今までスマートフォンは小さいほうが好きで、しばらく古い iPhone SE を使っていました。あらためて今調べると2016年に発売されていたみたいですね。私は古い端末として叩き売りが始まったころに乗り替えたので、2年ぐらいの使用歴でした。古い端末は安いキャリアでも手に入るので、ずっと Softbank 系列の Y!mobile で格安プランを契約していました。最近のスマートフォンって古くてもそれほど性能が劣るわけじゃないし、格安キャリアでも実質母体のサービス基盤があるので安定して使えていたし、ふてニャンも好きだったし、端末にもキャリアにもわりと満足していて、そのまま使い続けることになっても全然困らなかったんですが、いろいろあって au の新しい iPhone SE に乗り替えることにしました。

iPhone SE って、新しい端末の正式名称も iPhone SE なんですよね。新旧どうやって言い分けるのかわからなかったんですが、乗り替え手続きでオペレーターさんと話していたら、第二世代とか、iPhone SE2と便宜上、表現されていました。

じつは、au は Y!mobile と契約する前のキャリアで、今回の MNP で古巣に戻る形になりました。なんで昔 au から乗り替えたかって、ものすごくサービスに不満だったからです。もうここと契約することは二度とないと思っていました。結論から書くと、乗り替えた今も契約するんじゃなかったと思い始めています。

乗り替えようと思ったきっかけは単純明快で、KDDI の株式を相続で手に入れて、株主優待が利用できるようになったからです。このブログでのほほんとゲームのプレイ日記を更新しているあいだに、自分がいい歳になってきたのもあって、年長の親族がどんどんあの世に旅立っていて、自分なら投資しなそう、かつ手に余る財産がちょっと増えてきて頭を抱えていました。それに加え、親から引き継いでいたサービスの一部が KDDI と提携していて、セットで利用するとこちらも割引が適用されるとのことでした。そんなこんなで総合的に考えると、金銭面でメリットがありました。もっと言えば、さらに新しい端末が使える好奇心も満たされるので、おもしろ半分で出戻り MNP を決めました。

au はやっぱり好きになれない

もちろん人それぞれだと思うんですけど、私はなんか au のサービスが合わないようです。使っていると、イライラします。上にも書きましたが、早くも出戻り手続きを後悔し始めています。MNP の乗り替え直後はいろいろ案内を読んだり、設定画面で手続きをしたりするものですが、さっそく何回かイラッとすることがありました。Y!mobile のときに Softbank と共通のシステムを使ったことがあったんですが、とくに違和感を覚えることなく使えていたんですよね。それに引き替え、au のシステムってなんであんなに野暮ったいんでしょうね?

たとえば、なにか新しいサービスを使い始めるために設定をしようとします。サポート画面から案内されたとおりに設定画面に飛ぶと、まず最初に設定画面の説明が表示されるんですよ。で、肝心の設定画面へのリンクが説明のなかに埋もれて見つけにくくなっているか、下手すると別ルートで飛ばなきゃいけないとかで、そのページにすらないんですよ。「いやいや、そんな説明、そもそも設定画面の UI をわかりやすくしとけば不要なんちゃいますの?」という微妙な気持ちになります。

契約情報の確認や変更ができる専用アプリがあるとかでインストールしてみたんですけど、けっきょく細かい部分を参照しようとメニューをタップすると、ほとんどがウェブサイトに誘導される構造になっていて、しかも厄介なことに都度ログインが必要になります。本当に、参照したい情報の数だけログインが必要になるんじゃないかという頻度なので、逆にアプリという迂回ルートが罠のように見えてきます。「それ、アプリの意味ある?」というツッコミを禁じ得ません。そしてログインした先に求めていた情報がないことも多々あります。いまだに乗り替え時に提案された保険契約がどの画面で確認できるのかわかりません。自分の契約情報ですら情報迷宮です。たぶん「便利なアプリがあるよ」という売りを作るために本末転倒になったケースだと思うんですけど、このアプリを使って思い出した話、昔から、表層的な部分だけ整えた実のないサービスが au には多かったんですよね。しかも実がないから長く提供できないんです。

