ひとしきり気になっていたことを書き殴ってスッキリしたので、サムの第二次遠征隊の旅に戻ります。小島監督の作品は、私がシューティング下手なのと、戦争モノっていうジャンルもあんまり好きではなかったので、これまで熱心にプレイしてきたわけではなくて、あくまでゲームの知識として知っているだけでした。逆に『スナッチャー』とかは私好みのホラー演出があったので、子供の頃に気に入ってプレイしていた記憶があるんですけどね。だから今作のプレイ日記を書き始めたときも、こんなに自分の中で引っかかる作品になるとは思ってなかったんですよね。なんか、本当にこんな言葉を選んでなにか書かなきゃいけないほど闇が深いとは思ってなくて、KOJIMA PRODUCTIONS では次回作の製作が始まっているようですが、次は私好みのホラーじゃないならもうプレイしなくていいかなと考えています。とりあえず、今作のプレイ日記を最後までやりきることに専念します。

特殊合金

今回のサム指名依頼を達成したことで、建設物に使える新しい素材として特殊合金が追加されました。特殊合金はこのあとセーフハウスを建てるために早速使います。私はなんとなく、金属とは別に特殊合金と呼ばれる素材が用意されているあたりに、ロボットものが好きな男の子の心理があるように感じました。ガルバリウム鋼板とか、名前だけ聞くとめっちゃ強そうですもんね。実際はロボットじゃなくて、普通に建物に使われているような建材ですが。

また拡大したカイラル通信

納品が終わったら、続けてウェザーストーンさんに促されるままカイラル通信をつなぎます。ここは西の山に近いので、思えば遠くへ来たもんだ感が増しますね。

カイラル通信接続中

今回カイラル通信をつないでいるシーンを眺めていて思ったんですが、ここのサムの目前に広がる光のエフェクトは、データの集合体という表現以外に、ブリッジ・ベイビーと絡めて考えると、胎児のエコー写真っぽくも見えませんかね? サムがカイラルネットワークを充実させるほど、絶滅体が新しい生命を育む準備が着々と整っていく……みたいな表現だったりして。それは人類の絶滅と引き換えに起こる進化なんだと思うんですけど……。

気象観測所がカイラルネットワークに加わったことで、Lv. 2の建設装置が作れるようになり、荷物を運ぶのに便利なフローター Lv.1も使えるようになりました。フローターは指名なし依頼消化配信のほうで、ずっと欲しい欲しいと言っていた便利な配達道具です。これでまた配達が楽になります。

アレックス・ウェザーストーン

大容量通信が可能になったことで、ホログラムの姿形が鮮明になったウェザーストーンさんが、「ここは DS 以前の気象観測所を改修した施設です」と教えてくれます。この人、役者じゃないのに、サムに話しかけている演技に違和感なくて上手いですよね。仕方がないんですけど、本来役者さんじゃないカメオ出演の方々はたまに、これめちゃくちゃグリーンスクリーンみたいな環境で撮影したんだろうなって丸わかりの動きしてるときあるじゃないですか。それがあんまり感じられません。

もともとから気象観測所だった施設と言われて、アメリカ国立気象局の設備を流用しているのかと考えて、Google マップで検索してみたんですが、いまいちそれっぽいものは特定できませんでした。位置的に一番近いのはコロラド州にある支局か、それか別の組織が運営する大気研究センターあたりかなと思うんですが、建物の外観を見る限り、気象観測所みたいな大きな設備が併設されている感じがないんですよね。まあ、あの大がかりな機材は後ほど導入されたみたいな解釈もできるし、もしくは昔に機材を格納していた建物の方が逆に時雨で朽ちてしまったとかもありそうですね。

ここの設備はとうの昔に分厚いカイラル雲に阻まれて、気象衛星とも通信できなくなっているそうです。なので気象予報も時雨の予報も、カイラル濃度の測定さえもサムが来るまでできなかったらしいです。それが今回カイラル通信につないだことで各地の時雨を予測することができるようになりました。この世界の時雨は生死にも関わってくる脅威なので、ブリッジズがカイラルネットワークを通じてみんなとこの予報もシェアするなら、予測できるようになったこと自体がこの世界全体にとって大きな朗報でしょう。逆に言えばブリッジズとしては武器となるかなり強い情報を手に入れたと考えられそうです。現実のアメリカ合衆国の組織がこんな技術を開発したら、迷わず特許とか諸々の営利目的の手続きを始めそうですけどね。

時雨の予測に関するママーの説明

ウェザーストーンさんがしゃべり終わると、ママーが出てきて時雨の予測ができる理屈を説明してくれます。

サム、気象観測所が機能するように復活させてくれたのね。ありがとう。カイラル通信はビーチを使う。だからカイラル通信で繋がったエリアは理論上、ビーチと近くなる。それはカイラル濃度にも影響するの。その変化を観測するのも Qpid の機能のひとつ。カイラル濃度の変化は、時雨(タイム・フォール)の発生にも関連しているから気象予測ができるの。カイラル通信は通信だけのシステムじゃない。

ママー

その後「あなたの手錠端末でも天気予報が見られるようにしておいた」と教えてくれます。また、彼女はこれからこのデータを利用して北米大陸のカイラル濃度をモニターするそうです。その彼女が拠点にしている研究施設が、これから行くサウス・ノットシティの近くにあるということも教えてくれました。彼女とじかに会える日も近づいてまいりました。

念押しの説明をするダイハードマン

続けてダイハードマンも出てきて、手錠端末で実際に天気予報の機能を使ってみろと念押ししてくれます。あとで手錠端末のメニューを開くと、ダイハードマンの声でまた追加の説明が入ります。このゲーム、相変わらず説明が丁寧だな。

手錠端末の天気予報

手錠端末の地図で『天気予報』が見られるようになった。配送ルートの参考にするんだ。

ダイハードマン

ザッといじってみた感じ、予報は30分後までで、青が時雨が降っている地帯、矢印が風の向きを表しているそうです。配信でも言っていたんですが、私はあんまり使いこなす習慣が身に付かなかった機能ですね……。だからこの30分が、現実のプレイ時間を指しているのかさえもよくわかっていません。

建設装置 Lv. 2

気象観測所をカイラル通信につないだことで、サム指名依頼が一つ片付いたので、次の依頼を受けようと配送端末を立ち上げたら、[武器装備の作成] 画面で、今度はママーによる建設装置の説明が始まりました。建設装置が Lv.2 にグレードアップしたことで、時雨シェルターとセーフハウスが新たに作れるようになっています。時雨シェルターは Lv. 1の装置で建設可能で、大型のセーフハウスは Lv. 2の建設装置が必要です。

建設装置に時雨シェルターを追加したわ。時雨(タイム・フォール)の影響を受けずに、休憩をとることができるわよ。

ママー
時雨シェルター

このあと建てるセーフハウスと一緒に今回建設できるようになった時雨シェルターは、大きなキノコみたいなシルエットで、時雨を遮る雨宿り場所になります。そのときサムが抱えている荷物ケースに自動でリペア・スプレーが振りかけられてケースの保護機能が回復しますし、温度調節機能もあるので、凍えたサムが暖をとることもできます。ちょっとした体勢を立て直す休憩所ですね。今はまだサムの体温を考慮しないといけないゲーム要素はないんですが、のちのち西の雪山に突入すると、サムの身体の動きや体力、ひいては生死にも直結してきます。

建設装置さえ持っていけば、わりと簡単にパパッとその場で建てられるのが Lv. 1の建設物で、セーフハウスのような Lv. 2の建設物は、建設装置を使って場所を決めたあと、素材をせっせと運んで完成させなくてはいけません。ちょっと前に作った橋は Lv. 1だったけど、似たような感じでしたね。素材の運搬が必要な建設物はちょっと面倒くさくて、1周目のときに雪山でセーフハウスを建てたことがあるんですけど、もう二度とやらないと思いましたね。

セーフハウス

サム、新しい建設装置ではセーフハウスが建てられるわ。大型の建造物だから、建設には時間がかかるし、たくさんの素材が必要だけど、完成すればプライベート・ルームと同等の機能を使えるようになるわ。試してみて。

ママー
フローター

あとは私がつながりよりもこの北米大陸に期待していたフローターです。

フローターは牽引式の荷物運搬用カートよ。カイラル結晶で浮力を得ているから、多少の凹凸があってもスムーズに移動できる。荷物を載せて引っ張れば、最小限の力で運ぶことができるはず。それから、2台を連結させて同時に牽引することもできる。ただし、フローターを使っている間は、カイラル結晶を消費してしまうの。カイラル結晶の残量には注意してね。

ママー

簡単に言うと、カイラリウムの力で宙に浮く台車みたいなもんだと思います。この台車に乗せておいた荷物はサムが転けても、ある程度距離が離れたときにつないだヒモが切れるだけで、一緒に転がり落ちて損傷したりもしないし、水の上でも浮くので、なんだかんだトライクやトラックみたいな乗り物よりも重宝した記憶があります。カイラル結晶の消費量も微々たるものですしね。てっきりクラフトマンあたりがくれると思っていたんですが、ウェザーストーンさんでしたね。ウェザーストーンさん、いいね!👍💕

サム指名依頼 No. 29「『セーフハウス』を建設せよ」

さて、新しい配送拠点になる時雨農場まで行く次のサム指名依頼が出てきているんですが、その前に近場で簡単にできるサム指名依頼 No. 29の「『セーフハウス』を建設せよ」を先にやろうと思います。上で説明したセーフハウスを指定の場所まで行って、建設装置 Lv. 2で建てるだけです。素材も初回の今回はブリッジズから支給されるので、自分で集める必要がありません。

指定された建設予定地にセーフハウスを建設する。最終的な完成段階になればプライベート・ルームと同等の機能が使えるようになる。

セーフハウスのレベルアップに必要な素材:
・カイラル結晶 300g
・特殊合金 2400

サム指名依頼 No. 29「『セーフハウス』を建設せよ」の依頼の詳細より

特殊合金を積んだフローターを腰につないで歩き出すと、またダイハードマンが、「指定したセーフハウス建設予定地へ向かってくれ。場所は地図とコンパスを使って確認できる。建設予定地が近づいたら、私が指示する」と丁寧に教えてくれます。だんだんオカンみたいになってきたな。日本語音声だと雷電の気持ちにちょっとなれたりするのかな。

セーフハウス(土台)

気象観測所から少し坂を下りて、はるか川の向こう岸にサウス・ノットシティの廃墟がうっすら見える指定場所まで来ました。ダイハードマンとママーに言われるがまま、セーフハウスの操作端末を建設して、フローターに載せて持ってきた素材を投入します。

セーフハウスの土台

ママーが説明していたとおり、素材を投入する前の操作端末ができるだけでも時間がそこそこかかるので、待っている最中に空気を読まない男、サムが英語音声で「おい、コイツをもうちょっと速く動作するようにできないのか」というようなことをつぶやいていました。サム、なかなか短気ね!

セーフハウス作成用素材の納入

あとは出来上がった端末から素材を納入するだけで完成します。ここらへんの操作は橋とか国道の復旧装置とかと一緒ですね。

サム、よくやった。建設したセーフハウスは皆で共有する施設となる。君の後に続く『誰か(someone)』配達人たちにとって重要な中継拠点となるだろう。これで気象観測所へ他の配達人が物を届けるときに、今までよりも楽になるはずだ。よかったら君も休んで使い心地を試してみてくれ。

ダイハードマン

サムの名前の由来はいろいろ考えられますが、一つ作中でも示唆されているのが、ここでダイハードマンが口にする“someone(誰か)”の前半部分から音をとったサムだと思います。サムはこの物語の主人公であり、北米大陸をつなぎ直す唯一無二のヒーローでもあるけれど、数多くのプレイヤーが同じサムを操作して同じ北米大陸をつなぎ直す物語をそれぞれプレイしていることで、メタ的には同じようでちょっと異なる複数のサムが、同じようでちょっと異なる北米大陸を、それぞれのペースでそれぞれが思うようにつなぎ直していると考えられます。私のサムもまた、違うプレーヤーから見れば誰かのサムということで、似ているようでちょっと違う数多のサムの中の一人に過ぎません。でも誰かわからないような相手でも、この世界のつながりは大事なんですよね。このよくある名前によるアプローチは、ジョンとかジャックとか、ある意味 METAL GEAR シリーズからの伝統芸でもあるような気がします。名前は古代エジプトの死生観でも霊魂の一部とされているほど大切ですからね。

ダイハードマンはここで私が建てたセーフハウスがみんなの重要な中継拠点になると言っていますが、たぶんここは建てないプレイヤーの方が少ないので、あまりほかのプレイヤーの世界と共有されていないような気がするんですよね。まあ、ローカルな話でも、NPC のポーターたちが使ったりする可能性があるから、変な言い方じゃないんですが、ここのセーフハウスであんまりいいね 👍 をもらったことがないなとちょっと思いました。雪山に必死こいて建てたセーフハウスは、今でもたまにいいね 👍 をもらえたりするので、おそらく私が建てた建設物で唯一と言っていいほどめずらしい誰かの役に立つものになっています。私はもっぱら、みんなの建設物にお世話になる側です。ありがとう、Mr. サムワン!

