K2西中継ステーション
本格的なプレイが始まるよ~!
前回、育ての親が残したブリッジズという真っ黒々な組織からついに依頼を受けて、第二次遠征隊として単身、お荷物を届けながら北米大陸を横断することになった運び屋のサム。これまでこのゲーム日記は、ゲームとは名ばかりのほぼムービー鑑賞日記と化していましたが、今回から具体的な配達のお仕事が始まっていきます。
下のプライベート・ルームで前回ダイハードマンに指示されたとおり、配送端末を起動させると、ダイハードマンのホログラムが表示されて、具体的な指示が下りてきます。サムはもうブラック企業の社畜になることを受け入れてしまったので、言われたことはなんでも黙ってやります、サー!
当面の目的はカイラル通信をポート・ノットシティ[K3]まで繋ぐことだ。だが一度に繋ぐには距離が遠すぎる。まずはいくつかの中継点となる結び目(KNOT)をカイラル通信でひとつずつ繋げていく必要がある。最初の「結び目(KNOT)」はブリッジズの中継ステーションだ。
ダイハードマン
Kから始まる配送拠点の記号は“KNOT”のイニシャルで、イゴール先輩の大爆発で吹き飛んだセントラル・ノットシティが[K1]、サムが今いるキャピタル・ノットシティが[K2]というふうに西から番号を割り振られているようです。次の結び目になる[K3]はポート・ノットシティですが、距離が遠すぎるので配達がてら、まずはお隣の中継ステーションを目指します。
今回目指す「K2西中継ステーション」は、前回の死体焼却所まで南下した道とは違って、キャピタル・ノットシティの出口から山のふもとに沿って、ひたすら直進した西側の川沿いにあります。この世界の北米大陸は真ん中のやや東側に、デス・ストランディングの爆発でできた大きなクレーター湖が鎮座しており、ポート・ノットシティはこのクレーター湖のほとりに造られています。このキャピタル・ノットシティからポート・ノットシティまでのクレーター湖東側のマップがある意味、初心者向けの肩慣らしステージになっています。
ところで、この東側の拠点をつないだ形、ちょっとカシオペア座っぽくないですか? いや、ただの M 字型なんですけどね。カシオペアってギリシア神話で、自分や娘のアンドロメダが神様よりキレイと言ってひんしゅくを買って、娘を生け贄に捧げなくちゃいけなくなった人なんですけど、クジラのような海獣のバケモノのケトスとか、岩礁に鎖で拘束される生け贄のアンドロメダとか、それを颯爽と助けに来る半神の英雄ペルセウスとか、すごく本作の物語と関連がありそうなキーワードがいっぱいあるんですよね。ただ、これ以西の拠点を結んだ線に、そられしい星座が見つかるかって言うと、私の乏しい星座の知識ではまったく見つけられなかったので、私の気のせいで終わる話でもあるんですけどね。
第二次遠征隊のサムには、Qpid を使って北米大陸をつなぎなおすという崇高な任務がありますが、終末世界で生き延びることに必死な貧民どもとブラック企業はそんなこと知ったこっちゃありません。「せっかくなんだから、1.5 kg の手土産ぐらい持ってきてよ」という感じで、サムご指名の配達を依頼されます。その依頼内容も「運営スタッフのために、ストレス抑制効果があるオキシトシンを摂取できるスマート・ドラッグを運ぶ。さらに、Qpid によってカイラル通信を接続する」と、カイラル通信の接続がなんだかついでみたいに添えられています。そのうちこの手土産もだんだんトラックが必要な量になったり、繊細な取り扱いをしないと一発アウトな爆弾になったりしていきます。鬼畜!