長く安定したサービスを提供できないという点は、株主優待の案内を見ても感じることです。「○○は○年○月○日より、○○に名称変更しました」系の案内が多いように感じています。本腰入れて提供するつもりなのか、いつもの客寄せうわべだけのサービスなのかわからないから、安心してサービスを利用し続けようという気になれません。こうやってうわべだけのサービスを乱発して統廃合しまくってるから、サービス案内のウェブページやログイン認証周りのコードがカオスなことになっているんじゃないのかという疑問さえ持ってしまいます。

そんな状態なのに、Y!mobile より素の料金は高いんですよ。そんなことあります? うちの場合は株主優待とセット割でギリギリ au に分がある程度なので、これだと出戻りの出戻りも検討するレベルです。親族がせっかく残してくれた財産だからと思ってたけど、MNP 直後の設定を終えたときには株も全部売りたくなっていました。そもそもなんで全部配当金に還元してくれんの?

ほかのキャリアも使ってみてよくわかった話、私は au を人に勧めようとは思いません。ほかのキャリアにはない無駄と混乱と困惑が、ここのサービスにはあります。

キャリアのせいで第一印象が最悪な iPhone SE

いきなり端末と関係ないキャリアの悪口から始めてしまったんですけど、それくらい印象が悪かったので、どうしても端末の使い心地にも偏見が入ってしまって、真っ当な感想が書けない気がするんですよね。

iPhone SE 比較

気になっていたサイズですが、新 iPhone SE は8と同じサイズらしいです。ケースなどの周辺アクセサリーも8のものがほとんど流用できます。旧 SE に比べると一回り大きくなっていますが、とくに手が大きくない私でもまだギリギリ片手で操作できるので、許容範囲だとは思います。撮影のために並べてみたら、早くも古い端末のこじんまり感が懐かしく感じられました。今後どんどん小さくてシンプルな端末は少なくなるのかなぁ。さびしいなぁ……。

性能面はずいぶん向上しているという話を聞きますが、私はそんなに実感できていません。逆に言えば、そもそもアップグレードの必要もなかったってことになるんですけどね。スマートフォンなんて、最低限の連絡ツールと暇つぶしのブラウザが使えればいいわけで、なんか処理の負荷が大きなゲームアプリで遊んだり、この端末で画面の美しさが求められる映像作品を観たりするわけでもないので、乗り換えによる差はとくに感じませんでした。

ディスプレイはキレイになっているとは思うんですが、感動があるほどかというと、そうでもない程度です。カメラも似たような感覚です。ここらへんは個人が自分のスマートフォンに求めるものや、期待の大きさによって感想にバラツキがありそうです。子供の育児日記を iPhone ひとつでつけ続けていたら、私ももうちょっとカメラの性能に注目していたかもしれません。

iPhone SE のメリット

新しい iPhone SE に乗り替えて、古い端末では使えなかった新しい機能を使えるようになりました。個人的に端末乗り換えのメリットはこれが大きいと感じています。

ワイヤレス充電

新しい iPhone SE では、Qi 規格のワイヤレス充電器が使えます。iPhone SE の電源コードは、イヤホンと共用の Lightning 端子の差込口を塞いでしまうので、ひとつはあったほうがいいかなと安いものをお試しで購入していました。使ってみた感じ、私がセールのおもちゃみたいなものを買ったからか、ワイヤレス充電だと端末がいつもより熱を持つように感じています。ちょっと怖いけど、今のところ害はありません。

ただ、このワイヤレス充電、けっこう近くに端末を置かないといけないので、なかなかシビアです。いちいちコードを挿すのが面倒という理由で使う価値があるようなものですが、実際は慎重に端末を置かないと充電してくれないので、ポンと置くだけで簡単充電ってほどの便利さはないと思います。枕元の布団の上に置いておくとかは論外ですね。じつは私の場合は用意しておいた手帳型のケース付きだと充電してくれなくて、いちいち外す手間が発生しています。よって、微妙な使い心地です。けっきょくイヤホンを使う必要がなければ、従来どおり有線で充電すればいいという形に落ち着いています。

ワイヤレス決済

前の端末にも Apple Pay はあったんですが、ハードウェア面で Felica には未対応だったため、端末単体では非接触決済ができませんでした。新しい iPhone SE はそのままかざすだけで決済ができます。この機能は新型コロナウイルスの問題が広がるなかで感染予防に使えるような気がして、好奇心からちょっと試したかった新機能のひとつでした。