セーフハウスはプライベート・ルームのように休憩できるメリットがあるんですが、もう一つの強みは任意の場所にフラジャイルジャンプで飛ばしてもらえるポイントを作れることだと思います。ジャンプでは荷物を一緒に持っていくことはできないんですが、例えば気象観測所でやり逃した依頼があるとかだったら、いちいち往路を歩いて行く必要がなかったりするので、プライベート・ルームがない配送拠点のそばにファスト・トラベルできる地点を増やすっていう使い方をしている人をよく見かけますね。雪山あたりは本当にあればあるほど重宝するし、あとは国道復旧装置のそばに造られているのもよく見ます。

セーフハウスの内部はプライベート・ルームとほぼ同じです。いつものようにサムの身支度を済ませて、届いたメールに目を通していきます。まずはクラフトマンのお便りから。

クラフトマンのメール

クラフトマンは人から伝え聞いた話として、その昔、デス・ストランディング現象が起こる前に3D プリンターで核爆弾が作られていたと語り出します。そうやって気軽に核兵器までもが一般市民の手に届くものになってしまったので、身を守るための武器も普及して、市民レベルの相互抑止状態が生まれたそうです。そんな状態だったので、いざデス・ストランディングみたいな超常現象が起こっても、それが本当に異常な現象なのか、切れるべくして切れた火ぶただったのか、誰もとっさに正常な判断ができなかったと言います。その時代を知っているプレッパーズのご老人は、人とのつながりを持つからそんな状態になったと考えたらしく、亡くなるまでシェルターで孤立していたそうです。一方のクラフトマンは、そういう人の気持ちもわからなくはないと理解を示しつつ、「俺は UCA の可能性に賭けてみたいんだ」とブリッジズの最新テクノロジーであるカイラル通信に大きな期待を寄せています。

このメール、正直読み終わったときはなんかモヤッとしてしまいました。武器が市民の手にも普及して相互抑止状態になるっていうのは、実際にアメリカ合衆国でたびたび銃規制の話題が出ている社会問題にも関連づけて考えられているんだと思います。核兵器の製造までは聞いたことないんですけど、3D プリンター製の軍用グレネードランチャーや、発電用途の核融合炉は開発が進んでいるようなので、実現不可能というわけではないと思います。

でも正直、今でもアメリカ合衆国では、いくら自由の国だからと言っても、ちょっと銃をめぐる問題は度が過ぎているという自制心がきちんと働いて、国内から銃規制の動きが出てきているくらいなので、社会集団的な自制心は機能していると思うんですよね。このままお手軽核兵器までもが市場にあふれるほど治安が悪化するかっていうと、また違う抑止力が働くんじゃないかなっていう気が私はしてます。歴史とか振り返っても、だいたい誰かがやんちゃすると、それをよしとせず、正義のヒーローぶったり、意識高い系の賢いヤツみたいな役回りをしたくなったりするヤツも反発で出てくるの、あるあるな自浄作用の流れじゃないですか。あれだけギャーギャー言ってたけど、今のところまだ核の報復による第三次世界大戦は起きてませんし、3D プリンターによる武器の製造は早々から問題視されて警戒されていますしね。

私がよくわからないなと感じたのは、武器が生まれることを恐れて、孤立を選んだプレッパーズの感覚です。デス・ストランディング現象はコロナ禍に例えて考えられると思うんですけど、人恋しい人は危険なウイルスがあっても人とのつながりを消せないし、実際に会えなくても何か違う形のつながりを見つけると思うんですよね。人が恋しいっていうのは、本能的な社会欲求からくるものなので、根本的になくすのは難しいと私は考えています。それこそご近所で感染事例や発砲事件があったとしても、人はその近所に会いたい人がいたら、なんとかしてつながり続ける方法を探すんですよね。人が自主的に孤立を選ぶときっていうのは、私の頭に思い浮かぶもので言うと、もともと人嫌いか、親しい人がいなくても苦にならないタイプの人か、老化や精神的な病で人付き合いのコストが報酬に見合わなくなった人あたりだと思います。これって、結局自分の都合次第なんですよね。

この世界の住人がシェルターに引きこもって人との距離を保ちながら暮らしているっていう設定は、引きこもりの社会問題とも結びつけられると思うんですが、引きこもりが長期にわたって深刻化するのは、家の外に危険なウイルスがあるとか、銃を持った危険人物がいるかもしれないとか、そういう具体的な脅威の話じゃないと私は考えています。外部からの脅威が原因なら、アメリカ合衆国の治安の悪いエリアは引きこもりばっかりになるし、犯罪率が比較的低い日本で引きこもりが大きな問題になっていることに説明がつきません。もちろんそういう問題は、引きこもるきっかけになる可能性はあるかもしれませんが、長期的な引きこもりの心理はもっと、自分は本来こうしたい、それこそ危険人物が跋扈する地域でも気丈に生きられる強い人間になりたいとか、落ち度のない自分になりたいみたいな理想のビジョンがあって、それを実現できない恐怖心とかと向き合えずに身の守りに入ってしまう状態に近いと思うんですよね。結構、自分との戦いだと思います。というか、人って基本は自分の利害が絡んでこないとやる気がでない生き物だと思います。人のためにみたいな、高尚な動機を声高に叫んでいる人でも、じつは何か別の下心を隠し持っているなんてこともあるあるですしね。ボランティアとかで、よかれと思ってやっていても、実際は自分の心の問題を勝手に相手に投影して、回りめぐって自分のためにやっているなんてオチもよくあります。

人の輪がつながることで、そこからまた武器が生まれて治安が悪くなるって考えて、自分の社会的欲求を自制できるのって、ちょっと社会全体を俯瞰で見すぎている気がするんですよね。社会の利益のために自分の欲求を抑え込めるあたり、行動の原理が人間離れしすぎているように感じます。俗世から離れた修行僧レベルです。今どきの意識高い系セレブリティは、海のゴミで海洋生物が絶滅に瀕しているので、プラスチック問題をなんとかしなければと考えて夜も眠れなくなるらしいのですが、それを超えるレベルに達していると思います。実際に傷ついたウミガメを見ると良心が痛むのはわかりますが、人と人とのつながりが武器を生むから、各人が孤立していれば問題ないっていう考えは、私には理解できませんでした。孤立していても、そこに何か物資をめぐる競争が生じれば遅かれ早かれは争いは起こるし、争いを起こしたい猟奇的な人間は頼まなくても向こうからやってくるし、いざそういう状況になると、もともと孤立していて理解がない者同士の方が残酷な戦いになりそうな気がします。そんな苦労した者負けみたいな我慢比べを自らやる人なんているのかな?

最後に、実際にデス・ストランディングで失敗した先例があるにもかかわらず、たいした根拠もなくカイラル通信の可能性を信じようとするクラフトマンの自信がどこから湧いてくるのかもよく理解できません。なんかヤケクソになってない……?

サザーランドさんのメール

次は「あんたとはわかり合える」と、タイトルからしてなんかやたらと好感度が爆上がりに見えるトーマス・サザーランドさんのメールです。ちなみにこのかたのモデルも映画監督のエドガー・ライトさんですね。

サザーランドさんの好感度が上がっているのは、サムが地道に自分の足で荷物を運んでいるからのようです。これも前のページで述べたように、サムが仕事を続けるだけで、勝手にカイラル・アーティストとジャンク屋が仲直りするのと一緒で、ただ自分の仕事をしているだけで、周りのみんながおのずと好いてくれる都合がいいパターンにも見えてくるんですよね。都合が良すぎて人間ドラマが薄くなるというか……。

これまでうちのプレイ日記で、サムのもとに届く各人のメールを取りあげてきたんですけど、ちょっと最近考えたことがありまして、これって METAL GEAR SOLID シリーズで言うところの無線連絡にあたる要素ですかね? ゲーム中はそばにいないけれど、顔写真と名前が画面に表示されて、その人があたかもそこにいるように意見を交換したり、世界観や設定、操作方法の説明を補足したりして、キャラクター同士の掛け合いで独自の世界観を構築しようとしているのかなって思ったんですよね。 だとしたら、前のページの論調をいまだに引きずっちゃってて申し訳ないんですけど、ぶっちゃけ、これも劣化コンテンツだなと思ったんですよね。

METAL GEAR SOLID シリーズの無線集は、いろいろ細かいネタが仕込まれていて、今でも動画サイトにファンがまとめた動画がアップロードされている人気コンテンツです。緊迫した戦いの中でも、キャラクター同士の掛け合いがユーモラスで、かつそれぞれの個性が光っていて、あとからそれだけ見返してもプレイしていたときのことを思い出して、面白いと感じられるコンテンツになっています。無線で交されたセリフがファンの間で定番のネタとなり、他作品で引用されたこともありますよね。

同シリーズ作品は、敵対するキャラクターも個性豊かで、相手も人間なんだなと感じることで、安易に命を奪うことに心理的抵抗を感じた人も少なくなかったと思います。ここらへんは反戦を意識した設計でもあると私は勝手に考えていました。そう言えば今作、作中のキャラクター同士の会話やこのメールも、ルーデンスの遊びの精神はどこ行ったって疑問に感じるぐらい、全然面白さがないんですよね。淡々と世界観の補足情報をサムに訴え続けている感じで、客寄せ要素のお笑いやエロを排除したストイックな意識高い系の映画作品に近い印象があります。うちのプレイ日記で各人のメールをまとめているときも、あんまりほかのプレイヤーが積極的に掘り下げようとしそうにないコンテンツだから、あえて2周目プレイでは重箱の隅を突きにいこうと考えてやっていました。それでフッと思い浮かぶ仮説でもあれば儲けもんだという感じだったんですよね。ゲームの世界観を考察したいプレイヤーならともかく、積極的に読み返したくなる魅力的なコンテンツかって言われると正直、肯定しがたいところがあります。

お笑いコンテンツって、結構一般常識とか、社会的な感覚が周りと一緒でないと笑いが理解できないし、作れないってことが多いと思うんです。明石家さんまさんがお笑いについて確か、みんながこう来るだろうと予測している当たり前の常識をちょっとだけ崩すと笑いが生まれるみたいなコツを語っていたことがありました。そうなるともともと鬼才か、一般常識をきちんとわきまえた上で壊せる人じゃないと、うまいこと笑いを生めないとも考えられるんですよね。無線のやりとりは、そこらへんを考えても脚本を用意したかたはまだ上手かったなと思います。

昔はこの無線のやり取りの雰囲気とかも、一語一句考えていないにしても、小島監督の指示でああいうコンテンツになっていたのかなと考えていたことがありました。私も関西育ちなのでステレオタイプなのはわかっているんですが、監督って人前に出るときは関西弁でわりと気さくにしゃべるし、その場の会話の流れも自分でつかみたいエンターテイナータイプみたいに見えたのでそう考えたんですが、実際は違うのかもしれませんね。無線の脚本を書いた人は、KOJIMA PRODUCTIONS についてこず、KONAMI に残ったスタッフさんだったのかな?