実際、この荷物運びをサムの任務に加えてしまったがために、サムが各拠点をなんども往復して西海岸への到達が遅れているので、とくに西へ行けば行くほど、ブリッジズの現地メンバーは上層部の判断に怒りを募らせていると思います。
配達依頼を受注すると、ブリッジズからの贈り物と言わんばかりに、ハシゴやロープ用パイルといったサムの配達道具が、配達荷物より重たくなるぐらいに支給されます。これは全部律儀に持ち運ぶ必要はなくて、今回の配達で必要なものだけ、とくに今は序盤も序盤の配達ルートなので、1個かせいぜい2個あれば十分なんですけど、せっかくなので今回はもう少し先の拠点まで持っていくことにしました。装備品は小さな S サイズのことが多いので、ジャマになりにくい手足に付けて、全体のバランスをとることが多いです。
配送センターから外に出たところで、丁寧なダイハードマンが装備品の使いかたを確認してくれます。「武器や防具は持っているだけじゃ意味がないぞ!」
ちなみに画面左端の下に表示されているマークが、操作ボタンの十字キーに対応しています。上のサングラスマークが帽子やアイウェアといった装備品の装着で、右の工具マークが、さっき配給されたハシゴやロープなどの道具の選択です。しかしここで確認しても、実際に使うとなると操作がおぼつかずにアタフタする話。
蛇足ですが、BT に対して絶大な厄除け効果を発揮するサムのオシッコも、装備品の選択画面で選んでから放出します。まあ、銃を構えるみたいに、ホースを取り出して狙いを定めないといけないですからね。「武器や防具やち○こは持っているだけじゃ意味がないぞ!」
ブリッジズの配送拠点やこの世界の住民のシェルターのまわりには、目に見えない障壁がぐるっと張り巡らされていて、外部からの脅威の侵入を防いでいます。サムは正式な第二次遠征隊として、また配達もこなす社畜として認定されているので、この障壁に近づくとシステムが自動的に認識して、通れるようにしてくれます。
キャピタル・ノットシティの門を出たところに、ニック・イーストンというここの担当スタッフが立てた看板があります。ダイハードマンが通信で、社畜も看板を立ててみろと指示してくるので、自分が建てたわけでもない簡易観測塔の前に「ご自由にお使いください」と勧める看板を立てておきました。しかしこの観測塔、普通にプレイしていればいたって普通に使えるはずなんですが、サムがこれ以前に義母の遺体を48時間以上放置するプレイをしていたせいで、もはや役目を果たせないぐらいすっかり風化してしまいました。
ニックさんの建造物にいつもの感覚で「いいね!」しようとして気付いたんですが、そう言えば私がのらりくらりとムービー鑑賞日記を書き連ねているあいだに、このゲームにもフォトモードが追加されてタッチパッドの左側に割り振られていたのでした。今まで左手で「いいね!」ボタンを連打していたので、よくわからないモードに切り替わって社畜が困惑しています。どうやら「いいね!」は右手で押すものだったらしいです。親指立てたマークも右手ですもんね。
キャピタル・ノットシティを出て、しばらく平原を歩いていると、ダイハードマンから無線がまた入ってきて、ほかの誰かが落とした荷物を見つけたら拾って届けてやれと指示してきます。英語版では「最高のポーターでも荷物を落とすことは知られているが、サム、お前は最高以上の存在だ。その素質でヤツらが始めたことを終わらせてやれ」といった感じの言葉で、最初から狂ったハードルを押しつけられます。
フィールドに転がっているみんなの落とし物には2種類あって、まずキャピタル・ノットシティの担当スタッフのニックさんみたいに、各プレイヤーの世界のキャラクターが落とした設定の青い荷物が大半になっています。これはゲーム内のローカルの話で完結する荷物のやりとりです。次がほかのプレイヤーが落とした緑色の荷物になります。こちらの荷物は、ほかのプレイヤーの世界との境界線をまたいでこちらの世界に流れ着いてくる、言わばオンラインのお届け物で、たぶんほかのプレイヤーが配達依頼を途中で断念したり、お届け荷物を道中で落として放置したものがインターネットを介してどこかの世界に迷い込むんだと思います。この緑色の荷物は、おそらくカイラル通信に接続しないと流れ着いてこないので、こんな序盤や、カイラル通信未接続エリアではあまり目にしません。緑色の荷物を代理で届けると、そのほかのプレイヤーとのつながりもできていきます。そう言えば、アメリが大統領執務室で説明のために出した北米大陸のホログラムも、サムの物語を表すかのようにプライベート・ルームに置かれているフィギュアも緑色なので、なにかプレイヤー間の境界をまたぐビーチのオンライン要素が絡んでいるのかもしれません。