緊急事態宣言が出た前後で、やたらとスーパーとかの近所のお店が混むようになったことがありまして、たぶん第二波がくれば同じ状態にまたなると思います。混み合った店ですぐに会計を済ませられるだけでもメリットは大きいと個人的に感じています。同じカードを触ったぐらいで感染のリスクがあるわけじゃないという話も読んだことがあるんですが、やっぱり危険は排除しといたほうが気持ち的にも楽ですよね。

この手の決済方法は、個人的には、あれば絶対に便利というものではないと過去の経験から感じています。お店によってかならず使えるわけじゃないし、使える電子マネーや決済方法にもバラツキがあって、万能ではありません。私はとくに Suica をメインに使う圏内に住んでいるわけでもないので、交通機関のカードも統一できません。だから普段のスーパーとか、行きつけの店で使えれば御の字かなという程度の期待です。

根本的な問題を挙げると、一番金銭感覚を狂わせない方法って、やっぱり現金管理だと思うんです。だからそこからあんまり電子決済に慣れたくない気持ちもあります。とは言え、これから第二波がくる可能性も高い状況で、そんなことを言って命がけの感染症にかかるリスクを放置する意味はないので、利用頻度が高いお店だけでも、便利なスマートフォン決済にできればなにか変わるかなと考えています。

iPhone SE のデメリット

いろいろと性能がアップして、新機能も追加されている新しい iPhone SE ですが、個人的にひとつだけ退化したなと思った点があります。それはイヤホンジャックがなくなって、Lightning 端子のイヤホンが必要になったことです。もちろん、変換用のアダプタも公式に売られているんですけど、この一手間が必要なところがまさに問題なんですよね。今までのヘッドフォンを使い続けるためにアダプタをあいだに噛ますか、おとなしく新しい iPhone SE 専用のヘッドフォンを買うか、決めなければいけなくなりました。

urBeats3

アダプタを挟むと音質に影響が出たりするのかとか、いろいろ考えているうちに面倒くさくなってきて、けっきょく私は最初から Lightning 端子になっている urBeats3のカナル型イヤホンを購入しました。なんでこれにしたのかって、公式 Apple ストアにあったから、ただそれだけです。

この手の形状のイヤホンは、正直、長時間使用すると耳のなかが痒くなるのであんまり好きじゃありません。いつもはだいたい耳が疲れないヘッドフォンを使っているんですけど、これから夏になるので、日光アレルギー持ちとしては帽子が手放せなくなります。なので帽子を被る季節専用の臨時イヤホンとして購入しました。

ジャマにならないものなら、Bluetooth のイヤホンもあるんですけど、音質云々以前に、充電の管理が面倒くさいのと、なんだかんだ故障のリスクが大きいと体感的に思うんですよね。なので、私は今でも昔ながらの有線派です。

ただ、実際にちょっと使ってみてから、この買い物は失敗したと思いました。

Apple 純正イヤホン EarPods

今回初めて Apple 純正イヤホンを使ってみたんですけど、めちゃめちゃ使いやすくないですか? 聴き比べるとわかりやすいんですけど、わざわざ買った上の urBeats3より音質がいいように感じます。なんていうか、ちゃんと音が広がっている感じです。あと、形状もシンプルなのに、耳が痛くならない、かといってすぐ落ちない絶妙な形をしていると思います。めっちゃ優秀やん。

そういえばリモートワークになったときに、かたくなに Apple 製品を使っていた Apple オタクが職場にいたんですけど、今回でその気持ちがちょっとわかるようになってきました。前の iPhone SE のイヤホンは普通にミニプラグなんですけど、一度も使ったことがなくて、化粧箱のなかで眠ったままにしてあったので、今回感動してわざわざ引っ張り出してきましたからね。

いや、たぶん、どうせ標準装備アクセサリーのおまけでしょって、期待せずに使ったからよかったと思うんですよ。でも、期待以上なのは確かですね。

しまった。けっきょく全体を通じて私が新しい iPhone SE 絡みで褒めているのは、以前から存在した Apple 純正イヤホンだけになってしまいました……。でもまあ、マイナス印象だった点のほとんどがキャリア由来で、ほかの点はすさまじく感動したわけじゃなくても、おおむね満足しているので、新しい iPhone SE への乗り換えは後悔するほど悪いものじゃなかったと思っています。悩むぐらいならさっさと乗り替えたほうがいいです。願わくば、また Apple が小型端末の後継モデルを作ってくれますように……。