湯にも伝わっているってことですよね。やっぱり BB ポッドと人工羊水は、ただのガラスや水分じゃなくて、なんか特殊な素材でできている設定があるんだと思います。そしてポッドの周りの水分となにかしら影響を与え合う性質も持っているんじゃないでしょうか? そう考えると、BB-28が水に浸かるとストレスを感じる理由や、イルカやクジラと同じエコロケーションの原理でオドラデクのセンサーを動作させられる理由に察しがつきます。

ミドル・ノットシティ

クラフトマンのシェルターから北に少し移動すると、ミドル・ノットシティの廃墟に「K5」と表示された看板のようなものがまだ残っていることが確認できます。レイク・ノットシティが K4だったので、こことこの周辺のブリッジズの拠点が本来その次の K5を頭に冠した名前になっていたんでしょうけど、テロ攻撃のせいで今は実質、欠番のような扱いになってしまったようです。なんかちょっと切ないですね。

ミドル・ノットシティのクレーター

ミドル・ノットシティ跡地は、北に大きな爆発のクレーターがあって、もともとカナダと面していたはずの北端から海水が流れ込んで水没してしまっています。クラフトマンのシェルターからわずかに見えた南側の廃墟も、クレーターのような地形になっているので、同時期にもうひとつ別の爆発物の攻撃を受けて崩壊したと考えられます。こちらは水が溜まっておらず、なかに入って探索できるというか、このあとイヤでも探索することになるんですが、それでもテロ攻撃で大量に出た死者のせいで BT がウジャウジャいる座礁地帯になってしまっているので、お世辞にも人が住むに適した土地とは言えなくなっています。まあ、地獄みたいな場所ですね。

ということで、次回はその地獄に行きま~す!

指さし クラフトマンが味方になったよ! に続く
Twitch このあと配信した指名なし配達依頼はこちら
指さし 目次に戻る