前にメールを取りあげたとき、オジサンだらけみたいな表現を使ったことがあるんですが、ぶっちゃけこのサムのもとに届くメール、私は全般的にオジサン臭いと感じていました。実際に差出人の多くがオジサンだからとかじゃなくて、前にも書いた絵文字の使い方とかの文面のクセ、いわゆるおじさん構文とかもそうですし、そもそも作中にこのメールが存在する意味みたいなものを掘り下げていくと、オジサンっぽい動機が見えるような気がしてくるんですよね。METAL GEAR SOLID の無線は、やり取りの中でキャラクターの個性がうまく出ていたと思うんですけど、このメールって、差出人の描き分けみたいなのがあんまり印象に残らないんですよね。ハートマンは量子力学とか、小難しい学問の知識をくれるし、ママーはエンジニアリングの知識を教えてくれるみたいな差はあるけど、全体的にみんなサムに対して知識を分け与えるっていう、ちょっと上から目線で機能しているんですよね。メールを受け取ったところで、サムが何か返事を書けるわけでもないので、登場人物の交流を描いているわけでもないですしね。その点、無線と違って作品の人間ドラマに厚みを出す役割はまったくと言っていいほど担っていません。

この頼んでもいないのに唐突に一方的な説明が始まって、こちらのことはお構いなしに終わる感じは、オレ様語りを急に始める中年男性あるあるな承認欲求モロ出しの言動と似ています。これがオジサン臭の根源じゃないかなというのが、私の分析です。与えた知識に対するリアクションを確認しようとする姿勢すら描かれないというか、コミュニケーション能力がほとんど見られず、都合よくシステムから排除されています。人とのつながりは怖いけど、自分の欲求は満たしたいし、ついでに人から一方的にすごいと思われたいっていう都合のいい感覚が、ここでも炸裂している気がします。そして、そういう背景も込みで考えていくと、これはこうこう、こういうことを意識してこのゲームの世界観を構築しているんだという説明が、理解してほしいという作り手の歩み寄りの感覚ではなく、わざわざ手前みそでオーディエンスを用意するほどに、お前が理解できないことを教えてやってるんだぞ、だからこんなことを考えるオレはすごいんだという押しつけがましい自己満足感が増しているように感じられてしまいます。まあ、ここらへんはあくまでも個人の印象なので、私の気にしすぎもあるかなと思います。

メールを読み終わったところで、配信中も言っていたんですが、背景の北米大陸の地図がときおり歪んでいることに気付きました。不定期に電子表示にノイズが走って乱れています。前はここまで酷くなかったと思ったので、念のため指名なし依頼の消化旅の配信画面をしばらく観察してみたんですが、やっぱり乱れる頻度が上がっているように感じます。これはここが簡易的に建てられたセーフハウスだからか、それとも地理的に西海岸から侵食しているタールの海に近づいているからか、どっちなんでしょうか。ま、そのうち西部エリアにも行くからイヤでもわかりますね。

カイラル雲と時雨

引き続き、カイラルネットワークの拡大で読めるようになった過去の文書に目を通していきます。相変わらず小難しい知識を与えてくれるハートマンが、2年前に自身の研究施設で書いたメールです。このゲームのテキストは一方的すぎてコミュニケーションの要素が希薄だと上で指摘したんですが、こういう文書も、誰を相手に書いたのかっていうナゾが残りますよね。実際にゲームの後半でハートマンの研究所に行くとわかるんですが、あの研究施設、ハートマン以外に人の姿が見えないんですよね。それだけでなく、このゲーム全体的に、個人が個人として描かれすぎていて、集団の中でうまいことほかの人と連携して動いてる姿があんまり描かれない傾向にあります。これまでもちょくちょく、こういう壮大な独り言にしか見えない文書があったので、これを機にここでまとめてツッコミを入れておきます。なんと言うか、うまく表現できている気がしないけれど、発達障害の傾向がある人とか、好きなもののために社会性を犠牲にしたオタクの類の人たちが、人から尋ねられてもいないのに、急に「よし、じゃあキミに教えてあげよう!」みたいに自分の好きなものの知識を一方的に独り言のようにしゃべり続ける、ああいう場面に遭遇した気分になってしまうんですよね。言葉のキャッチボールっていうか、一方的に好きにボールを投げつけられるナゾのゲームになりがちなアレ。こういうお一人上手感も、前のページで書いた小島監督の感性が心配になる理由の一つでもあります。

ハートマンの文書は、物語の世界観の掘り下げに関連していそうなので、いつものように文字起こしをしておこうと思います。

カイラル雲はなぜ発生するのか、時雨はなぜ降るのか。そして、なぜ時雨が降ると BT が出現するのか。
この質問に答えるのは、さすがの私でも無理だ。ちょっと長くなるが、仮説を話してみよう。
実は、DS以前にも、反物質は自然界に存在していた。
そんなレポートが発見されたんだ。それは「反物質の雲の存在」についての研究だった。それによると、雷が発生させる高エネルギーのガンマ線によって、雲の内部に陽電子、つまり反物質が発生することが観測されたという。発生のメカニズムは完全には解明されなかったようだが、この事実は私たちにある示唆を与えてくれた。
カイラル雲の中には、カイラル粒子が存在している。そこにガンマ線が作用するとどうなるのか?
ガンマ線によって励起状態になったカイラル粒子が、空間の微細な歪みを拡大し、ビーチとの結節点、いわゆる「結び目」をほどく。
さらに、高エネルギー状態のカイラル粒子は、時雨に混ざって地上にも降り注ぐ。その結果、カイラル雲と時雨の影響下にある一帯は、ビーチとの結びつきが強い空間となってしまうんじゃないか?
時雨が降る場所に BT が出現する理由は、これで説明できるかもしれない。
自然界にはほとんど存在しないとされていた反物質が、雷のようなありゆれた現象によって発生していたならば、BT やビーチ、死者の世界も、以前から存在していた可能性だって否定できない。飛躍しすぎた発想だろうか? だが、この世界が変わってしまったことは否定できない。
デス・ストランディングは、そのことを私たちに気づかせるための、雷鳴のようなものなんだ。私はそう思う。

ハートマン

配信でこれを読んでいる最中に調べたんですが、「励起状態」とは、手元の辞書によると「量子力学で、原子や分子が外からエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い安定した状態からエネルギーの高い状態へと移ること」を意味しているそうです。通常は低エネルギーの安定した状態に戻るため、光などのエネルギーを放出しようとするとかなんとか。この状態だと、ほかの原子や分子と結合したり、自身の構造を変えたりする可能性が通常より高いって解釈で間違ってないと思います。英語ではそのまま興奮状態を意味する“excited state”と言うらしいです。

雷が反物質の雲を作るのは、雷のエネルギーによって大気中の窒素が原子核反応を起こして、中性子と不安定な窒素の放射性同位体を生成するところから始まるらしいです。中性子はそのまま地表の原子核に吸収されるなどして、窒素の放射性同位体は陽電子を放出するベータプラス崩壊を起こして、炭素の安定同位体になります。このベータプラス崩壊で放出された陽電子は、さらに大気中の電子と対消滅を起こして、雷からワンテンポ遅れてまたガンマ線を発生させます。いずれも雷雲という自然界でも指折りの高エネルギー渦巻く環境で、いろんな物質が素粒子レベルでしっちゃかめっちゃかになることで起こる現象と考えられます。

ハートマンは反物質の雲を説明したあと、同じ要領で「カイラル雲の中には、カイラル粒子が存在している」と語り出しているので、カイラリウムを窒素に例えたいんでしょうか。ここの例え、意図がわかりにくいんですよね。窒素にはさすがの放射性同位体にも残念ながら「空間の微細な歪みを拡大し、ビーチとの結節点」を云々する力はないので、これはカイラリウムの放射性同位体や、少なくとも励起状態のカイラリウムにならあるという前提で彼は話しているんでしょう。というか、カイラリウム自体がもとから放射性物質っぽい記述でしたけどね。まあ、とにかく窒素とカイラリウムを似たものとして位置づけた例え話だったとして、この話に反物質はどうからんでいるんでしょうか。カイラリウムの放射性同位体がエネルギー的に安定した状態に収まろうとして、同じようにベータ崩壊を起こし、その過程で反物質の陽電子が放出されるとして、それが特別だったりするんでしょうか。それともこの話は、ただたんに自然界には存在しないとされていた反物質が実際には存在したんだから、ビーチだってずっと前から存在していてもおかしくないっていうだけの例え話なんでしょうか。いや、文書が「カイラル雲はなぜ発生するのか」から始まっているから、カイラル粒子自体が、陽電子相当の存在で、反物質ってこと? だとしたら対消滅はもっと身近でカジュアルにポポポポーンと発生しているはずだから、ちょっとおかしいですよね。私の頭脳が足りていないからでしょうけど、なんか考えるほどによくわからん文書です。

とにかくどういう状態かはまったくもって不明ですが、いつもより高エネルギー状態のカイラリウムには、ビーチとのつながりを強める性質が備わっているらしいです。そこの説明はないんだな、ハートマン。そもそもカイラル雲はなぜ発生するのか、この文書を読んでもいまいちピンときません。カイラリウムが励起状態になるまでまだエネルギーが高まっていない雲なら、カイラル物質を幾分か含むだけの普通の雲というふうな扱いになるんでしょうか。そのうちまた飛行機とか飛ぶようになったら、この違いってけっこう大事じゃない……?

なんだろう……素粒子レベルでも、つながりを意識した設定なのかな? にハートマンの文書で、カイラリウムがカイラル線という何かを発していて、それが人間の体調不良を引き起こしていると解説されていました。その際に、カイラル線って放射線みたいなものかなっていう推測をしていて、本来はビーチという異質な世界からやってきたカイラル物質が、エネルギー的に北米大陸で安定しようとして、そのための変化の際に放射線ならぬカイラル線を放出するのかなんて推測を書いていたはずです。原子レベルの物質が環境に合わせて変化する中で、手放したり、組み込んだりする粒子のつながりを、人と人とのつながり、ビーチとの関連性に例えているのかな、なんて考えました。てか、「カイラル粒子」っていうのも、クォークかなんかなの? 物理学的に話してんのか、量子力学的に話してんのか、力学的に話してんのか、ハートマンの意図がくみ取れない私です。いや、でも「励起状態」っていう量子力学の専門用語を出してきてるんなら、やっぱり場の理論とかああいうのにからめて出してる用語なんだろうな。

BT キャッチャー

雷や光核反応みたいな話で言うと、思い出すのはイゴール先輩が BT の巨人型キャッチャーに飲み込まれるシーンです。あそこはイゴール先輩が飲み込まれた部位のあたりで、爆発の直前に雷光みたいなものがカッと走っているんですよね。ってことは、BT の中でもキャッチャーだけが蓄えている反物質は、もともとから体内に備えられているんじゃなくて、使用する直前に体内で雷雲みたいな、擬似的な高エネルギー環境を自分で作って、窒素かカイラリウムかを励起状態にして、陽電子を放出させて反物質をその場で即席で用意しているみたいな話になるんですかね? しかもイゴール先輩の体積分の物質と対消滅を起こせるだけの反物質を生成しないといけないので、雷の比じゃない効率がキャッチャーの内部で実現していることになるはずです。いや、核反応炉みたいに、とっかかりさえあればあとは連鎖的に全部反応するのかな?

カイラル物質は、ビーチの存在が身近になったデス・ストランディング現象以降に観測されるようになった特殊な物質です。設定上ではハートマンが「宇宙の誕生と同時に別次元に存在していた」という説を教えてくれたりします。とにかくデス・ストランディング現象が起こるようになってから、突然降って湧いたように北米大陸に現れた印象があったんですが、ここのハートマンの「カイラル雲はなぜ発生するのか」という一文を重視して、彼が語らんとしていたことの意図をくみ取ろうとすると、主要な流入地点は上空のカイラル雲と見ていいんじゃないかという気がしてきます。カイラル雲から時雨として地上に降り注いで、地表にカイラリウムの結晶ができて、風化した結晶の一部が風に乗って大気中をめぐったり、水に流されて海に流れたりするなどして、地上や水中の濃度が上がっていくってことだと解釈できると思います。空が源流だったら、これまで考察していたビーチと北米大陸の位置関係も違和感ありませんよね。

「ガンマ線によって励起状態になったカイラル粒子が、空間の微細な歪みを拡大し、ビーチとの結節点、いわゆる『結び目』をほどく」とハートマンが説明しているんですが、これも配信中に読みながら違和感を覚えたポイントでした。今まで「結び目」と言うと、複数のものをくくりつけて一緒にするイメージで、当たり前ですが結び目があるほうが結びつき、つまりつながりが強いイメージだったんですが、ここでは「結び目をほどく」ことでビーチとの結びつきが強くなると解釈されています。結びつきっていうか、一体化みたいなイメージなのかな。つまり結び目にはビーチと北米大陸を健全に隔てる弁のような役割もあるということですよね。結び目と言えば、北米大陸に散らばるアメリカ都市連合(UCA)の都市、ノットシティのことでもあるし、サムが死に瀕して向かう海底の世界でもあります。人が社会を築いている都市や、サムのような帰還者がビーチのフタみたいな役割を果たしているってことなのかな?