続いて、ダイハードマンの説明から間を空けずに、「思っているより簡単よ!」とダイハードマンのブラック上司ぶりを援護するのは、配送オペレーションを担当するママーです。この世界に落ちている配送荷物には、基本的にどれも宛先や内容物といった情報を含む ID タグが付けられています。オドラデクを使うことで、フィールドで迷子になった配送物をサーチして、拾う前にどういう荷物なのかを知ることができます。
それにしても、久々にやるとオドラデクのセンサーって便利だなと思います。わざわざマップの隅っこまで調べに行かなくても、ある程度なにが転がっているかが先にわかるし、便利すぎてほかのゲームをしている最中でも、移動が面倒になってきたときに、センサーを発動させるボタンをついつい押してしまいます。
平原の真ん中にあるニックさんのポストも劣化しすぎて使えなくなっていました。育ての親をすぐに葬ってやらなかった罪は重いようです。
平原をさらに西に進むと、時雨が降り始めます。BT がひしめく座礁地帯が近い証拠です。配達中に時雨を浴びると、持っている荷物のケースがどんどん劣化して衝撃吸収の機能が低下し、万が一サムが転んだり、荷物を落としたりしたときに内容物が傷つきやすくなります。またケースに収納されていない装備や道具はダイレクトに耐久度が落ちていき、やがて壊れて使えなくなってしまいます。
上の動画を撮ったあと、気になったのであとで調べてみたら、ブーツハンガーにかかって雨ざらしになっている予備のブーツは劣化していませんでした。ハシゴやロープなどの道具が劣化することは覚えていたんですが、ブーツまでは自信がなかったんですよね。ここらへんはゲーム難易度調整の都合かな。
時雨が降ってからさらに西に進むと、また川を渡る必要が出てきます。目的地の K2西中継ステーションのそばを流れる川は、キャピタル・ノットシティ前に流れていた小川とは違って、深さもそこそこある幅広の川なんですが、その手前の河原が座礁地帯になっていて、しばらくすると BT を検知したオドラデクが作動し始めます。ここの BT はソーシャル・ディスタンスをわきまえているので、死体焼却所前に比べると、きちんとオドラデクの方向さえ見ていれば、簡単に通り抜けることができます。
座礁地帯を切り抜けると、ダイハードマンが無線でデス・ストランディングについて熱く語り始めます。英語版では「ゲイザーが現れたのも、アメリカの崩落も、すべてはデス・ストランディングのせいだ」みたいなことを言っているので、ゲイザー、ハンター、キャッチャーという BT の分類は、作中でもブリッジズが BT に付けた名前として、いちおう存在しているのかもしれません。
あと、英語版でダイハードマンは「分断された世界」に取り残された人類を「行き場をなくし、沈みゆく船をはいずり回って逃げ惑うネズミ」のように表現しています。なんかちょっと言い表しかたが軍曹っぽいし、海にちなんだ表現で世界観に合っていますね、サー! 長官はなんとしてもこの憎き BT を排除し、デス・ストランディングを乗り越えて、人類の明るい未来を勝ち取りたいらしいです。
ブラック上司の想いを右から左に受け流したところで、川を渡るのが面倒になった私のサムは、おもむろにハシゴを取り出して橋をかけてみようとしましたが、目測を誤って川底に沈めるだけに終わってしまいました。たんなる不法投棄の末の環境汚染です。いやあ、久々にやるとハシゴってどれくらいの長さか、感覚的にわからなくなりますよね。えへへ。
K2西中継ステーションは、キャピタル・ノットシティから一番近い配達拠点です。たぶんサムじゃなくても行こうと思えば行けるんじゃないかと思える距離です。およそ3年前にアメリ率いる第一次遠征隊が西に向けて出発して、最初に設けられた拠点で、小説『デス・ストランディング(上)』によると、サムが訪れたときには足下のコンクリートにあちこちひび割れが入っていたり、広場の中央に白く変色した大きな亀裂ができていたり、築3年程度とは思えないほど、老朽化が隠しきれなくなっていたようです。