ちょっとようわからんな……。北米大陸とビーチの結びつきが強くなった理由の一つがカイラリウムなのは、だいたい察しがつくのでよしとして、カイラリウムが雷で励起状態になってその状態になるんなら、雷はデス・ストランディング現象が起こる前から当たり前に起こっていた現象なわけで、そうなるとカイラリウムのほうがデス・ストランディング現象以降現れた異質な存在で、つまり元凶ということになると思います。そのカイラリウムはどこからどうやってきたのか、それがどう作用してビーチの存在を北米大陸に近づけるのかっていうのが、ここでハートマンが語り出した「カイラル雲はなぜ発生するのか」「時雨はなぜ降るのか」「なぜ時雨が降ると BT が出現するのか」の答えで、みんながこの作品の世界観の理解のために知りたい情報だと思うんですよね。「カイラル雲はなぜ発生するのか」から始まる本題を述べたあとに、自然界における反物質の例え話を出して、そのあとにさも自然な話の流れであるかのように「カイラル雲の中には、カイラル粒子が存在している」って切り出すんですけど、それってもうカイラル雲がある前提ですよね。いや、だからそのカイラル雲がなぜ発生するのかを説明してくれるんじゃなかったのかっていうツッコミが避けられない文章の構成になっています。

ハートマンの説明って、すごく専門用語を使って、一見、小難しいことを語っているようなんですけど、自分でも調べてみるとけっこう説明がざっくりしすぎていて言うほど掘り下げられていないことが少なくないんですよね。エジプトの死生観でも調べてみたら、ハーとカーはあくまで霊魂の一部でしかなかったりしました。専門用語を駆使して科学的に語り出したと思ったら、今回みたいに最後は「デス・ストランディングは、そのことを私たちに気づかせるための、雷鳴のようなものなんだ」みたいなポエティックな語り口でふわっとまとめようとするでしょ。このまとめかた、確かデッドマンも前にしてたな。だから各人の描き分けが弱いって話になるんですよね。なんか世界観の構築にしても、そろそろ詰めの甘さが露呈している気がするんですよね。

「この質問に答えるのは、さすがの私でも無理だ」あたりの前置きは、不遜な感じに暴れん坊監督レフン感出てますけど、そのあとに質問にちゃんと答えられてないと、あ、この文章書いた人、ちょっとアレだな……ってなってしまいます。こういう文章の書き方をされると、情報をいかに正しく共有するかっていう目標が、情報を語るヤツがいかに賢そうに見えるかにすり替わってしまって、妙な気遣い空間になるんですよね。こう偉そうに「さすがの私でも無理だ」って前置きするようなタイプはプライドが高いので、その説明は説明になっていないって訴えると、普通の人相手だとどこがわからないのかといった相互確認の時間とかになるんですけど、プライドが高いタイプはすぐに、バカに説明する私の苦労をわかってくれっていう被害者モードに入ってプライドが傷つかないように防御態勢に入ることがあるので、コミュニケーションとれないわ、心証悪いわ、情報もまったく共有されないわ、すべてにおいて面倒くさくなるんですよね。この文書のハートマン、すごく面倒くさいヤツ臭がします。

Chiral Coulds and Timefall

なんかもうちょっと読解できないかなと思って、英語版にも目を通してみることにしました。こういう一見きちんとしてそうなのに、かみ砕いていくと支離滅裂な文章は、翻訳しにくさの極みみたいな扱いになって、ローカライズで訳者なりの解釈とか、原語にないプチ情報が補われて文章の整合性が上がっていることもあるので、なんかヒントが行間に転がってないかなと思ったんでですよね。

Why do chiral clouds form? Why does timefall occur? And why does it herald the manifestation of BTs? These are questions we still struggle to answer. As we now know, BTs are beings formed of something akin to antimatter. Their first appearance coincided with the Death Stranding. Prior to that point, it is believed that there was very little in the way of antimatter present in our world at all. But we’ve since learned that this was far from the case, for even before the Stranding, antimatter was all around us.
I discovered a scientific paper on the subject titled “On antimatter and Clouds.” According to the paper, the gamma radiation generated by lightning strikes can trigger the formation of positrons – and indeed, particles of antimatter can be detected inside regular rainclouds. The mechanism by which they are formed is not fully understood, but the mere existence of this phenomenon is enough to suggest something intriguing.
Chiral clouds contain chiralium, yes? Well, what would happen if gamma radiation were to act upon them in the same way as it does in regular clouds? Clouds chiralium excited by gamma radiation exacerbate minute distortions in space-time, somehow “loosening” the Seams that connect us to our Beaches? And if so, when the excited chiralium mixes with timefall and descends to the ground below, could the entire region beneath the clouds become much more strongly connected with the Beach as a result? This could well explain why BTs appear in areas prone to timefall.
Furthermore, if the antimatter we previously thought did not even exist in any measurable quantity on Earth were, in fact, present in such commonplace phenomena as the very clouds above us, would this not lend credence to the theory that BTs, Beaches, the world of the dead – all of these things may have existed long before the Stranding?
Too much of theoretical leap? Perhaps. I do not deny our world changed. Drastically and irrevocably. Nevertheless, could it not be that Death Stranding was merely the clap of thunder that brought this great change to our attention, and not the change itself?

Heartman

「この質問に答えるのは、さすがの私でも無理だ」に相当する文章の主語が“we(私たち)”になったことで、まだまだ人類の研究課題だみたいなニュアンスになってて、ハートマンの不遜な感じがちゃんと吹っ飛んでますね。英語版の方が紳士な暴れん坊監督レフン。

“As we now know, BTs are beings formed of something akin to antimatter(現在我々が知っているとおり、BT は反物質の粒子に類似する何かで形成されている存在だ)”とのことなので、やっぱり彼の文書の反物質の例えは、存在しないと思っていたものは身近にずっとあったっていうだけのただの例え話じゃなくて、カイラリウムの励起状態やら放射性同位体やらベータ崩壊やらの話になにか絡んでいるんでしょうね。

サムを運ぶ BT

てか、あのモヤモヤした BT の粒子って、反物質に似た何かなの……? じゃあ、サムと接触したときに、なんで対消滅起こさないの……?? おんなじようにイゴール先輩とかトラックの運転手も引っ張っていってたでしょ……??? 任意に対消滅を起こせる新手の反物質なの……????

なんか、逆にナゾが深まった気がするなぁ。

英語では、励起状態のカイラリウムが緩めるという結節点や結び目の対訳に、大文字から始まる“Seam”が使われています。イメージとしては縫い目だけど、地質学的には地層の層のことなので、どっかでフラジャイルが言ってた多元宇宙論もイメージした訳語のチョイスなのかな? だとしたら、この DEATH STRANDING の世界観で言うところの多元宇宙論の形態は、泡宇宙の層が幾重にも重なってる感じを想像するといいのかもしれません。

国道復旧装置

さて、いまいち理解できているのか不安ですが、読むものも読んだので、セーフハウスから出て、次のお仕事に取りかかることにしました。次の時雨農場の配達もしてしまうかなんて話していましたが、この日は残業で夜間に仕事が終わる家族を迎えに行くという用事も控えていたので、作業に区切りをつけやすいように、先ほどのカイラル通信拡充によって新たに通信範囲内に加わった4基の国道復旧装置に素材を投入する作業を始めることにしました。国道をつないでおけば、私のような下手なプレイヤーでもうっかり事故を起こすことが少なくなり、身を任せるサムも安心して職務に没頭できるでしょう。っていうか、ここ4か所も装置があるのね!?

メモリーチップ

周辺に落ちている素材を拾いつつ、坂の上まで行って、巨大な観測装置の足下にメモリーチップが転がっているのを見つけました。ここの看板、メモリーチップのことなら、ちゃんとメモリーチップの看板を使ったほうがネタバレを避けたいプレイヤーのためにもなるしいいなと思うんですけど、どうなんでしょうか。違う看板で目印残してくれてる人が多いみたいなんですけど、どっちでも一緒なのかな。

目と鼻の先のウェザーストーンさんに落とし物とメモリーチップを届けるついでに、指名なし依頼を受けて、いったん下山することにしました。これから国道を復旧させるために、うちのサムは「お前の金属とセラミックはオレのもの。オレの金属とセラミックはオレのもの」と言い張るジャイアンと化します。しかし、このままこの周辺にいても金属とセラミックを持ったお前にうまく遭遇できません。

指名なし依頼 No. 490 「素材(樹脂)と(セラミック)を配送せよ」

気象観測所で受注できる指名なし依頼は、No. 490 「素材(樹脂)と(セラミック)を配送せよ」と No. 491「20世紀の名車の希少なミニチュアを届けろ」の2件だけでした。重さにしても50kgをちょっと超すぐらいなので、一気に持っていきます。レイク・ノットシティ行きの荷物は届け先のセラミックの貯蔵量が増える依頼のはずなので、これから国道を復旧させる身としてはやっといて損はないでしょう。

指名なし依頼 No. 491 「20世紀の名車の希少なミニチュアを届けろ」

K4南配送センターは近くにミュールの拠点もあるし、地理的にちょうどいい中間地点なんですよね。これからも入り浸ると思います。いざとなったら、ここから素材を引き出して持っていくのもありです。

大活躍のフローター

今回の荷物はそれほど重たくありませんが、せっかくフローターがあるので、今回の荷物もフローターに載せて引っ張って行くことにしました。こうしていくと道中に転がっている国道の素材も拾いやすいかなという考えです。依頼の受注画面でこうやってフローターに荷物を載せて、時間指定配送などで慌てて出発して、フローターのひもとサムの体をつなぐのを忘れていたことに警告メッセージであとから気付いて慌てて戻るのもあるあるな私の失敗です。

金属発見!

今回は時間指定の配送でもないので、気象観測所を出て少ししたところにある簡易観測塔で周辺に落ちている素材をしっかり確認して、国道の材料になるものは拾っていくことにします。お隣の座礁地帯の手前に金属がさっそくありました。ジャイアニズムの略奪をいずれすることになると思いますが、あまりにも物騒ですからね。基本はできる範囲でこういうことを地道に積み重ねていこうと思います。

雨で滑るサム

さっそく4地点のうち一番南の国道復旧装置までやって来たんですが、台に登ろうとしたら雨のぬかるみで滑ったのか、サムが勝手によろけて大切なお届け物を傷めてしまいました。こんなとき、フローターだとダメージ回避できるからいいんですよね。サムは今回の指名なし依頼を受けるときに、いちいち全部の荷物をフローターに移すのが面倒くさくて、一部の荷物を両腕に残したままで移動していました。私の手抜きのあだがさっそくここで出てしまいましたな。

なんでここでサムがよろめいたのか不思議ですが、文句を言ったところで傷んだ荷物はもとに戻らないので、そのまま装置を操作して、とりあえず手元にあるだけの素材を全部投入することにしました。これだけでは国道復活となりませんが、この北米大陸の装置はちょっとでも素材を投入すると、体感的になんか同期が進みやすい気がするんですよね。だから私はとりあえずちょっとだけのカイラル結晶でも、復旧させようとはしているという意思表示のために入れるようにしています。

踏ん張ろうとしてフローターの荷物を両手で持ち上げてしまうサム

その後も雨でぬかるんだ地面と柱状節理の凹凸に翻弄されるサム。これだからここらへん一帯は怖いんです。ちょっとした段差にハマって動けなくなったので、踏ん張ってちょっと手荒に脱出しようと思ったら、足下まで追いついてきていたフローターの荷物を両手で持ち上げて、小脇に抱えて移動していました。前から何回も書いてますけど、このゲーム、サムの操作でできることが多すぎて、状況に合わせて一つのボタンに複数のアクションが割り振られているんですね。そのときどのアクションが発動するかは、こうやって画面に表示されるボタン案内を確認した方が確実です。私みたいなすぐに操作方法を忘れる人向けってだけでもないんですよね。サムが親切にも、そのときそのときに、今このボタン押したらオレこれするからっていう案内を出してくれていると私は考えています。

カイラル通信エリア外

ヒヤヒヤしながら柱状節理の歩きにくい地形を抜けて、川を渡って対岸の国道復旧装置まで来ました。この川沿いは時雨がよく降っているので、荷物のケースがあっという間にサビッサビになります。しかし、せっかくたどり着いた国道復旧装置ですが、よく見るとこの装置は現在のカイラル通信エリアから微妙に外れた範囲外にあるようです。これだとほかのサムとの同期が進まないので、途方もない素材をうちのサム一人で用意することになってしまいます。普通にプレイしていたらそれもそれで乙だけど、2周目の配信でそうノロノロとやっている時間もないので、このエリアに対応したプレッパーズのシェルターを探すことも目標に加わりました。ここの国道がつながらないと、ここから先の気象観測所にも行けませんからね。

配達ボットと一緒に出迎えてくれるサザーランドさん

4地点のうち、K4南配送センターのすぐ南にある復旧装置にはすでにありったけのカイラル結晶を突っ込んでいるので、素通りして配送センターまで戻ってきました。陽気なサザーランドさんが配送ロボと一緒に出迎えてくれます。この人、そんなキャラだったかな……?

フローターと操作ボタンがかぶる配送端末

指名なし依頼 No. 491と、ついでに道中拾った落とし物も納品して、さらについでにほかに受注できる指名なし依頼がないか見ようとしましたが、いつもと操作感が違って、フローターの荷物の積み下ろし画面に遷移してしまいました。おかしいなと思ったら、足下にフローターが来ているので、いつも配送端末を立ち上げる四角ボタンがフローターの操作に割り当てられていたんでした。これも一つのゲームにたくさんの機能を詰め込んだ弊害とこれまで言っていた操作ボタン被りの一例ですね。

K4南配送センターの指名なし依頼は、先ほど戻ってきた気象観測所行きのものしかなかったので、今回は何も受注せず、車庫から出ていたトライクにまたがって、ここから北上しながら道々目に入った素材をマークしてレイク・ノットシティまで行くことにしました。

UC ROUTE 23

そう言えば、サムがトライクでひた走る新しい国道の舗装面に、“ROUTE – UC – 23”っていうマークが入っているんですよね。アメリカ合衆国の国道23号線は北はミシガンから南はフロリダまで、東海岸側を南北に走っている国道で、こんな北米大陸の中央にはないはずなんですよね。なんで23号線にこだわったんでしょうね? あれかな、ゲーム内でたまに都市の名前の下とかに表示されてる座標みたいな数値と関係あるのかな? こんな原初の荒野に戻ったら、区画整理も思いのままですもんね。

なぜか S 評価のレイクさん

レイク・ノットシティで先ほどうっかり損傷させてしまった荷物を納品しましたが、寛大なレイクさんは S 評価をくれました。たぶん「荷物の量は想定以上です」と言っていたので、質より量に期待した依頼だったんでしょう。うん、レイクさんの人柄を信じてそういうことにしましょう。

レイクさんも配送ロボと一緒にホログラムでサムを出迎えてくれたので、配送ロボが配備された時点でお迎えのホログラムが各地で変わるようですね。このゲーム、そういうとこ細かいなぁ。

指名なし依頼 No. 432 「素材を回収して配送せよ」

レイク・ノットシティにはまだ手つかずの指名なし依頼がたくさん残っていました。ズラッと見て気になったのが上の No. 432「素材を回収して配送せよ」です。288kgもある大量の素材を、レイク・ノットシティの敷地の外れにある港から拾ってくる依頼なんですが、前回と違って今回フローターが手に入ったので、できるかもという気になってきました。ただフローターの説明を見返しても、最大積量の情報がどこにも記載されていません。もしかしたら Lv. 1だと全部載せきれないかもしれないけど、時間指定でもないので、そのときはそのときで往復すればいいかと考え直しました。

指定された素材を回収するため、いったん配送センターを離れるとき、レイクさんが“Arrivederci!”とイタリア語でお別れの挨拶を言ったような気がしたんですが、私の気のせいかもしれません。レイクさんを演じているのはウガンダの血を引くイギリス人俳優のダニエル・カルーヤさんらしいです。本作のあと、2017年にホラー映画『ゲット・アウト』の主演で高評価を得てブレイクされています。

なので日本語でもそこそこ情報が出てくるんですが、バックグラウンドをザッと見てもイタリアとの接点がないんですよね。なんかの小ネタかなと思ったんですけど、彼とあまり接点がなさそうな『ジョジョの奇妙な冒険』ぐらいしか思い浮かびませんでした。

フローターと格闘するサム

回収する荷物はなんとか全部2台のフローターに載せられました。手に持った荷物は荷物整理の画面をわざわざ開かなくても、フローターの近くで所定のボタンを押したり離したりするとフローターに勝手に載せて手放してくれるんですが、サムの身体の向きと、フローターや荷物との位置関係次第で、サムが思うように手に取ってほしい荷物を取ってくれなかったり、一度キレイにフローターに積んだはずの荷物をまた持ち上げて、あろうことか自分の背中に積み直しちゃったりして、結局積み下ろし画面を開いて最後にまとめて整理するのが一番ストレスが少ない積み方になるという本末転倒ぶりでした。操作が上手い人がやるとね、私の配信みたいにイライラせずに見られると思うんですけどね……。

レイク・ノットシティの港に続くトンネル

重たいフローターを引っ張って、港の出入口のトンネルから、クジラに似た配送センターの建物が見えるところまで出てくると、吹き抜ける風の音がクジラの鳴き声のように聞こえた気がしました。レイクさんの唐突なイタリア語に比べたら、こっちはまだ演出の可能性があるかな。

そう言えば、ここも配送センターの敷地と港の間に洞窟を通る構造になっているんですよね。洞窟は、物語の冒頭にサムとフラジャイルが初めて接触した場所もありますし、東部エリアのポート・ノットシティへ出る峠も洞穴っぽい構造になっています。この狭い場所から開けた場所へ抜ける演出って、ゲームマップではよく見るんですけど、今作の場合はオープニングでも似たようなことを書いた記憶があるので、もしかしたら宗教建築の産道を意識した生まれ変わりの表現なのかもしれないと当時も書いていました。クジラは今作では小説でもたびたび絶滅体にかけて象徴的に描かれている存在で、ポート・ノットシティの件ではそのまんま配送センターがサムを飲む込むクジラに例えられていたので、まあ、意図的な仕掛けだと思うんですよね。

最初の雨宿りの洞窟

冒頭でサムがフラジャイルと一緒に雨宿りした洞穴では、穴の奥から出入口のほうに向かって、荷物を置くサムの姿をカメラがとらえるんですが、サムが最初に入るときは背後の山の稜線がほぼ重なるように映り込んでいて、眼窩のようなくぼみのシルエットがほぼふさがれた状態になっています。このシルエットを目に例えると、この場合、サムが瞳ということになりますね。この後、フラジャイルと BT をやり過ごして、時雨も去って日光が降り注ぎ、視界が開ける象徴的なシーンが挟まるので、おそらくこの洞穴に入ってから出てくるまでに、サムか、サムを見ている誰かの第三の目が開いたというか、何か超常的な知覚を得る準備が整ったことを示す演出か何かなんじゃないかなと思うんですよね。特に洞窟の中ではサムが大事に持ち歩いていた家族写真に時雨の雫が落ちて、亡くなった奥さんの顔がぼやけてしまい、いかにも過去の人といった見た目になりますし、その後、入り口から晴れた空をサムが眺めるているとき、上空にうっすらと、エンディングのアメリのビーチや、イゴール大爆発後のムービーシーンでも見える五人の人影がそこに浮いているので、この後の展開を示唆する壮大な力がなんかしら働いていると私は推測していました。

レイク・ノットシティの港の洞窟は、上にも書いたように視界が開けたときにクジラの鳴き声っぽい風音が聞こえたんですが、そう言えばポート・ノットシティ前の峠の洞穴も、抜けたときに眼下にノットシティの港と配送センターが見えてくるんですよね。じゃあ、クジラに似た配送センターの建物がカギなのかと思って、冒頭の洞窟を抜けたときの景色も注視してみたんですが、確かにサムが入るときには見えていなかったセントラル・ノットシティの建物群がフラジャイルの背後に見えるようにはなっているんですよね。ただ、クジラに例えられていた配送センターまでは見えませんでした。

フラジャイル

それもそのはず。今はなきセントラル・ノットシティの配送窓口は、ほかのノットシティにある三角形の建物じゃなくて、ゲート脇に建てられた普通の箱形の建築物だったんですよね。そう言えば、風力発電所とかK2西中継ステーションとか、ノットシティ以外なら三角形ではない建物もめずらしくないブリッジズの施設ですが、このセントラル・ノットシティと同じタイプの配送窓口って、たぶんほかの施設では流用されていない特別な形ですよね……? そして窓口にこれといった担当者がおらず、おそらく遠隔操作で受付作業をしているらしきママーがホログラムで対応してくれたんでした。思い返すと懐かしいですね。

おなじみの三角形の配送センターじゃないと考えると、セントラル・ノットシティにはクジラがいなかったということになります。これってこのノットシティが絶滅体の大統領に切り捨てられた理由だったりしますかね? 切り捨てたって言うか、私が勝手にイゴール大爆発でセントラル・ノットシティが吹き飛んだのも、大統領が全部サムを取り戻すために計算尽くでやったことだと考えているからこういう表現になっているだけなんですけどね。

クジラがいなかった代わりに、ここの洞窟には何かを象徴していそうなシカがサムより先に逃げ込んでいて、サムが洞窟を離れる頃には川のほとりで息絶えています。こうなるとシカに何の意味があったのか余計に気になってきました。シカはサムとフラジャイルの目前に迫った BT との間を走り抜けて洞窟を飛び出しています。前にビーチは人間にしかないという考えを示すハートマンの資料があったので、BT も人間にしか反応しないんじゃないかと思うんですけど、そのときの BT は偶然だとしてもシカのあとを追うように洞窟を出ていったんですよね。もしかしたらシカが表しているのは人間の、それも生きていたけどのちに死んでしまった特別なキャラクターだったりしますかね?

ビーチが個人の精神に属しているのならば、人間のような意識を持たない動物にビーチはあるのか? 人間の死体だけがネクローシスして体が BT になる。だからビーチは人間にしか存在しない。私はそう考える。
では、人間のような意識を持てば AI にもビーチは存在するのか、あるいは、人造人間の場合はどうなのか。私は、それらにビーチは存在しないと思う。なぜなら、ビーチは死とつながっているだけではないからだ。ビーチは生者の世界にもつながっている。生と死を結ぶのがビーチだ。だから人間のような誕生をしなかったら、ビーチは存在しないはずなんだ。

ハートマン

セントラル・ノットシティの窓口を担当していたママーも、このあと会って話を進めるとわかりますが、あの世に片脚突っ込んでいるような人で、脳死母と同じようにあの世に近い存在、かつママーという名前だけあって赤子とつながりがある母親という存在になっています。すでに亡くなっているとか、へその緒でつながっているとか、のちのちわかる遺体がネクローシスしない設定とか、そこらへんが絶滅体にも近いかなと思いました。むしろあそこがクジラに囲われている絶滅体の本来の居場所だったのかな? たぶん大統領の活動拠点としても、本来ブリッジズの本拠点に据えられていたのはキャピタル・ノットシティよりセントラル・ノットシティだったはずですよね。それをテロリスト対策などもあって移すことになったと考えると、キャピタル・ノットシティは前大統領にしてみればサムが帰還するまでの間、一時的に間借りしていただけで、本来はのちのち大統領になるダイハードマンとか、残される彼女の側近たちの領域だったりするのかな。そうだとすると、イゴール大爆発は絶滅体が誰よりも自身を犠牲にした自爆だったという見方もできますね。

さて、レイクさんに港から拾ってきた大量の素材を納品したら、今度は中部エリア南部のまだ見ぬプレッパーズとの出会いを求めて、いつもは行かないエリアを開拓することにしました。遠出する前に一度レイク・ノットシティのプライベート・ルームで休憩していきます。

観測所の機能が向上しました

休憩室で確認すると、今回出会ったばかりのウェザーストーンさんから気象観測所の機能向上のお知らせが届いていました。機能向上と言っても、第二次遠征隊のサムが到着したことでカイラル通信がつながって、本来の気象観測所としての機能を無事に取り戻せたという話だけで、あれからさっそく新しい機能が追加されたみたいな話ではないみたいです。まあ、でも現実の話で考えたら、しばらくまともに機能していなかった施設を再稼働させるときって、きっとめちゃくちゃ大変なんでしょうな。

ウェザーストーンさん、本来は同施設に駐在するブリッジズのスタッフさんたちのメンタルケアを担当する医療スタッフらしいです。確かに、ホログラムの姿は医療班の制服らしい赤いスーツを着ていたんですよね。デッドマンと一緒ですね。心理的なケアって、K2西中継ステーションのバトンさんが求めていそうな人員ですね。

さきほどサムの道具として新たに追加された時雨シェルター、セーフハウス、フローターは、もともとここの施設のスタッフが、屋外でのデータ収集をするために活用していた道具らしいです。なるほど、いい道具がそろっているあたりに、ここの業務の過酷さが出ていますな。そりゃ専門の医療スタッフも常駐しますわ。

指名なし依頼 No. 418 「素材(特殊合金)を配送せよ」

プライベート・ルームから出たあとは、すぐに配送端末に向かって、残っている指名なし依頼をチェックします。ここからは国道が延びている南西方面ではなく、レイク・ノットシティからまっすぐ南に下った先、映画監督などの新しいプレッパーズのシェルターがある地帯をウロチョロして開拓しておこうと思います。途中まで寄り道できるお届け先の依頼を選ぶと、No. 418のエンジニア行き「素材(特殊合金)を配送せよ」がまず見つかりました。これは特殊合金なので、おそらく先ほど気象観測所を開拓したことで受けられるようになった依頼じゃないかな。

指名なし依頼 No. 421 「[至急][壊れ物] 心機能調整用医療機器を届けろ」

ついでにまだ持てる荷物に余裕があるので、その先の崖を登ったエルダー行きの荷物、No. 421「[至急][壊れもの] 心機能調整用医療機器を届けろ」もやっておきます。おじいちゃんは毎回何かかならず一度は配達してあげないと不安になる相手です。ちゃんとお届け物を持って定期的に訪ねてあげないといけないご老人ってところも、サムの配達人としての責任がきちんと表されていますし、これもうがった見方をすると生殺与奪の権利を自分が握る優越感みたいなものにつながる気もします。てか、この時間指定の理由って、それが所定の時間内にないと、エルダーの心臓がダメになっていくってことでしょう?