また、小説ではこの手前の大きな川について、サムがデス・ストランディング以前にはなかったものじゃないかと考えています。実際の地図に置き換えるとペンシルベニア州のピッツバーグとか、オハイオ州のコロンバスとかあたりになるのかな? たしかに、ポトマック川レベルの大きな川は見当たりませんね。
小説ではこの世界の地形を目にしたサムが、「ここは、生まれたばかりの世界だ」と表現しています。
人間が誕生する以前の、人間に汚染される前の原始の世界。だから、ここは人間には優しくない。目に見えないバケモノと、時間を奪う雨が容赦なく襲ってくる。おまえたちの場所はここにはない。……ここが違う惑星だというのなら、おれたちはたぶん地球を追放されたんだ。
サム・ポーター・ブリッジズ, 小説『デス・ストランディング(上)』
本作の終末世界は、種の絶滅と人類文明の滅亡が間近に迫った世界ですが、おそらく自然環境的には、また生命が生まれる原始に戻っている状態で、終わりと始まりの転換期の狭間にある状態なんでしょう。サムの冒頭の爆発ポエムに絡んでいる宇宙で言うと、質量の大きな恒星が爆発する超新星は、星の命が終わるとともに、爆発の絶大なエネルギーでさまざまな物質が生み出されて宇宙空間にばらまかれ、新たな天体の誕生を促しています。この世界も似たようなステージにあって、アメリのビーチに浮く燃える天体はそれを示唆しているのかもしれません。
この K2西中継ステーションの担当スタッフはジョージ・バトンという男性です。小説では彼視点で、サムを待つ側に立つ人間の心情が描かれています。ここの施設は早いうちから運営が始まったとあって、けっこう長いあいだこの拠点を死守すべく踏ん張っていたようです。しかし第二次遠征隊が出発すると決まった矢先に、その隊員であるイゴール先輩がセントラル・ノットシティを巻き込んで爆発してしまったので、スタッフの士気がかなり落ちていました。対消滅の報告を受けた直後は多くのスタッフがベッドから起き上がれなくなり、スタッフ同士で殴り合いのケンカが発生するぐらい空気が荒んでいました。そこにオキシトシンを摂取できるスマート・ドラッグを抱えて、第二次遠征隊(一人)のサムが颯爽と登場するので、かなり大きな希望になったそうです。彼が「また仕事が続けられる」と言った言葉の重みがちょっと変わって見えてきます。さすがブラック企業の支部という感じがします。
オキシトシンは、とくに女性の妊娠および出産に大きく関わっている神経伝達物質で、分娩時の子宮収縮や、母乳を出すための乳腺まわりの筋収縮などを起こします。また、新生児に授乳することで母体での分泌が促進され、母子間の絆を強化する作用も持つと言われています。母子間だけにとどまらず、親しい人やペットとボディタッチすることでも分泌が促されるとされ、外部から追加して摂取すると、多幸感がもたらされるほか、個人の感情認識や共感力が向上し、コミュニケーション能力がアップする効果が期待できると見られています。諸説ありますが、近年の研究では、自閉症の症状軽減にも効果があったと一部で発表されています。本作では、「ストレス抑制効果があるスマート・ドラッグ」、小説では「精神安定剤」として登場しています。
オキシトシンは男性も分泌している物質ですが、母子間での作用を基礎としている点が、脳死母とつながったまま生と死の狭間で生きているブリッジ・ベイビーや、そのブリッジ・ベイビー第一号の母になろうとした絶滅体ブリジットおよびアメリの存在を連想させますし、分断されたこの北米大陸の限定的な人間関係のイメージにも合っています。ジョージ・バトンは小説で、配達人との接点がホログラムに限定されている点に触れ、外部からの脅威との接触を未然に防ぐセキュリティ上のルールとして、直接の面会は禁止されているとしながら、それはあくまで表向きの説明で、実際には限定的で閉じた人間関係に馴染んでしまったスタッフが、見知らぬ人間と接触する際の多大なストレスに配慮した対処だと明かしています。オキシトシンを含むスマート・ドラッグが本部から支給されているのも、そういうことなんでしょう。デス・ストランディング後の世界の人間関係は、自然に継続不可能なほどいびつになっており、外部からのなんらかの調整が継続的に必要になっているほどと解釈でき、ここでもサムが言う「人間には優しくない」若々しい世界の性質が時代遅れの人類に牙を剥いています。