エンジニアの星

急がないといけないので、バイクにまたがってエンジニアのところで飛ばし気味に納品作業を始めますが、こういうときに限って彼との親密度が MAX になり、ご厚意でスターマークをまた一ついただけることになりました。この星マークがズラリと並ぶ構図、アメリカ合衆国の国旗っぽくありますが、星の数は前時代のアメリカ合衆国の州の数よりちょっと減ってるんですね。

指名なし依頼 No. 174 「抗酸化成分入り疲労回復飲料を届けろ」

せっかくなので、エンジニアのところからエルダーのところへ持っていける依頼があれば一緒にやってしまうことにしました。No. 174「抗酸化成分入り疲労回復飲料を届けろ」は重たくもないので、一緒に引き受けます。ついでにこれからエルダー宅近くのミュールの活動地帯や、未踏の地で座礁地帯に迷い込んでしまう危険性があるので、ボーラガンと血液グレネードも1個ずつここでいただいていきます。

エルダーのシェルターは台地にあるので、どの方面から来るかで、崖を登る経路が複数あると思うんですけど、今回は意図せずバイクのまま頂上のシェルター前までたどり着けました。いつも使っていたルートは、ハシゴとかロープを活用して登らないといけない急斜面なので、ここもちゃんと調べたらもっと楽な配達経路を開発できると思うんですよね。でも、それをしないのが怠惰なうちのサムです。

樹脂

サムの配達に感激したおじいちゃんがお礼の品として樹脂をくれるんですが、国道の素材にもならないので、私は前世からずっと持て余しています。おじいちゃん、ごめんねと思いながら、いただいたその場で彼のシェルターのプライベートボックスに放り込むのが定番の流れになります。

なんで樹脂なんだろうなと考えて、樹脂が必要なものをザッと調べてみたら、建設装置で大々的に建てるようなものより、建設装置そのものだとか、サムの身の回りの装備品や道具でよく使うようです。なので、公共のためになるものっていうより、個人が差し迫って必要になりそうなものをサムに分け与えようとしているって考えると、なんか腑に落ちた気がしました。老い先長くない病人の高齢者って、あくまで自分の親を介護した経験から来る一般的なイメージですけど、もう社会のために何ができるかっていうライフステージでもないし、脳機能も低下しているので、目先の自分の生活の充足感が結構大事になっている感が強いんですね。たぶんエルダーは彼なりの目線で、あると嬉しいものをチョイスして、サムも同じだろうと気遣って、子や孫のように樹脂を持たせてくれているんだと思うんですよ。むげにできませんよね。

エルダーのシェルターでも新しい指名なし依頼が受けられそうか確認しましたが、やっぱりここから未開の地へ向かうので、ちょうどいい依頼は残っていませんでした。周辺に落ちている金属やセラミックを拾いつつ、崖を降りて映画監督のところへ向かいます。

崖下へ降りるサイン

あんまりエルダーのところまでバイクで来ることがないので、勝手がよくわかっていないんですが、カイラルネットワークでほかのプレイヤーが残してくれた看板を見つけたので、これを信じてバイクのまま崖を下ってみることにしました。博打です。

しかし、少し進んだところで、思っていた以上の絶壁であることに気付いたので、そのまま U ターンして、もう少し南の小川が流れる渓谷に沿って進むことにしました。よく見ればバイクでも走れる傾斜があったのかもしれませんが、このゲーム、行けそうなところで行けなくなるのは、看板やハシゴ、ロープの存在を信じて進んでいるときに起こりがちな展開です。岩場にタイヤを取られたり、水に漬かっていつもよりバッテリーを消費したりしながら、なんとか別のルートで崖下まで降りられたので、このままサウス・ノットシティの廃墟手前まで南下します。

大きなサンゴ礁

エルダーのシェルターがある台地の東側に、クリプトビオシスが大量に生息している大きなサンゴ礁の一帯が広がっています。せっかくなのでここでバイクから降りて拾えるアイテムを回収しておくことにしました。北米大陸になぜ、本来海底にあるべきサンゴ礁ができているのかっていう疑問は、これまで小説の記述などを考察してきたとおり、ビーチから見ると北米大陸が海底にあたる位置関係になっているからっていう解釈でいちおう解決できると思うんですよね。ビーチから見た海にあるってことは、そこは死者の国であるわけで、この北米大陸もすでに死んでいると解釈できるんでしょうね。

なんでこの北米大陸のここにこんな大規模なサンゴ礁の生息地帯が広がっているのかはナゾです。たぶん掘り下げて行くとここにこれがある理由もそれなりにちゃんとありそうなんですけど、今は皆目見当つきませんね。とりあえず岩場に落ちているメモリーチップとクリプトビオシスを捕まえられるだけいただいておきます。

和製ホラー映画『マタンゴ』

ここで拾えるメモリーチップは、おそらく本作のインスピレーションの一つとなった和製ホラー映画『マタンゴ』について書かれています。

『ゴジラ』の本多猪四郎監督による1963年公開のホラー特撮映画。無人島に漂着した男女7人は、「キノコを食べるな」というメッセージを目撃する。しかし島の食料はキノコしかなかった。禁断のキノコに手を出した人はどうなるのか。いまやカルト映画のひとつとして語られる傑作。禁断のキノコは、クリプトビオシスや結び目のサンゴを予見していた、という説を唱えるマニアもいるらしいが、真偽は不明である。

復元したメモリーチップ『マタンゴ』

マタンゴとは作中の設定で、キノコの胞子に全身包まれた元は人間の怪物と定義づけられています。この原因となるキノコは、もともとどこかの国が実施した水素爆弾の実験で、放射能汚染により生態が変化ししてしまったキノコで、これを無人島に迷い込んだ人間が食べる、あるいは胞子を浴びることによって、映画のような人間がどんどんキノコの怪物になっていく物語が展開していきます。ここで言うキノコは、核爆弾による放射能汚染つながりで、キノコ雲とも関連づけられていると考えられます。そして、クリプトビオシスのサンゴ礁との関連性も考えると、たぶんあそこも放射線ならぬカイラル線の汚染がなぜだかひどい地域で、カイラル粒子だか何かが、対消滅やら対生成で時間を往来しているから、本来ビーチの存在であるはずの生命体が北米大陸に座礁してきているのかなという考え方ができると思います。まあ、ここらへんのなんちゃって量子力学の知識を中途半端に語った解釈は、私が勝手に納得しているだけかもしれませんが……。

マタンゴと放射能汚染の関連性から、デス・ストランディングのカイラル汚染のことを考えると、映画のマタンゴが対応しているのは、今作ではクリプトビオシスであると考えられます。作中、クリプトビオシスを食べるのは、マタンゴのキノコを食べるのに等しい行為なのかな?フラジャイルは「時雨(タイム・フォール)にも耐性がつくの」と言って、おいしそうに頬張っていましたけど、自ら肉体を汚染されにいくスタイルなのか、汚染への耐性をつけるスタイルなのか、どっちなんだ……? 案外クリプトビオシスを食べ続けたフラジャイルも、最後はクリプトビオシスになったりしてね。

クリプトビオシス

映画『マタンゴ』には、キノコの無人島に漂着した女性の登場人物が、キノコを男性器になぞらえて妖艶にその味を伝えるシーンがあって、演じる女優さんが当時その意味をよくわかっておらず、何度も監督にダメ出しされたというエピソードがあるらしいです。ということは、クリプトビオシスを美味しそうに頬張るフラジャイルのシーンも、そういう意味なの……? ……いやいや、絶対痛いし、文字どおりポークビッツやん。

にブリッジズのロゴにクモの巣が入っていて、小説ではブリジット・ストランド前大統領が女郎蜘蛛に例えられていたって話を書いたんですけど、クリプトビオシスも同じ足の数なので、似たようなものの象徴として登場しているんじゃないかっていう私の推測を書いていました。キノコつながりで男性器と結びつけられるなら、クモは女性、クリプトビオシスは男性ということで、あのあと書いていた女郎蜘蛛の息子のサムのことであるという解釈もあながち外れていない気がしてきました。で、それを美味しそうにムシャムシャ頬張るのがフラジャイルなんですね。恐ろしい女だなぁ……。ポークビッツなのは、一度死ぬ前のサムみたいな、ブリッジ・ベイビーの中でもとりわけサムみたいな男児を意味してるってことも考えられるかな?

作中、クリプトビオシスを頬張る直接的なシーンが描かれているのは、操作キャラクターのサム以外だとフラジャイルのほかにいたかなぁ? クリプトビオシスも何の象徴なのか、いまいちつかみきれていないところがあるからなぁ。

まあ、マタンゴから悪乗りしてクリプトビオシスの適当な考察を繰り広げるのもほどほどにしておきましょう。

映画監督

サンゴ礁の一帯をさらに南下すると、毒の霧で満ちた大きな地割れがあって、それをさらに乗り越えると赤砂の乾燥地帯に出ます。ここらへん一帯がプレッパーズの一人、映画監督の居住エリアです。たぶん鉄分を含んでいるんだと思うんですけど、こういう赤砂の水分が少ない地質って、いかにもアメリカ合衆国って感じがしますね。

しかし、映画監督のシェルターの前まで行くと、ゴツゴツとした岩場の隙間から蒸気が吹き上げているちょっと変わった景色になってきます。この岩場、特に今回みたいにバイクで来たときは面倒くさいんだわ。カイラル通信につなぐと、たいていどこかの誰かさんが建ててくれた橋がシェルターの入り口前に出現するので、とっても便利になるんですけど、こうやって初回に訪れるときは地道に岩を削りながら前進することになります。悪戦苦闘しながら、なんとか訪れることができました。

映画監督の配送端末

しかしやっとたどり着いた映画監督のお宅は、まだ今のサムには時期尚早だったらしく、何か手土産を持ってこないとプライベートボックス以外の配送端末の操作は何もできない状態でした。東部エリアのミュージシャンは、適当にやっておいてほしい回収の依頼を1件だけ入れておいてくれましたけど、難易度が上がった中部エリアの映画監督にはそう簡単に会えないようです。

クレーター温泉 胃腸快復の湯

仕方がないので近くの温泉にでもつかって、この後の計画を練り直すことにしました。映画監督のシェルター周辺で、岩の隙間から蒸気が噴き出していたり、ここに温泉があることを考えると、ここの下には火山のマグマがあるのかもしれません。アメリカ合衆国の赤砂地帯って、乾燥地帯のイメージが強いんですけど、ここは意外と地中に水分があるんですね。となると、気象観測所に行く途中で、K4南配送センター前を流れる川の周辺に柱状節理があって、それの関連で話していたことが、地表に出ている地質的な特徴は違えど、ここらへん周辺にも当てはまるかもしれません。

温泉が湧き出てくる場合、火山のマグマ以外に、地球の中心部から伝わってくる地熱が熱源である可能性も考えられるそうです。この場合はどっちなんでしょうね? 地熱が熱源だった場合、その熱は地球の核から来ているもので、地球内部の放射性元素が崩壊するときに発している熱ということになり、これもハートマンの文書に関連して先に書いたとおり、反物質を含む雷雲などのアレコレがここらへん周辺にも当てはまる可能性があります。ここらへん、なにげに地質学的に重要な地帯なのでは?

このクレーター温泉は「塩分を多く含む塩化物泉」で「成分は原始の海水に近く、クレーター湖のタールが影響している」と言われているらしいです。タールはこの作品オリジナルの成分なので参考になりませんが、結局はあの世を満たす海水がタールなのではないかという話を以前にしていたと思います。現実では海水に似た地下水が温泉として地表に噴き出す場合は、地熱を熱源としているタイプが多いみたいです。それこそ何かの地殻変動で海水が一部地下に流れ込んで、それが地下深くで熱せられて地上に湧出するタイプの温泉もあるみたいです。最近は昔と違って、技術の発達で、人工的にボーリングで温かい地下水を直接地表に出すこともできますしね。

塩化物泉で有名なのは和歌山の南紀白浜温泉なんですが、あそこらへんは昔から火山が近くになく、なぜ温泉が湧くのか不思議がられていました。近年の研究で、どうやらフィリピン海あたりから地下に潜り込んだプレートの影響で、地熱で熱せられた高温の地下水が紀伊半島や有馬温泉のあたりに滞留していることが原因だということがわかったらしいです。あと、熱海温泉も塩化物泉に分類される成分らしいんですが、もともとあそこは硫酸塩泉が多い地域でした。それが近年になってボーリングで源泉開発をおこなった結果、海水が混入した地下水の割合が増え、海沿いのほうから塩化物泉に水質が変わっていったそうです。そう考えると、このクレーター温泉も非火山性の地熱タイプでしょうかね?

地割れ地点に充満する毒ガス

ただ、近くに毒ガスが充満する地割れがあるのは火山が近い特徴のような気もします。あそこの毒ガスが成分的に何なのかよくわかりませんが、火山でよくある毒ガスは、わりと身近な二酸化炭素、あるいは二酸化硫黄や硫化水素などが多く、地割れの隙間に留まっているところを見ると、これも火山ガスあるあるの空気より重い気体なんだと思います。ゲームでは黄緑っぽい色が付いているようにも見えるけど、めぼしい火山ガスはほとんどが無色なので、もしかしたら高温の水蒸気のモヤの表現なのかもしれません。

赤砂

あと、周辺の赤砂の合間から顔をのぞかせている黒い岩の形状が、思いっきりハワイとかで見られる火山岩に似ているんですよね。めっちゃ地表に出て冷え固まった溶岩の形してません?

なんか、いろいろ調べだしたけど、結局うまく情報がまとまりませんでした。量子力学的な話はハートマンの文書からしても物語の考察に必要なのが明白なのでいいんですけど、火山の云々がどうビーチと結びついているのか、今はまだよくわかっていないので、何か切り込めるとっかかりになればいいと思ったんですけどね。

まあ、映画監督のところへは物語の流れでまた正式に来ることになるので、そのときにちゃんとした文書などを読みあさってつなげられるポイントがあるかどうか調べることにします。配信中は唯一エリア外だった国道の復旧装置が、この映画監督のエリアに所属していると勘違いしているんですが、サムが温泉につかっている間に攻略サイトを調べ直して、私の勘違いであったことを思い出しました。どうしたもんかと考えて、とりあえず K4南配送センターまでバイクで戻って、今手元にある国道の素材をすべて復旧装置に入れてしまうことにしました。

映画監督の落とし物

そうやって K4南配送センターまでバイクでひた走っている間に、ミュールの集荷基地を過ぎたあたりで、映画監督の落とし物が落ちているのを発見しました。そう言えば、K4南配送センターの南東あたりは彼の落とし物がよく転がっていた気がします。これを持っていけば、物語の展開より先に彼に会うことができるかもしれません。

国道復旧

K4南配送センターの前までいったん戻ってきたので、手持ちのセラミックを配送センター前の装置にさっそく投入します。道々拾ってきた金属もあったんですが、ここに来る前に、映画監督のシェルター前の地割れをまたぐ橋の方に入れておきました。次に訪れるときまでにまた同期が進んで、回り道せずに映画監督のシェルターに北側から行けるといいなと期待してのことです。

国道の一部が完成

そのぶん国道の復旧に必要な素材が全然足りないんですが、せっかく目の前に K4南配送センターがあるので、素材を引き出して簡単に完成させることにしました。こんぐらい近いところならこれくらいの手抜きいいでしょ。どうせ川の手前ぐらいでちょん切れているので、このままでは利用できません。早く次の分の素材を用意しないと……ということで、次の装置はまだカイラル通信の範囲外なので、まず所属するエリアのプレッパーズのシェルターを見つけ出して、UCA に勧誘しないといけなくなりました。

来た道をまた戻って、とりあえず映画監督に先ほど拾った落とし物を届けようと動き出しますが、配信ではここらへんで、国道復旧装置があるのは映画監督のエリアではなくて、ファミ通の元編集長ことコレクターのエリアであることを思い出しました。そうそう、あそこの地割れの面倒くさいところにありましたね。やっと思い出しました。

ミュールと戦闘

そして映画監督の荷物を背中に背負ったまま、バイクが小岩に引っかかってミュールの集荷基地の近くに入ってしまったので、ふと思い立ってここのミュールも殲滅しておくことにしました。この人たちがいわゆる、お前のものはオレのもの、オレのものはオレのものといったサムのジャイアニズムの被害者たちですね。ここの集荷基地はまだ制圧したことがないので、たぶん探せば中にメモリーチップとかのアイテムも転がっていると思うんですよね。あわよくばコレクターの落とし物とかもポストに蓄えているかもしれませんし、先に突撃してみることにしました。

突撃してみることにしましたとか軽く言いつつ、夜中の眠たい頭で適当に思いついたことで、私は戦闘も下手なので、だいぶとモタモタと攻略していました。そうやって戦ったり逃げたりしている間に、ロシア人だという視聴者の方がコメントを残してくださいました。ぶっちゃけ、たぶんゲーム配信あるあるで、日本の若い女の子を探していたんだと思うんですけど、そう都合よく若くてかわいい女の子が深夜にゲーム配信なんかしてるわけないですよね。あんたが話してるのは子持ちの既婚者だよ、すまんなと思いながら慣れない言葉でぎこちない会話を続けていました。このときはネタのつもりで、「やっぱりプーチンは好きなの?」みたいな話題を振っていたんですが、まさかこのときはこのあとのウクライナ侵攻で笑えない話になるとは思ってもみませんでした。まあ、今回の件はプーチン率いるロシア政府の暴走という感じで、かならずしもロシア国民全員が悪いという話ではないと思うので、現実から離れてゲームで遊ぶ配信の場では、ロシア人だと言うだけで一般人のゲーマー一人取りあげてチクチク非難するような、堅苦しいことはあんまり言いたくないというのが正直なところなんですけどね。

雑談の話題として、ちょっとネタのようにプーチンの話題を振れるって、ものすごく平和な時代だったなと思います。そしてこの視聴者さんも、細かい問題はありつつも、自国のリーダーのことだから、そりゃ彼はロシア国民を愛していますって無邪気に答えてくれるわけですよね。こっちも当たり前に、そりゃ言うよねっていう空気だったんですよね。この頃はホント、平和だったなぁ……。

メモリーチップ

テントの中にメモリーチップがありました。北の方のミュールの集荷基地は、やたらと金属だけとか、セラミックだけとか、集められている素材に偏りがあるんですが、ここの集荷基地は金属もセラミックもバランスよく置かれているような気がします。サビサビのトラックも拝借して一気に素材を運ぶことにします。ウマウマ♪

崖の向こうにあるポスト

ここの集荷基地の難点は、ポストの一つが崖の向こうにあって、簡単に渡れないところです。これ前世の記憶が確かなら、どこから回り込んでもつながっている部分がない離れ小島だったはずなんですよね。なので橋を渡すなりなんなりしないと行けません。

このときは倒したミュールが運よくハシゴを持っていたので、幅が狭いところを選んで、橋のように渡せるかチャレンジしてみることにしました。

崖に橋のように渡したハシゴ

うまいこと孤島のポストにたどり着けましたが、残念ながら欲しかったコレクターの落とし物や国道の素材などは見つかりませんでした。仕方がないので、戦利品をミュールのトラックに積んで国道の復旧装置まで運んで、当初の目的どおり、映画監督の落とし物も届けに行こうと思います。

次の国道復旧装置

次の国道の復旧装置は相変わらずカイラル通信につながっていないので、どの素材もゼロからのスタートなんですけど、さっきのミュールの集荷基地で見つけた素材をありったけ突っ込んでおきます。やっぱり通信でほかのプレイヤーと進捗を同期させないと、最初から全部自力で完成させるのはつらいですね。

とりあえず、これで素材がおおかたなくなったので、トラックは復旧装置の隣にそのまま放置して、残った樹脂などの素材や使わない道具、ほかのプレイヤーの落とし物などを K4南配送センターで整理して、映画監督に落とし物を届けに行くことにしました。

その前に目の前の崖のどこかにあるファミ通のシェルターを見つけておこうと思いました。たぶんこの人のシェルターをカイラル通信につないだら、先ほどの国道復旧装置も同期されて、うまくいけば勝手に完成するぐらいの勢いで素材がいらなくなると思うんですよね。

岩に接触して落ちていくサムの荷物

崖下の様子を見ようと、ほかのプレイヤーが設置したロープを借りて降り始めたら、岩壁に背中の荷物が当たった判定があったようで、背負子に積んでいた映画監督の落とし物が落下していきました。あ~! でも依頼の荷物じゃないから、まあ、いっか。

あとここの谷底にも別の映画監督の落とし物が転がっているんですよね。あそこからミュールの活動地帯を越えて、こんな複雑な断崖絶壁のところで落とし物をするほど動き回っているなんて、映画監督アクティブ過ぎん……?

別の映画監督の落とし物

うっかり落として内容物を傷めてしまったのをちょっと申し訳なく思ったので、適当に目に付いた別の落とし物も一緒に拾って持っていってあげることにしました。するとオドラデクのセンサーを使ったときに、遠方の岩壁にシェルターのマークが見えてきました。あそこがこの北米大陸の『ファミ通』編集部ですね。

意外とすぐシェルターの場所が判明したので、またすぐ K4南配送センターまで戻って、シェルターに入るためのロープやハシゴを作って出直すことにしました。

ポーター

この周辺をウロチョロしている間に、ポーターの姿を見るようになりました。たぶん近くのミュールの集荷基地を制圧したからだと思います。人の姿が見えるようになるだけで、だいぶと平和な雰囲気になりますね。不思議。

コレクターのシェルターに到着

そんなわけで、すれ違うポーターに手をふりながら、やっと『ファミ通』編集部に到着しました。ここも一応、サウス・ノットシティ所属ということになっているんですね。コレクターのシェルターは崖の中腹にあって、崖の絶壁を上り下りするための道具がないとたどり着けない立地になっているんですが、崖下のすぐ目の前にはミュールのセンサーがあったりして、なかなか物騒なところにあります。よくこんなところで生活できるなと、逆に感心してしまいます。

指名なし依頼 No. 405 「ミュールに奪われた年代物のお宝ゲーム機を取り戻せ」

たどり着いたシェルターで、さっそく配送端末にアクセスしてみたら、ここはミュージシャンと同じ形式だったようで、とりあえず指名なし依頼の No. 405「ミュールに奪われた年代物のお宝ゲーム機を取り戻せ」だけ引き受けられるようになっていました。先ほどグダグダと制圧したミュールの集荷基地から、奪われてしまった年代物の携帯ゲーム機を3台回収してくればいいらしいです。これって、ミュールがまた再配置されるかされないかで難易度がだいぶと変わるんですけど、どうだったかとっさに思い出せなくて、しばらくこの日にやるべきかどうか悩んでいました。この日はこの時点で配信時間がそろそろ3時間になる頃合いだったんですよね。もうそろそろ明け方です。結局やることにしましたけどね。

重たすぎるゲーム機悩みながら依頼の内容をチェックしていて、まず総重量4.8kgっていうのが気になったんですよね。回収すべき荷物は全部で3点で、画像を見るに、プレイステーション・ポータブル(PSP)のような携帯ゲーム機みたいです。1個あたり1.6kgもあります。ダンベルかよ! 携帯ゲーム機なんてせいぜい2~300gぐらいだと思うんですけど、そう言えば飲み薬を詰めただけの荷物もそこそこ重たいし、この重さってむしろ内容物の重さっていうより、外側の保護ケースの重さだったりするんでしょうか。保護機能だけでなく、サムの背負子にカチッとキレイに積み上がったり、ホログラムの人物が遠隔操作で開いたり、識別用の機能が内蔵されていたり、いろいろと多機能なようなので、そのぶん重たくなっているのかもしれませんね。最先端のテクノロジーも諸刃の剣だなぁ。