配達物を無事に渡し終えたら、今度はおまけのように配達依頼に書き添えられていた Qpid によるカイラル通信の接続をします。Qpid について、過去に書いたことをもう一度まとめておきます。
Qpid の板は全部で6枚です。それぞれに数式が彫られていて、作動時のエフェクトでも同じ数式が表示されます。これらの数式は、いずれも物理方程式らしいです。1枚目が反応拡散方程式、2枚目がディラック方程式、3枚目がヒッグス場の方程式、4枚目がアインシュタインの場の方程式、5枚目が量子のもつれに関する方程式、6枚目がシュワルツシルト半径の方程式で、Qpid が実際に動作しているときに表示される方程式は、上記の方程式のあとにシュレーディンガー方程式やラグランジアン密度に関する方程式も出ているそうです。この段落の文章を書いているだけで私の脳みそが対消滅を起こしそうなので、だからなんだというところまでは考えられませんが、もしかしたら Qpid はこの世界の歪みの元凶であるあの世の入り口、ビーチを経由しておきながら、デス・ストランディングの一連の怪奇現象で失われてしまった人類になじみ深い旧世代の宇宙の物理法則を数式で再定義しようとしているんじゃないかと推測していました。
Qpid が正常に作動すると、表示された数式が超新星のように爆発を起こして光の粒子が飛び散ります。それを受けて、一時的に重力が失われたかのようにサムの体がふわふわと浮き始めます。この重力に反した動きは、宙に浮くクリプトビオシスや、カイラル物質製の建造物から立ち上る黒い粒子などと共通していて、ビーチとつながった表現と解釈できます。また、基本的に BT との遭遇時ぐらいしか起動しないオドラデクと BB-28がセットで動き出してなにかを感じているようです。ここらへんもビーチから流れてくるなにかを検知して戸惑っていると見ていいような気がします。小説ではサムも、生者の世界の現実的な感覚にもやがかかって、死者の世界に引っ張られるような感覚に陥っていて、BB-28と接続したときに似ていると述べています。
浮いたサムの足下からは白い帯がいくつも伸びていて、荷物から立ち上る一筋の煙のような帯や BT の天に伸びる黒い臍帯を連想します。この後フィールドに現れるようになるほかのプレイヤーの落とし物からも、似たような緑色の帯が天に向かって伸びています。これらのヒモ状のものは、人と人とのつながりを示すストランドとも解釈でき、あの世の入り口であるビーチとつながることでこれが出るということは、ビーチだってかならずしも悪いものではないというこのゲームの二面性が出ている気がします。
じゃあ、あんたはアメリに会えるってことか! えらいことだ。それは、えらいことだな。遠征隊でホログラムのアメリのメッセージを聞いただけだったからな。
ジョージ・バトン
ジョージ・バトンの言葉で伏線になるのは、アメリに関する話です。彼は最初に離脱したとは言え、第一次遠征隊として、アメリと一緒に行動していたメンバーの一人のはずですが、アメリとは直接会ったことがなく、彼女のホログラムからメッセージを受け取っていただけでした。のちのち西海岸の近くに行くと、第一次遠征隊の中心メンバーだったハートマンなどの専門家連中と話すこともできるんですが、彼らもアメリとは直接会ったことがなかったとわかります。こうして、本当にアメリは第一次遠征隊だったのかという疑問につながっていきますが、振り返るともうここでその疑問が少し垣間見えています。
さて、K2西中継ステーションをカイラル通信につないだことで、前回ダイハードマンが恐竜の化石に例えて言っていたとおり、昔にメールでやりとりされたらしき文書が一部閲覧できるようになりました。そのなかには、デス・ストランディングの専門家であるハートマンが、第一次遠征隊が出発した3年前にブリッジズ本部に宛てたエジプトの死生観に関する説明もあります。この魂(カー)と肉体(ハー)の考えかたは、本作の死生観の根底にあるので、もうちょっと詳しく取りあげたいんですが、この記事も毎度のことながらウダウダとどうでもいいことを書いていたら長くなってしまったので、次回にまわしたいと思います。
古代エジプトの死生観に続く
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