崖から落下したサム

ミュールから PSP を奪い返す依頼を受けて、もう一度集荷基地に戻る道中、そろそろ何回も往復しているので移動が面倒になってきました。横着して狭い地割れをジャンプで渡ろうと思ったら、思ったよりサムのジャンプ力がなくてあっさり崖下に飛び降りてしまいました。サム、あれかな、踏ん張ってるとジャンプできない系男子なのかな……? 細かいサムの操作方法を毎回忘れている私です。

BB28をあやしそこねる

そして BB-28をあやす操作方法もすっかり忘れている私です。やっとなんとか思い出した頃には、自力で機嫌を直して笑顔になっている BB……不憫な子だよ。

ハシゴを踏み外すサム

心配していたミュールたちはまだぐっすりお休み中でしたが、このあとサムはミュールの集荷基地周辺で、バイクごと崖下に落ちたり、ハシゴを踏み外してまた崖下に落ちたりしていました。やっぱり配信が3時間ぐらいになってくるとプレイも雑になるんですよね。そろそろやめ時です。

号泣 BB-28

さすがに2回目はすぐにあやすことができました。そろそろ BB-28のストレスも心配です。かわいそうな BB、彼女は持ち主を選ぶことができません。

ロープの方が安全だと気付いたサム

うっかり崖下に落ち続けることで、血液ゲージがあっという間に半分になってしまったサム。凡ミスで死にかけています。ハシゴは危ないとやっと気付いたので、手元に余っていたロープ用パイルを使って、ロープで安全に崖下から登ってこれる別ルートを用意することにしました。私の記憶が確かなら、また別の依頼でもここのミュールのポストから何かを回収するお仕事をしなくちゃいけなかったはずなんですよね。いつかまた来る未来のサムのために……と思いましたが、よく考えたら私はこれから PC 版の Director’s Cut に乗り替えるので、このロープを使うことはもうなさそうです。さみしいなぁ……😢。

ゲーム機回収完了

2か所のポストを回って、無事に3個の PSP をゲットしました。ミュールとは戦っていないのに、なぜかボロボロのサム。早くコレクターに届けて、ゆっくり休むことにしましょう。あ、それからずっと行く行くと言って、お届け物を劣化させ続けているだけの映画監督のところにもいい加減、行かないといけませんね。

コレクター

やっと編集長にお目通りがかないました。3個全部ちゃんと届けたら「君は確実に殿堂入りだよ」と褒めてくれました。その発言、本作がクロスレビューで「好みが分かれそう」と評されながら、40点を記録したことでちょっとした物議を醸したことを考えるとヒヤッとするネタです。

すぐにカイラル通信につないでくれるかちょっと心配でしたが、納品を終えると「君のおかげで、いま外がどうなっているのか知りたくなった」とのことで、すぐにカイラル通信をつながせてくれました。でも UCA に加入するかどうかはまだ考えたいというお約束の流れです。まあ、UCA に入るかどうかは、目下サムには関係ないことなので、カイラルネットワークが拡張できれば今はそれでいいんです。どうせまた指名なし依頼を消化しているうちに妙に納得して、さらにサム大好き人間になって喜んで加入してくれるでしょう。人心掌握には天賦の才がある運び屋サムです。

カイラル通信接続中

コレクターのシェルターをカイラル通信につなぐときは、サムと BB-28の顔にカメラが寄るんですが、よく見ると足下から白い光だけじゃなくて、黒い粒子もそこそこ湧き出てきてますね。これ、きっとカイラリウムだかカイラル粒子だかカイラル物質だか、形態はわかりませんが、ビーチ由来のカイラリウム系の物質ですよね。そりゃ濃度も上がりますわな。てか、この白い光も、実はなんか放射線ならぬカイラル線のなんかだったりするのかな?

カイラル通信の新エリア

これで当初の目標にしていたとおり、K4南配送センターから気象観測所までの間にある国道の復旧装置がすべてカイラルネットワークの範囲内に入りました。すでに一部の素材は入れてあるので、時間経過で順調にほかのプレイヤーのサムと同期が進んで、自力で集める素材の量が減らせると思います。

あとは映画監督のところへ行くだけですね。

ジャンク屋の荷物を持ったポーター

映画監督のところへ向かおうとしていると、すれ違ったポーターがジャンク屋の荷物を持っていました。これ、手持ちの道具と交換するなり、襲って奪うなりしたら、ジャンク屋のシェルターも先にカイラルネットワークにつなげるのかな? ジャンク屋はもうちょっとあとで、ちゃんとストーリーの流れで行くからって思ってたんだけど、あそこのカイラル通信開通も前倒しできるのかちょっと気になりました。

ジャンク屋とカイラル・アーティストの恋が意味しているところがよくわからないって前のページで書いたんですけど、ジャンク屋の英語名が Junk Dealer じゃなくて、Junker だったら、それこそ『スナッチャー』の主人公ギリアンということになり、一度別れたカイラル・アーティストはさしずめ元妻のジェミーということになります。ジェミーは言うまでもなく『バイオニック・ジェミー』からとられた名前なので、今作ではほぼ絶滅体と同義になります。あの二人って絶滅体の恋でも描いているのかなって思ったけど、ジャンク屋はあくまで Junk Dealer なので、私の気にしすぎかもしれません。まあ、英語で Junker だとよくない意味入っちゃうから、当然の訳語なんでしょうけどね。

しかし今になって思い返すと、『スナッチャー』も女性の存在が希薄な作品でしたね。生物学的には先天的にほぼ2択になる特徴を、ただそれだけで片方だけごっそり排除するのって、けっこう力業だと思うんですけど、女性差別的な思考の男性って、何が引っかかってこういう思考回路になるんでしょうね?

映画監督

落とし物を2点納品したら、UCA はまだちょっと怖いけど、カイラル通信はかまわないというお許しが出たので、映画監督のエリアもカイラルネットワークに加えることができました。

映画監督も名前そのまんま、映画監督をされているジョーダン・ヴォート=ロバーツさんがモデルをされています。彼は2017年から、ソニー・ピクチャーズが計画しているハリウッド実写版映画『メタルギアソリッド』の監督としてプロジェクトに携わっています。どうも根っからのゲーム好きらしく、映画作品以外では PlayerUnknown’s BattlegroundsDestiny 2 などのコマーシャルも手がけています。

J. F. Rey

落としたり、持ったまま崖から飛び降りたりしたボロボロの荷物を納品しただけなので、まだ親密度もそれほど上がっていないはずなんですが、「お願いがある。あんたに持っていってほしいんだ」と言って、J. F. Rey の“SAM”モデルのサングラスを持たせてくれました。サムが今身に着けている奇抜なルーデンス・マスクよりも、ずいぶん普通のサングラスの形に収まっています。

J. F. Rey さんが小島監督の作品とコラボするのは、たしか METAL GEAR SOLID シリーズ作品のときからあったと思うんですよね。この映画監督がくれる“SAM”サングラスもたしか販売されていたと思います。私はあんまり普段からサングラスをかけるタイプの人間じゃないので、このコラボ商品は買ってませんけどね。

ところで、なんでこれを映画監督がくれるんだろうな?

玄関前の橋

コレクターと映画監督、二人のプレッパーズのシェルターをカイラル通信に無事つなげたので、今回はこれにてサムのお仕事を終了にしようと思います。いったん K4南配送センターまで戻ります。映画監督のシェルターから出たら、さっそく玄関前の岩場をまたぐように橋が設けられていました。やっぱりみんな、わかってるね! うちのサムはよくこの橋からも転げ落ちます!

ベッドに倒れ込むサム

K4南配送センターのプライベート・ルームに駆け込んだら、靴を脱ごうとしたサムがそのままベッドに倒れ込んで寝てしまいました。お疲れ、サム! ちょっと休憩なしのぶっ続けで引き回しすぎたかもしれん……。血液もずっと半分だったしね。BB-28も二度ほど大泣きしてお疲れです。

“SAM”サングラス

せっかくいただいたので、“SAM”サングラスを赤色にして、青い帽子と合わせてアメリカ合衆国の国旗カラーにしてみました。黒だと地味だけど、赤だといいアクセントになって、ルーデンス・マスクにも負けないインパクトが出せるんじゃないかな。あと、ムービーシーンでサムの表情が見にくくなるので、私はレンズをいつも透明に設定するようにしています。本当は色付きのほうがいいんでしょうけどね。雪山入るときなんか、特に。

メールがいくつか届いていたので、それだけ見ていきます。

さすがサム! ミュールを倒したのか!

南のミュールの集荷基地を制圧したので、トーマス・サザーランドさんが褒めてくれました。あそこの基地に対応しているのはサザーランドさんなんですね。さりげなく、殺しはダメという釘も打ってきます。プーチンにも言ってくれ。

コレクター

次はカイラルネットワークに加わったばかりのコレクターのメールです。「私の父親は、そんな雑誌の編集長だった」と言うので、どうやら彼は浜村 Jr. さんだったようです。

デジタル書籍の普及で、紙媒体は凋落したって話ですけど、今はまた紙のよさの見直しが進んでますよね。やっぱデジタルはダメだよ的な。だから私、紙媒体はなくならないと思うんですよね。なんだかんだアナログは残ると思うんです。今の雑誌社も雑誌社で、アナログとデジタルのいいとこ取りして、うまいことかじを切ろうと戦略練ってるでしょうし。

コレクターのシェルター入り口

「そんな父が残してくれた膨大な紙の雑誌や新聞のコレクションに囲まれて、私は育った」と言うだけあって、確かに彼のシェルターは入り口にまで本棚が設けられていて、段ボールに詰められた本が積まれていましたね。これ、今の時代は逆に貴重なんじゃないんですかね? こんなところに置いておいて、盗まれたりしないのかしらって言ってたんですけど、ちょっと心配です。そりゃミュールに PSP も持っていかれるわっていう……。

「カイラル通信は凄い技術だと思うが、ネットで繋がった個人が傷つけあう暗黒時代が再来することもあるだろう?」と述べて、彼は「だからカイラル通信は、私には不要だ👎」という結論をサムに伝えるんですけど、カイラル通信はさっきつなぎましたよね……? じゃあ、なんでさっき拒否せえへんかったんや……。

BT の絵を描いてみたい

最後のメールは「BT の絵を描いてみたい」というエンジニアのメールです。これ、中の人の本業が絵だからですよね。そりゃ、いい絵が描けるでしょうよ。

「私たちが BT に怯えるのは、奴らが見えないせいもあるだろう?」という話で、絵でも何でも、BT の姿形を伝えることができれば、BT に対する恐怖も和らぐかもしれないという彼の考えが書き添えられています。これ、ごもっともって思うんですけど、それを言うと、のちのちサムが訪れるハートマンの研究所に、BT の立体模型、それも等身大らしきサイズのものがあるんですよね。あれのデータをカイラル・プリンターかなんかでシェアするだけでも、手っ取り早くていいんじゃないのかという気もしないでもありません。

これは親密度が最大までいったから送られてきたメールでしょうね。仲良くなると、理系のエンジニアにも意外と芸術肌な一面があることがわかってくるんですね。

プレッパーズのシェルターについて

新しい文書も読めるようになっていました。エルダーが昔、デス・ストランディング現象が起こる前に販売されていたシェルターについて、メーカーごとに思い出しながら教えてくれています。こういうのは世界観の構築に必要な背景の設定資料を一部公開してくれている感じかな?

「私がこれを手に入れた頃は、シェルターは避難場所のはずだったが、今ではここが家になってしまった。でも、この家で死ねるなら、本望だよ」という締めくくりは、なんかすごく現実的なセリフでいいですね。阪神淡路大震災でも、ずっとプレハブの仮設住宅に住み続けて、引っ越したくても引っ越せないみたいな人たち、いましたもんね。ある意味、住めば都というか、なんだかんだシェルターも住めるんでしょうね。そして愛着がわくと、経済的な制限とかもあると余計に、動けなくなっちゃう。高齢者が家で死にたいというのは、よく聞く話だし、私もそう思うタイプなので、すごくよくわかります。生きてほしいけど、どうせなら本人が望む死にかたがやっぱり理想だなと思います。

ということで、今回の配信は自分の唾液が気道に入ってむせてしまい、死にかけの老人みたいなお別れで幕を閉じました。配信をしていたときは PC 版の Director’s Cut 発売がまだ発表されていなかったときなので、いつもどおり次は指名なし依頼を片付けていく配信をすると案内したんですが、次の配信はもう直接 Director’s Cut を最初から始めて、このセーブデータと同じところまで物語を進めていくことになると思います。指名なし依頼消化旅は、ストーリーが追いついたら再開しま~す。

Twitch PC 版 Director’s Cut の次回に続く
Twitch PC 版 Director’s Cut で気象観測所にたどり着くまではこちら
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